東京2020組織委員会は5月15日、ガンダムが宇宙空間から東京2020大会を応援するという特別企画、「G-SATELLITE(ジーサテライト) 宇宙へ」の内容を発表した。

  • 組織委員会がJAXAと東京大学と共同(左から)金井宣茂氏/室伏広治氏/富野由悠季監督/中須賀真一教授

    (左から)金井宣茂氏(JAXA 宇宙飛行士)、室伏広治氏(東京2020組織委員会スポーツディレクター)、富野由悠季氏(アニメーション映画監督・『機動戦士ガンダム』総監督)、中須賀真一氏(東京大学大学院工学系研究科 航空宇宙工学専攻 教授)らが登壇

ガンダムとシャアザクが宇宙へ

同企画は、日本を代表するクリエイター&イノベーターが一丸となって東京2020大会を盛り上げるプロジェクト「ONE TEAM PROJECT」の第2弾として実施されるものである。

第1弾では、漫画『宇宙兄弟』の作者である小山宙哉氏とコラボレーションし、「宇宙でもパラパラ漫画はパラパラするのか!?」という実証実験が行われた。

続く第2弾でのコラボ相手は、東京大学とJAXA(宇宙航空研究開発機構)。今回は、ガンダムを宇宙に打ち上げ、宇宙空間から東京2020大会の応援を試みる。

宇宙へ飛び立つのは、ガンダムとシャアザク(シャア専用ザク)、2体のモビルスーツ。超小型衛星「G-SATELLITE」に2体のガンプラを搭載し、宇宙空間へ放出するという。

放出された衛星と両モビルスーツは、東京2020大会の期間前から期間中にかけて地球周回軌道を飛行しつつ、応援メッセージを電光掲示板に表示し地球へ向けて発信する。その様子は衛星に設置した7台のカメラによって撮影され、SNSなどで配信される予定。静止画だけでなく映像も配信する計画で、パイロットのアムロ・レイ、シャア・アズナブルの声でのエールも届けたいとのこと。

  • ガンダムとシャアザクが宇宙からメッセージ
  • ミッション概要

    地球を背に宇宙空間を漂うガンダムとシャアザクが現実のものに!?

超小型衛星「G-SATELLITE」は、2018年2月に打ち上げられた衛星「TRICOM-1R(たすき)」をベースに改良を加えて製作された。中須賀真一氏(東京大学大学院工学系研究科 航空宇宙工学専攻 教授)が開発に携わっており、サイズは10×10×30cmとまさに超小型。この中に1/144スケールよりも小さいガンダムとシャアザクを格納して国際宇宙ステーション(ISS)から放出し、地球周回軌道に到達したところで両モビルスーツを宇宙空間に放つのだという。

  • 超小型衛星にはガンダムの格納スペースも

    「G-SATELLITE」には、ガンプラや電光掲示板を格納する、カメラを複数搭載するなど、これまでの超小型衛星にはなかった機構を備えている

ガンプラはそのままでは宇宙環境に長期間耐えられないため、素材や塗料も宇宙仕様に一新。太陽光による熱や放射線などの過酷な条件を考慮し、バンダイのガンプラ開発担当・山中信弘氏と中須賀教授が協力して設計を行った。目が5色に光るという五輪ならではの仕掛けも施されている。

  • ガンプラ開発担当者山中信弘氏

    ガンプラ開発担当の山中信弘氏

超小型衛星と両モビルスーツは今年の12月には完成し、2020年3月~4月頃に国際宇宙ステーションから放出する予定となっている。電光掲示板に表示するメッセージは一般公募も計画しているとのこと。

ガンダムシリーズの監督でもある富野由悠季氏は、「ガンプラを衛星軌道上で放出したからって何、と言われるかもしれないが、なめてもらっては困る。(宇宙開発に向けて)次のステップを踏むことになる」と力強くコメント。「宇宙開発、宇宙進出がファンタジーでなくなってしまった。このあとに続く年若い人たちに期待します」と続け、宇宙へガンダムが飛び立つ姿に思いを募らせた。

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