小栗旬主演のテレビ東京開局55周年特別企画ドラマスペシャル『二つの祖国』(3月23日、24日ともに21:00~)の追加出演者が1日、明らかになった。

  • 上段左から仲村トオル、余貴美子、リリー・フランキー、田中哲司。下段左から柄本佑、甲本雅裕、泉谷しげる、中村雅俊。

同作は、山崎豊子の同名小説を実写化。共に日系二世でUCLAの同級生でありながら、「日本人であること」に正反対の考えを持つ天羽賢治(小栗)とチャーリー田宮(ムロツヨシ)。太平洋戦争が始まり、賢治ら二世はアメリカか日本か、どちらの国に忠誠を誓うか、「二つの祖国」の狭間で選択を迫られることになる。

今回明らかになったのは、8人の実力派俳優たち。女優の余貴美子は、主人公・天羽賢治の父・天羽乙七(松重豊)の姉・天羽鷹を演じる。また、元総理大臣、政治家・広田弘毅役のリリー・フランキー、賢治の勤める加州新報社長・松井竹虎役の仲村トオル、日本語学校の主任教官・オーソン相川役の田中哲司、賢治の妻・天羽エミー(仲里依紗)の実父・畑中万作役の泉谷しげると、同局ドラマでも主役級の役者が揃う。

さらに、マンザナール収容所でチャーリーたち"プロアメリカン"と敵対する"プロジャパン"のリーダー・池島努を柄本佑、広島日赤病院の医師・倉石隆信を甲本雅裕、国際法学者・横山喜三郎を中村雅俊が演じる。また、出演者の発表にあわせ、メインキャスト勢揃いのポスターも公開された。

田淵俊彦プロデューサー コメント

今回発表する8人の俳優の皆さんは圧倒的な存在感を誇る方々ばかりで、「その方にお願いする意味」が明確にあり、作品の意義や山崎豊子作品というスケールに共感してくれた猛者たちである。中村雅俊さんと仲村トオルさんは、時代は違うがどちらも青春ドラマを牽引してきた大ベテランである。今回の青春群像劇を彩るには必要不可欠だと考えた。

横山教授という敗戦国の学者でありながらアメリカに対して思うところを押し殺し、賢治に接する懐の深さを表現できるのは中村雅俊しかいないと思っていた。松井社長という賢治の人格のベースとなる思想を創り上げるまっすぐな情熱というものを表現できるのは仲村トオルだと直感していた。柄本佑さんはビシッと芯の通った俳優だ。私はドキュメンタリーで一緒にミャンマーに旅をしてそれを身に染みて知っている。池島の「かたくなさ」を「人間の負の部分」としてではない表現として見せられるのは柄本佑だと確信していた。

甲本雅裕さんや田中哲司さんはバイプレイヤーとしてあらゆる作品に引っ張りだこだが、今回のように「表向き=建前」⇔「心の中=本音」を演技で表現することが出来る稀有な俳優だ。倉石医師も横山教授と同じようにアメリカには思うところがある。それを医師という「職業」の仮面に隠す甲本雅裕の演技を見たいと思った。オーソン相川はアメリカ人社会で成功した日系二世としての誇りを強く持っている人物だ。「きみも私のように振舞えば成功する」と賢治を揺さぶってくる。その賢治との心理戦での田中哲司は圧巻に違いないと感じていた。

余貴美子さんは強い女性の役が秀逸だ。しかし強いだけではない。情けや温かさといった「温情」が上手い。鷹には余貴美子しか思い浮かばなかった。泉谷しげるさんの演技には「愛」がある。表面的ではない「下町的な」深さというか、心に訴えかける強さだ。だが万作は一癖も二癖もある父親。愛情の裏返しがどんな感じになるのか、泉谷しげる節を期待した。リリー・フランキーさんはご存知の通り、強烈なキャラクターの役が多い。しかし今回の広田弘毅は殆ど喋らない。寡黙で表情一つで気持ちを表現する役だ。本来、リリー・フランキーとはそのような表現者ではないのか。私は常々そう思っていた。

皆さん、主役級の方々ばかりであるが、今回のキャスティングの妙は、以上のようにそれぞれの俳優にこの役をやってもらう適材適所の意味があり、それらを十分に理解した上で彼らは作品に参加することを決めてくれたことである。それだけに現場の熱量は半端無かった。一人一人の猛者たちが、他の演者とぶつかり合い、そしてコラボレーションしてゆくという素晴らしい化学反応が生まれた。視聴者の皆さんが私のキャスティングの理由を知った上でリアルタイムにこのドラマを見て頂くと、8人の猛者たちの一挙一動が存分に楽しめることだろう。