つくばエクスプレスを運行する首都圏新都市鉄道はこのほど、懸念されている朝ラッシュ時間帯の混雑と遅延の常態化に対する抜本的な混雑緩和対策として、「8両編成化事業」を今年度から実施することを決定したと発表した。

  • つくばエクスプレスの「8両編成化事業」が実施される(写真:マイナビニュース)

    つくばエクスプレスの「8両編成化事業」が実施される

同社は現在、混雑緩和を図るため、朝ラッシュ1時間あたりの最混雑区間の運行本数を現行の22本から25本に増強する「25本化事業」を推進しており、2020年春に実施する予定。しかし、沿線人口は2030年代まで増加し続け、さらなる利用者の増加が見込まれるため、今回の「8両編成化事業」の実施が決定した。

「8両編成化事業」では、8両編成車両の運行に必要な設備関係工事(各駅のホーム延伸、車両留置線の延伸、変電所の増強、総合基地内設備の新増設、機械設備の新増設、信号通信設備の新増設など)を秋葉原~つくば間の全線と総合基地などで実施するほか、8両編成化に必要な車両の調達も実施する。サービス開始は2030年代前半を予定している。

事業期間が10年を超える計画となっていることに関して、終電から始発までの作業可能な2~3時間で、日々の安全・安定輸送を維持する保守・修繕等と並行して行う工事になるとともに、同社線は地下と高架の完全立体構造で限定された箇所からの資材搬入となり、資材運搬だけでも時間を要するためと説明する。

  • 秋葉原駅ホームの延伸部分(画像手前から柱まで)

  • 八潮駅留置線の延伸部分(手前オレンジ色の柵から画像中央部まで)

この「8両編成化事業」により、1編成あたりの輸送力は6両編成時と比べて30%程度増加し、朝ラッシュ時間帯に適切な8両編成の車両を投入することにより、今後の旅客需要動向を考慮しても同時間帯の混雑率は150%を下回る程度まで低減することが可能となる。混雑率は現在の169%(2018年度)から、「25本化事業」の実施で155%程度(2020年度)まで低下する見込み。その後の利用者増加を見込んでも、「8両編成化事業」によって150%を下回る程度まで低減が可能としている。

なお、現在、ホームの安全性の向上として実施している秋葉原駅および新御徒町駅のホーム延伸工事は「8両編成化事業」と一体化して取り組み、両駅の延伸ホームは駅の混雑緩和を図るため、工事完了後に順次利用を開始する予定としている。