大会でいかに結果を残すか、ということに自然と意識が向いていった
――上山選手は2016年のリオデジャネイロでのパラリンピックに初出場されました。リオ出場が決定したときには、どのようなお気持ちでしたか?
もともとリオ2016への出場は狙っていたのですが、「世界最終予選3位以上でリオ確定」という試合で、ギリギリ3位だったので、滑り込みという感じでした。ただ、出場しただけで満足するような選手にはなりたくなかったので、大会でいかに結果を残すか、ということに自然と意識が向いていった感じです。
――リオ大会では7位に入賞されましたが、ご自身では、この結果についてどのような受け止めていらっしゃいますか。
リオに行く前は、もともと「目標はベスト8」と考えていたんです。ただ、実際に現地に行ったら、負けを考えていてはベスト8にも入れない世界だと痛感して。それからは金メダルしか見ていませんでした。だからこそ、7位入賞という結果は、自分にとっては悔しいものでしたね。
また、最後は金メダルをとった選手にトーナメントで負けてしまったので、トーナメントの位置が違っていれば、メダルが獲れたのでは……という気持ちも正直ありました。
――また、リオでの印象深いエピソードがあれば教えてください。
ブラジルの選手の活躍ですね。地元の観客からの大きな声援を、しっかり自分の力に変えているのを目にして。予選のときに、彼は自分よりずっと下の成績だったのですが、最終的には強豪たちを倒して4位に入賞を果たしていました。観客の声援が、これほどまでに選手の後押しにつながるのだなとすごく驚きましたね。
――リオでの入賞後、ご自身の周りで変化はありましたか?
講演の依頼や、メディア出演がすごく増えて、注目度がアップした実感はものすごくあります。東京2020大会に向けて応援の声をいただくことも増えたので、より一層がんばらなければと感じるようになりました。
緊張感やうれしさを、選手と一緒になって味わえる
――お写真や動画を拝見すると、競技中の上山友裕さんはとても凛々しくてカッコイイと感じました。パラアーチェリー選手ってモテますか。
ありがとうございます(笑)。ただ、パラアーチェリーは、モテるスポーツというわけでは全然なく、国内大会では観客がゼロということもザラにあります。でも、僕から見ても、パラアーチェリーをやっている選手たちの姿は、みんな凛々しくてかっこいいと思いますよ。
――ツイッターに載せている写真を見たらサッカーの香川真司選手に似ているな……と思ったのですが、言われたことはないですか。
何度か言われたことはあります。香川選手のファンには怒られそうですが(笑)。ただ、世界で活躍する、別分野のトップアスリートに似ているといわれるのは光栄です!
――アーチェリーをやっていることで、日常生活でついつい出てしまう競技病的なクセはありますか?
クセというわけではないのですが、視力検査のときに、ものすごく集中して記号を見てしまいます。最初は見えなくても、70m先の的を見るようなイメージで集中をはじめると、不思議と見えてくるんですよね。ちなみに、アーチェリーをやるようになってから、実際に視力もよくなっているようで、0.4まで下がっていた右目の視力が1.0まで回復しました。
――差支えなければ、ご家族構成について教えてください。また、お休みの日などはどのように過ごしていますか。
現在は、妻と子どもと暮らしています。練習や試合で忙しい毎日ですが、子どもと遊ぶ時間は意識して確保するようにしていますね。子ども用のアーチェリーで一緒に遊ぶこともありますよ。
――競技と日常生活のオン・オフについてどのような切り替えをしていますか? また、プライベートでの趣味があれば教えてください。
ずっとアーチェリーのことを考えているので、オン・オフの切り替えはあまりないかもしれません。趣味もこれといったものがないので……。友達と食事にいっても、ついついアーチェリーの話をしてしまいますね。
――まだ観戦の経験がない方に、「アーチェリーの魅力」や「楽しみ方のコツ」を教えてください。
観戦するときには、1人の選手を応援すると良いと思います。アーチェリーは、選手と観客の気持ちがシンクロしやすいスポーツ。弓をひいて矢を放つまでの緊張感や、的に当たったときのうれしさを、選手と一緒になって味わうことができると思います。