新商品を開発するにあたり、「まずは、今週中に市場をセグメントして」と言われた。「セグメント」ってどうやるの?
そこで今回は、カタカナビジネス用語「セグメント」の意味や使い方について解説します。
セグメントの意味
セグメントとは、「分割すること」「区分」「部分」などの意味を持つ英単語セグメントを語源とするカタカナ用語で、「あるものを分割したうちの1つ」を指す言葉です。
一般的なビジネスシーンでは、ある分野やマーケットにおいて、何らかの基準をもとに細分化した要素やグループのことを指します。
また、IT業界では、コンピューターで、大きなプログラムやデータを記憶装置に読み込むときに分割する単位のことや、コンピューターや通信機器が大規模に接続されているLANネットワーク上で、複数の機器から構成された小さなネットワークのことを指します。
セグメントの使い方と例文
セグメントは「何らかの基準をもとに細分化した要素やグループ」を指しますが、セグメントに分割することを「セグメントに分ける」「セグメントする」などと表現するほか、「セグメンテーション」と呼ぶこともあります。
セグメンテーションは、特にマーケティング分野で使われることが多く、日本語では「市場細分化」と訳されるのが一般的です。
(例文)
- まずは、顧客リストを世代別にセグメントしましょう。
- セグメンテーションによって、3つのグループに分類しました。
- セグメントごとの利益を算出してください。
各分野におけるセグメントの活用例
マーケティング分野
マーケティング分野では、世代や性別、地域、職業、所得、趣向、価値観といった属性でもって顧客をセグメントします。そうして分けられた1つひとつのセグメントを、マーケティング分野では「マーケットセグメント」「市場セグメント」と呼びます。
ドラッグストアに入ると膨大な数の化粧品が並んでいますが、化粧品は主に世代別にセグメントされています。
市場を顧客層の世代別にセグメントした上で、例えば女子中高生には可愛くてコスパが良いものを、40代女性には高価でもアンチエイジングに特化したものを提供します。
効率よく利益をあげるためには、市場にどういった顧客層が存在するのかをセグメントし、そのニーズに一致したものを提供することが大切です。
経営・会計分野
企業は、自社の財務状況を、部門別や事業別、地域別などにセグメントして算出し、その情報を開示しています。これを「セグメント情報」と呼びます。
特に、いくつもの事業に取り組む大企業でよく見られるもので、例えば、ある商社では、「生活産業」「機械」「エネルギー」「地球環境インフラ」「金属」などの事業別にセグメントし、別の企業では「首都圏」「関西」「九州」といった地域別にセグメント情報を開示していることもあります。
これにより、その企業がどの事業で、どの地域で利益を上げているのかを読み取ることができます。この結果を自社の経営に反映することができるだけでなく、投資家に対して重要な情報を提供することにもなります。
ワンセグ
ワンセグの「セグ」は、セグメントのことです。地デジの場合、割り当てられたチャンネルを13のセグメント(領域)に分けて利用していますが、このうち12セグメントは一般のデジタル放送用として使用しています。
そして、残り1つのセグメント(ワン・セグメント)を、携帯電話やカーナビといったモバイル機器向けの放送用に使用しているのです。
セグメンテーションとターゲッティングの違い
マーケティングでは、セグメンテーションに似た言葉に「ターゲッティング」というものがあります。ターゲッティングとは、「ターゲットとする顧客層を決めること」です。
これに対しセグメンテーションは、「顧客層を共通属性でセグメント(区分)すること」をいいます。
お茶飲料の市場における顧客層をセグメンテーションすると、「子ども」「学生」「主婦」「ビジネスマン」「お年寄り」など、老若男女、多くのセグメントに分類することができます。
そのセグメントの中で、さらにどんな顧客層をターゲットとして商品を開発するのかを決める作業が「ターゲッティング」です。
マーケティングの基本は、市場やニーズを知ることです。そして、市場をセグメントし、ターゲットを決定する。セグメンテーションもターゲッティングも、誰のための商品か、市場のどの位置に商品を投入するのかを明確にする上で、必要不可欠な作業といえます。
ただし、市場も顧客のニーズも常に変化するものです。セグメンテ―ションは一度と限りません。商品の売れ行きが悪くなったと感じたときなど、適宜、市場をセグメントし直してみると良いでしょう。