第12回朝日杯将棋オープン戦の準決勝、決勝が2月16日、東京都千代田区「有楽町マリオン」で行われ、藤井聡太七段が準決勝で行方尚史八段、決勝で渡辺明棋王をいずれも完勝と言って差し支えない内容で破り、第11回に続き優勝の栄冠を手にしました。
同棋戦における連覇は第7回から第9回に羽生善治九段が達成して以来2人目の快挙です。また、これまでの全棋士参加棋戦連覇の最年少記録は羽生九段が持つ18歳2カ月でしたので、藤井七段は16歳6カ月ですから大幅な更新となりました。
これがどれくらいすごいことなのか。ここで、羽生九段と藤井七段のプロ入り後3年以内の棋戦優勝の記録をご覧ください(画像)。
羽生九段はプロ2年目終盤に、当時あった若手棋戦の第10回若獅子戦で棋戦初優勝の後、こちらも終了棋戦である、現在の叡王戦のような段位別予選を経て本戦が行われる第3回天王戦で全棋士参加棋戦初優勝を成し遂げています。3年目の終盤には第19回新人王戦で優勝、そして第4回天王戦で棋戦連覇を果たしました。
藤井七段のほうを見ますと、若手棋戦優勝の分、羽生九段に比べて数は1つ少ないのですが、連覇に関しては早く達成しています。連覇の間に新人王戦の優勝が挟まっている点が同じなのは単なる偶然でしょうか。回数、時間の違いはあれど、まるで偉大な先輩の足跡をたどっているようにさえ感じてしまいます。
表は3年で区切らせていただきましたが、羽生九段はこの直後(1988年度内)に終了棋戦の第11回オールスター勝ち抜き戦(6人抜き…5人抜き以上で棋戦優勝1回と換算された)、そして名人経験者4人に勝利、特に加藤一二三九段戦における「鮮烈の▲5二銀」があまりにも有名な第38回NHK杯戦優勝と着実に実績を積み、翌1989年度には初タイトルの「竜王」を獲得しています。
今後が楽しみになるばかりの藤井七段による快進撃。果たして若かりし頃の羽生九段のように、この連覇を足掛かりに棋戦優勝を積み重ね、早期のタイトル奪取まで突き抜けることができるでしょうか。