会社組織の中でおこなわれるほとんどの業務には、大なり小なりの「意志決定」が存在します。仕事の流れをつかむためにも、意志決定にまつわる用語をしっかり理解していきましょう。
決裁とは何か
「決裁」とは、部下の案をOKしたり、あるいはダメ出しをしたりすることです。
会社組織においては、物品を購入するにも、新しいプロジェクトを始めるにも、異業種と提携するにも、必ず決裁が必要になります。決裁を待つ間は部下としてもどかしいこともありますが、その案に関する最終的な責任をとるのは、決裁権を持つ意志決定者です。
決裁者と決裁権
決裁できる契約の内容や規模の違い・職務の種類は、役職によって変わります。たとえば3,000万円未満の決裁は部門長レベル、社員の人事異動は経営会議レベル、といった具合です。
決裁権は役職を持つ個人だけが持つものではありません。とくに企業経営に関わるような案件は、経営会議や取締役会などの承認をもって決裁完了とされます。
重要事項の決裁には「決裁書」が発行される場合もあります。決済日と最終決裁者の署名捺印あるいは電子証明が付与された書類で、銀行や監査法人に対するエビデンスとなります。
もろもろの検討が終わって、GOサインが出たときは「決裁が下りた」と表現されます。
決裁と稟議の違い
「稟議」は、関係者に回覧し承認を求める部分は決裁と似ていますが、稟議の目的である「会議を開催する手数を省くため」という部分が決裁と大きく異なります。
決裁そのものは、権限保有者が部下策定案の可否を決定することですので、会議の代わりに書類を回覧する稟議は、決裁をとるための1つの手段です。
決裁を使用した例文
【例文】
「決裁を得るためのプレゼンが上手くできなくて恥ずかしい……」
承認とは何か
辞書的な「承認」とは「そのことが正当または事実であると認めること」です。
決裁と承認の違い
ではビジネス的な意味はというと(労働法などで明確な定義がされているわけではありませんが)、承認とは、決裁の前段階における「準OK」です。「ルール上は未決定だけど、今のところ良さそうだから予選通過ね」という場面でよく使われます。
例えば稟議書を回す場合は、まず直属の上司に渡し、そこからさらに上の決裁者へと進みます。起案内容について、直属の上司以降のメンバーが「正統である」と認めなければ、決裁を得ることはできません。承認の積み重ねの上に、決裁があるのです。
承認を使用した例文
【例文】
「ウチの会社は500円の文房具を買うのにも承認に3日以上かかる」