JR西日本岡山支社は8日、尾道駅新駅舎のプレス関係者内覧会を実施した。尾道駅ではせとうちエリア周遊の新拠点として駅舎の建替え工事が進められ、3月10日から新駅舎を供用開始する予定。尾道ならではの店舗も出店する。

  • 山陽本線尾道駅の新駅舎は3月10日から供用開始(写真:マイナビニュース)

    山陽本線尾道駅の新駅舎は3月10日から供用開始

新駅舎と出店店舗のデザイン監修はアトリエ・ワン一級建築士事務所が担当した。新駅舎は鉄骨造り・地上2階建て。瓦屋根や深い軒といった初代駅舎(明治24年当時)の趣を踏襲しつつ、尾道水道が紡いだ中世からの箱庭都市に即した箱庭形状により、尾道の街並みと融和したデザインとなる。1階コンコースは吹抜けを介して自然光を取り入れ、明るく開放的な空間に。2階は南側へ傾斜する屋根を一部くり抜くようにして外部へ開放し、駅周辺や尾道水道の眺めを楽しめる眺望デッキを設けた。

改札口、券売機、駅事務室や「みどりの窓口」といった駅機能は1階にあり、山陽本線下りホーム(三原・広島方面)から段差なしで駅前広場に出られる。改札口付近に「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の専用出入口も。改札横のコインロッカーは「ICOCA」対応。千光寺山と尾道水道をイメージさせる色であり、「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」ともマッチする濃い緑色を採用している。待合スペースに木のいすを置き、観光案内所は「おのたびゲート」と命名された特徴的な形状の階段と一体化している。バリアフリー設備として、1・2階を行き来できるエレベーターや多機能トイレなども用意される。

  • 新駅舎の1階コンコースは吹抜け構造の開放的な空間に。改札口付近に「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の専用出入口も

  • 改札横に待合スペースとコインロッカー、「おのたびゲート」と命名された階段の1階に観光案内所がある

  • 新駅舎2階の眺望デッキ。駅前と尾道水道の景色を眺められる

新駅舎では5店舗が出店。「シンクロコミュニティ」を店舗コンセプトに、憩いの場・賑わいの場を創出し、多様な人々が集う交流の場となることをめざした。1階コンコースの西側に「セブン-イレブン ハート・イン」、東側にカフェ・おにぎりスタンド・ショップ・レンタサイクルを併設した「おのまる商店」が入り、両店舗とも尾道にちなんだお土産商品も販売。レンタサイクルは2タイプ用意し、街や島々をポタリングできるという。昔ながらの懐かしさを感じさせる飲食店「食堂ミチ」も1階に出店する。

2階は喫茶レストラン「喫茶NEO」が出店するほか、身軽な旅を演出するホステルタイプの宿泊施設「m3 HOSTEL」(エムスリーホステル)が入った。客室は「プライベートルーム」(14室。定員2名。税別1万円~)、「バンクベッドルーム」(11室。定員2名。税別8,000円~)、「コンパートメントルーム」(4室。定員4名。税別1万2,000円~)の3タイプ。長期滞在者向けにラウンジやミニキッチン、ランドリー、販売用アメニティも用意した。立地を生かし、ラウンジや客室の窓から山陽本線と尾道水道の景色も眺められるとのこと。

内覧会では尾道駅長の片岡茂樹氏が新駅舎の概要説明を行った。「改札を出てすぐ尾道水道の景色を見られるところは旧駅舎と変わりませんが、(新駅舎は)より間口を広げ、吹抜け構造とすることで明るくなり、瀬戸内の気候を存分に感じていただける設計になっています」「眺望デッキからは尾道水道の景色がよく見えますし、観光客や市民の皆様が思い思いの時間を過ごせるように大きくスペースを取っています。ぜひ2階にも上がっていただきたいと思います」と片岡駅長は話す。

  • 新駅舎2階「喫茶NEO」「m3 HOSTEL」の入口付近にブックラウンジを設置。大きなセンターテーブルは旧駅舎の梁を活用したという

  • 新駅舎2階の簡易宿泊施設「m3 HOSTEL」。山陽本線や尾道水道の景色も眺められる

  • 「おのまる商店」は尾道の食とグッズを集めたパントリー型店舗。レンタサイクルも取り扱う

  • 「セブン-イレブン ハート・イン」の営業時間は5時30分から23時30分まで。尾道独自のお土産商品も販売

  • 新駅舎1階「食堂ミチ」。尾道の郷土料理から発想したメニューが並ぶ

「m3 HOSTEL」「喫茶NEO」の入口正面にブックラウンジがあり、本を取って読むこともできるという。ここに置かれたテーブル・いすに関して、片岡駅長から「旧駅舎の木材を使って製作されています」との説明も。「尾道駅の歴史を感じつつ、このスペースをご利用いただければ」と話していた。

尾道駅新駅舎が供用開始する3月10日、駅前広場にて13時から開業式典を開催。地元小学生による太鼓演奏や開業記念ソング披露などを予定しており、式典の後には新駅舎のデザイン監修を担当したアトリエ・ワン一級建築士事務所の建築家2名と片岡駅長によるトークセッションが行われる。他にも開業記念イベントを企画しているとのこと。尾道駅舎でのイベント等は今後、尾道駅総合ウェブサイト「おのえき」で随時発信される。

  • 尾道駅新駅舎の内観・外観