電子マネーやQRコード決済などのキャッシュレス決済サービスが急加速している昨今。コンビニやスーパーなど多くの場所でキャッシュレス決済が手軽にできるようになり、お財布を持ち歩かなくてもあまり困らない状況になりつつあります。

それでも利用者側にとっては依然と根強い現金払い。使い慣れないのでつい現金で払ってしまうという人もまだまだ多いようです。それ以外にも、決済手段が多すぎてどれを使っていいのかわからないという意見もよく聞かれます。

そこで今回は、キャッシュレスの便利さを取り入れながら家計管理を上手に行うためには、どんなカードやサービスを利用するといいのかということを考えていきたいと思います。

クレジットカードや電子マネーなどキャッシュレス決済はどれを選ぶのがいい?

キャッシュレス決済は、文字通り現金いらずの決済方法で、その代表的なものが従来から広く利用されているクレジットカードです。それに加えて現在ではもっと手軽に利用できる電子マネーや、比較的新しいサービスとしてQRコード決済など、さまざまな支払い方法があります。また、apple-payのように複数の決済手段をスマホに登録しておけば、スマホ1台で様々な場面に応じた決済ができるものもあります。

最近ではpaypayなどの新規参入企業のキャンペーンもあいまって、一気に関心が集まってきていますが、いざ使いこなそうとすると、あまりにもサービスが多すぎてどれをどう使えばいいのかわからないという人も多いのではないでしょうか。

1つの決済手段ですべての支払いができればそれが一番便利ですが、お店によって使える決済手段が違っていたり、使い方でお得度も変わってきたりもします。ですからよく使うお店をピックアップして、そのお店でお得に使える決済手段を選ぶのがベストといえるでしょう。使用頻度の高い決済手段を2,3程度に絞って使い分けるのがおすすめです。

では、どんな決済手段を選べばいいのでしょうか。ポイントとしては幅広く便利に使える決済手段を一つピックアップすることです。

電車移動が多い人は交通系電子マネーをチョイス

電車移動が多い人の場合には、一番先に使いたいのがSuicaをはじめとした交通系の電子マネーです。改札を通過するときにカードやSuicaを登録しているスマホをかざすだけで運賃が自動的に支払われるのは既にご存知の方も多いと思います。それに加えてコンビニなどのお店でも読み取り機にかざすだけで支払いが完了する便利な電子マネーとしても利用できます。

Suicaが利用できる店舗は、駅中のキオスクのほか、セブンイレブンやファミリーマート、ローソンなどの大手コンビニでも利用可能。イオンやヨーカドー、サミットなどのスーパーでの支払いにも使えます。アトレやエキュートなど駅ビルも交通系の強みとして幅広く使えるので、普段から駅ビルの利用が多いという人には、Suica1つでかなりの支払いをカバーできるはずです。マクドナルドやKFCなどのファストフードやファミレスでも支払いできるのも便利です。

Suicaをメインにするならクレジットカードはビューカードを選ぶと便利でお得です。残高不足を気にせず利用できるSuicaのオートチャージができるのはビューカードだけです。

オートチャージはいくら使ったかわからなくなるので不安だという人は、必要な分だけクレジットカードからチャージする方法もあります。予算管理をきっちりしたい人にはおすすめの方法です。都度チャージも最初にクレジットカードを登録しておけば、あとはスマホアプリで必要な金額を入力してチャージボタンを押すだけと簡単にできます。その場合ビューカードを紐づけておけば、利用のたびにJREポイントもたまり、貯まったポイントは1ポイント1円として利用可能。ビューカードならSuicaへのチャージのほか定期や乗車券の購入もでき、これらの利用では通常の3倍のポイントが付きます。

携帯キャリアのカードは幅広く使えてポイントも貯めやすい

電車やバスはあまり使わないという人は、dカードやau walletなど携帯電話会社のカードをメインに使うのが便利です。

ドコモユーザーならまずはdカード。マスターカード加盟店やidの利用ができるお店で幅広く使えるのが特徴です。dカードプリペイドは、ローソンやwebサイトでチャージができ、ローソンでのお買い物は3%の割引になります。マクドナルドなどdポイントが付くお店での利用ではdポイントも貯まります。クレジットカードもゴールドカードなら携帯料金や光利用料金の10%がdポイントとしてもらえるなど、ドコモユーザーならポイント還元が大きいのもメリットの一つです。

クレジットカードに付帯している電子マネーのidは支払いが後払い式なので、チャージの必要もなくクレジットカードの利用代金と一緒に請求されます。

auウォレットもプリペイドカードとクレジットカードがあり、マスターカードが使えるお店ならどこでも使えるので利用範囲が広いのが特徴です。200円の利用ごとに1ポイントが付きますが、ポイント還元率はそれほど高くないので注意が必要です。auの携帯利用料金などに応じてもポイントが加算されるので、それと合わせて便利に使いたい人に向いています。

また、じぶん銀行と組み合わせて利用すれば、じぶん銀行の普通預金口座の残高から即時にチャージができるので、デビットカードのように口座残高の範囲で利用することも可能です。

一つの決済手段ですべてをまかなうのは無理。だったらどう組み合わせるのがいい?

メインとなる決済手段を選んだら、それを補完する決済手段をプラスするとキャッシュレスに近づきます。たとえばWAONやnanacoのように、よく使うスーパーなど、普段使いができポイントが貯めやすいといったメリットが高い決済手段を組み合わせるのがおすすめです。毎月決めた予算の分だけチャージしてその範囲で買い物をすれば、家計管理も楽にできるので一石二鳥です。

今やたくさんの決済手段があり、お店ごとにお得な方法が異なるケースもあるでしょう。でも、あれもこれもたくさん使ってしまうと、ポイントが分散したり、管理も煩雑になったりといったデメリットも。それを解決するには利用頻度や支出額を考えながら2,3種類に絞って使うほうがいいでしょう。

2019年10月より消費税率が8%から10%に引き上げられることに伴って、キャッシュレス決済をした場合にポイント還元を受けられるようになる予定ですが、どんなキャッシュレス決済でもポイント還元の対象になるわけではありません。

2019年3月現在のところ三井住友やUCカード、Suica、nanacoなどのクレジットカードや電子マネーの100を超える事業者が申請をしています。利用する決済手段を選ぶときには、ポイントが還元されるかどうかも確認して利用しやすいものを選ぶといいでしょう。それぞれ独自のポイント制度も生かせばさらにお得にポイントを貯められ、家計の助けになるはずです。

  • 鈴木弥生

堀内玲子

証券会社勤務後、編集製作会社で女性誌、マネー関連書などの編集を経て93年に独立。 96年ファイナンシャルプランナー資格を取得。FPとして金融・マネー記事などの執筆活動を中心に、セミナー講師、家計相談などを行う。著書に「あなたの虎の子資産倍増計画」(PHP研究所・共著)「年代別 ライフスタイル別 生命保険のマル得見直し教室」(大和出版)など。