――アクションシーンで特に難しかったのは、どういった場面でしょうか。

例えば、立ち回りの手をいくつか教えてもらってから、敵とのアクションシーンを撮るんですけど、自分としては、向こうの手がどう来るか、次にどう返すかなどがわかっているから、ついつい早く動いてしまうんです。そうじゃなくて、敵が攻撃してくるのに"ハッ"と気づいてから受けるとか、お芝居として表現していかなければならないんです。一連の動きをうまくこなそうこなそうと考えながらやっているとダメだという、立ち回りの難しさを痛感しています。

――第7話でコウの年齢が209歳だと判明して驚きましたが、コウのような"常人と違う"古代人類という特殊なキャラクターを演じるにあたって、特に気をつけていることってありますか。

基本的には、素の自分に近い年齢だと思ってコウを演じていますが、地球を守る使命を帯びているとか、リュウソウ族の長老からドルイドンの話を聞くとか、スケールの大きな場面、長い時の流れを感じさせる場面では、コウも長い年月を生きてきたんだなと意識をしながら演じるようにしています。

――コウの衣装は、いかにも騎士らしい精悍さと、古代戦士のファンタジックなイメージが組み合わさっていて、とてもカッコいいですね。あの衣装を身につけた際のお気持ちを聞かせてください。

自分のカラーである"赤"を活かした衣装で、自分でもカッコいいなあと思っています。この衣装を着て、ペンダントなどの装飾を着けると、気持ちが入ってすぐにコウへなりきることができます。

――リュウソウジャーの仲間たちについてお聞かせください。発表会見では、撮影開始と共にみなさんすぐに仲良くなり、チームワークが非常にいいとうかがいました。"役柄"と"素"とでもっともギャップがあると思われるのはどなたですか?

僕も含めて、みんな"自分とはぜんぜん違うキャラクターを演じている"って言っていますね。撮影の合間にお互いに動画を撮って、SNSにアップしていたりするんですけれど、ああいったところで"素"の部分が見えてきますので、役柄とのギャップを楽しんでいただけたらいいですね。リュウソウブルー/メルトの綱啓永くんなんて、テレビでのイメージとまったく違いますから(笑)。みんなといるときは、一緒にご飯を食べに行っていろいろ話したり、撮影が終わった後にも話したり、楽しい時間を過ごしています。5人それぞれのいいところがあり、お互いそれらをのばし合い、学び合っている部分が多いかなと思っています。

――リュウソウジャーのよき協力者として、行方の知れない騎士竜たちの情報を彼らに提供してくれる古生物学者・龍井尚久を演じる吹越満さんの印象を聞かせてください。

吹越さんはとても気さくな方です。現場では冗談を言って周りを笑わせたりして、楽しい空気を作ってくださいます。何度も「こんなこと思いつくのか!」と驚くような演技を見せてくださって、ご一緒させていただくことで得るものは多いです。

――尚久の娘で、コウたちの友だちとして存在感を発揮している龍井うい役・金城茉奈さんはいかがですか?

とても純粋な女の子という印象です。彼女の演技を観て思うのは、集中力がすごいってところです。感じたままに芝居をするあまり、監督の指示と違った表現になったりするんですが、そこが良くてOKが出るとか……。一緒にやっていて、とても刺激になりますね。

――ところで、一ノ瀬さんが子どものころに好きだった「スーパー戦隊」ヒーローはどれでしたか。

『百獣戦隊ガオレンジャー』(2001年)ですね。数えてみたら、僕が4歳のころに放送していた「戦隊」なんですね。とても好きで、玩具を買ってもらって1人で遊んだり、友だちと一緒に遊んだりしていた楽しい記憶が残っています。

――では、今回のリュウソウジャーの"変身"=リュウソウチェンジを行うシーンは、子どものときに遊んだ思い出がよみがえって興奮したのではないですか。

そうです! リュウソウジャーはブレスレット(リュウソウチェンジャー)で変身するんですけれど、僕は『爆竜戦隊アバレンジャー』(2003年)のダイノブレスの玩具でもよく遊んでいた思い出があるので、初めてリュウソウレッドにチェンジしたときは「昔憧れていたヒーローに、今自分がなっているんだ」という気持ちが強まりました。

――変身後のリュウソウレッドを演じられている、スーツアクターの伊藤茂騎さんとの連携はどのようにされているのでしょうか?

伊藤さんとは撮影現場でずっとご一緒していて、リュウソウチェンジの前後で違和感なくつなげられるよう、演技の話し合いを密にしています。2人でひとつのキャラクターを作り上げられるよう、お互いの動きをよく観察したりして、仲良くさせていただいています。リュウソウレッドのアクションシーンに、僕が声を入れる「アフレコ」も重要なんですけれど、お腹から声を出す腹式呼吸が難しくて、喉から声を出しがちなので、必殺技のかけ声を叫んでいるとすぐに声が枯れてしまいます。しっかりとお腹から声を出すことが、今後の課題だと思っています。

――エンディングの「ケボーンダンス」は恐竜のワイルドな動きを取り入れた、コミカルでエネルギッシュなダンスとして、子どもたちの間でも流行ってきている感触があります。一ノ瀬さんから子どもたちにケボーンダンスを楽しく踊るためのコツを教えていただけますか。

それはもう、振り付けを間違ってもいいから、とにかく元気よく踊ってほしいってことですね(笑)。特に、サビの部分で左右にジャンプするところ(ふりふりハイタッチ)は思いっきり飛んでみてください!

――テレビの映像やYuuTubeでの配信を拝見しますと、一ノ瀬さんの動きのキレがすごいですよね。最後に、恐竜を模したポーズを決める直前にも、すごい高さのジャンプをしていますし。

ジャンプに関しては、もともとバスケをやっていましたから得意なんです(笑)。最後の決めポーズは伊藤さんと一緒に考えたもので「前に出て、グッとポーズを決められたらいいね」と相談し、思いっきり飛んじゃおう!ということであんな風になりました。

――『リュウソウジャー』をテレビで応援してくれている子どもたちに、一ノ瀬さんはコウとしてどんなことを伝えたいですか?

コウの仲間思いなところ、まっすぐな性格が、知らず知らずのうちに子どもたちの心に残ってくれたらいいなと、強く思います。僕自身が幼いころにヒーローから強さや優しさなどを感じ取って、楽しみながら"道徳心"を学んでいましたから、その思いを今の子どもたちに伝えたいという気持ちを常に持ちながら、コウを演じています。

――つい先ごろ22歳の誕生日(4月8日)を迎えた一ノ瀬さんに、これからの抱負をぜひお願いします。

22歳の1年間は『リュウソウジャー』に捧げることになると思いますので、自分としても"やってよかった"と感じられるよう、全力で取り組んでいきたいです。そして1年後、「一ノ瀬颯がリュウソウレッド/コウを演じてよかった」とみなさんに思っていただけるよう頑張っていきます!