視聴者からの反響にはどんなものがあったか?の質問に対して白倉氏は、「第6話で、乾巧が木場勇治の車からスマートブレインのバッジを盗むためピッキングを図ろうとする場面(未遂に終わったが)があったでしょう。あれを観た視聴者の方から『あんな悪いやつを主人公にするな』というお叱りを受けたことがありました」と、良い反響ではなく"悪い"反響の例を挙げて半田を驚かせた。

白倉氏は続けて「世の中には、仮面ライダーには未遂であっても犯罪めいたことをしてはいけない、という思いを持たれる方もいるんでしょうね」と、人気番組であるがゆえにさまざまな意見・感想が寄せられたことを明かした。さらに半田が「ここ数年で、そういった規制も厳しくなっているんでしょう」と尋ねると、白倉氏は「劇中の描写で、怪人が現れて主人公がバイクでかけつけようとすると、『バイクのナンバープレートがないといかん』とか、『赤信号は守れ』とか言われてしまう。車に乗っている『仮面ライダードライブ』だと、まずシートベルトをしっかりしめるところから描かなければいけない」と、日常を超えた非日常の世界を描く"フィクション"の変身ヒーロー作品の中でも、社会常識を鑑みた"縛り"が年々多くなってきている実情を語った。

『555』撮影当時から16年という月日が経った実感として「今と当時では、走っている電車の形が変わっている」ことを挙げた半田は「JR宇都宮線直通の115系がまだ走っていたんですよ。オレンジと緑の重いやつ。監督がちゃんと115系を撮ってくれているんですよ。もうそのときは新型の231系も走っていましたから、それでもよかったのに、わざと(旧国鉄時代からの)115系を撮ってくれるなんて……これ、俺のためなのかなって思いました」と、いきなり鉄道車輛についてのマニアックなこだわりを披露。その熱意に押された白倉氏は「ちょっと、タモリさん呼んでもらっていいですか(笑)」と、半田の豊富な鉄道知識と強い思い入れによってこの場がいきなり『タモリ倶楽部』のような雰囲気に変わったことに戸惑う様子を見せた。

乾巧は、変身ベルト「ファイズドライバー」に携帯電話「ファイズフォン」を装填することにより、仮面ライダーファイズへと変身する。ファイズフォンは携帯電話としての機能のほかに、フォンブラスターという銃に変形することも可能である。これについて白倉氏は「企画初期では、映画『スパイキッズ』(2001年)のように、実際にありそうなガジェットを武器として使いこなすのって面白いんじゃないか、という発想から始まっている。そこから、スマートブレイン社という大企業がそういうガジェットを製造するという設定なら、うまく(作品に)溶け込めるんじゃないの……みたいにして作っていきました」と、携帯電話やデジタルカメラなど、日常的に人々が使うガジェットがヒーローの秘密武器となる設定を固めていった経緯を述べた。

半田はこの言葉を受けて「今でいう"ガラケー"を高校生くらいの年齢から持ち始めたのが、僕らの世代だった。当たり前のものではなく、とても"新しい"感覚のあるアイテムとして携帯電話が存在し、メールによるやりとりが若者を中心に流行し始めた時期」と、近未来的ガジェットとして携帯電話が使われた作品世界に、すんなり入っていくことができたと話した。

半田は2018年9月30日と10月7日に放送された『仮面ライダージオウ』のEP5、6において、草加雅人役の村上幸平と共にゲスト出演。ひさびさに乾巧を演じてファンを歓喜させている。出演の感想を求められた半田は「『仮面ライダー大戦』や『仮面ライダー3号』『仮面ライダー4号』のとき以上にうれしかった。『555』のテレビ放送のころは経験が浅く、表現できなかったニュアンスを出すことができればいいな、と思って演じました。でも、やりすぎて"ちょっと渋すぎるな"と言われてしまい、だんだん"藤岡弘、"さんに近づいてきたかな……。でもそれは、けっこうなことじゃないかと! 僕は藤岡弘、さんの次に"話の長い男"になります(笑)」と、仮面ライダー1号/本郷猛を演じる大先輩俳優・藤岡弘、へのリスペクトを含みつつ、熱いコメントを残した。