3月17日、渡辺明棋王に広瀬章人竜王が挑戦する第44期棋王戦五番勝負第4局が宇都宮市「宇都宮グランドホテル」で行われ、渡辺棋王が勝ってシリーズ成績を3-1とし防衛、同棋戦7連覇を達成しました。2月には第68期王将戦七番勝負に挑戦者として登場、久保利明王将(当時)を4-0のストレートで下し王将位を奪取していて、二冠を保持して来期を迎えることとなりました。
タイトル連覇の歴代1位記録は驚異の「19」
7連覇が偉業であることは異論の余地がないところですが、渡辺二冠は2004年度から2012年度、第17期から第25期の竜王戦で、それをさらに上回る9連覇を達成しています。
他にタイトル戦9連覇を記録した棋士は達成順に大山康晴十五世名人(1963年度~1971年度、王将戦)、中原誠十六世名人(1972年度~1981年度、名人戦※途中1期の休催あり)、羽生善治九段(1993年度~2001年度、王位戦)の永世名人3人のみ。タイトル戦登場30回、獲得22期の実績を持ちながらこれまでなぜか名人戦と縁のない渡辺二冠ですが、記録の上では永世名人しかなし得ていないことを2012年時点で達成しているのです。
ちなみに、9連覇を超える記録はこれまで大山十五世名人と羽生九段のただ2人しか達成していません。10連覇(羽生九段、2008年度~2017年度、棋聖戦)、12連覇(大山十五世名人、1960年度~1971年度、王位戦と、羽生九段、1990年度~2001年度、棋王戦)、13連覇(大山十五世名人、1959年度~1971年度、名人戦)と続き、歴代1位記録は羽生九段、驚異の19連覇(1992年度~2010年度、王座戦)となっています。
渡辺棋王は前期2017年度、竜王を奪われ棋王の一冠に転落、順位戦でもA級から初めて降級と苦難の期でしたが、今期は二冠に復帰、そして順位戦も12戦全勝でA級即復帰、勝率も全棋士中第2位(※3月19日現在)と完全復調を感じさせる期となりました。棋王戦の防衛戦はまだ先、来年の話となりますが、この勢い、勝率を持続させれば、自身の持つ記録9連覇に追い付き、さらに伸ばして歴代記録の上位に名を刻むことも夢ではなくなります。