東京都交通局は2月11日始発から、都営大江戸線勝どき駅の新ホーム・コンコースを供用開始する。これに先立ち、2月8日に内覧会が行われた。

  • 都営大江戸線の新設ホームから既設ホームを見る。列車が到着すると混雑する(写真:マイナビニュース)

    都営大江戸線の新設ホームから既設ホームを見る。列車が到着すると混雑する

勝どき駅では2011(平成23)年度以降、混雑緩和と利便性向上を図るために総事業費約160億円を投じて駅改良工事が進められてきた。

■急激に増加する駅利用者に対応

勝どき駅は都営大江戸線が全通した2000(平成12)年12月12日に開業。初年度の1日平均乗降客数は3万人程度だったが、2017年度は10万2,315人にまで増加している。この数字は都営大江戸線において、新宿駅(14万2,296人)、大門駅(13万1,584人)に次ぐ3位であり、六本木駅(10万587人)をも上回る。

その背景としては、2001年にオフィスビルを中核とした大規模な複合施設「晴海トリトンスクエア」が駅徒歩圏内にオープンしたことや、駅周辺の再開発が進み、多くの高層マンションが建設されたことによる人口増などが挙げられる。

このため、ラッシュ時には「電車に乗るお客様、降りるお客様が交錯し、ホーム上が非常に混雑」するだけでなく、「ホームから地上の出入口まで非常に時間がかかる状況が発生」していたと東京都交通局は説明。駅改良工事の完成が待たれていた。

■ホーム新設とコンコース分断解消

勝どき駅のホームはこれまで島式ホーム1面2線で運用されてきたが、今回の駅改良工事でホームが1面新設された。今後は既存ホームを両国方面、新設ホームを大門方面の専用ホームとすることで、乗降客の流れを円滑にする。

  • 2月11日から供用開始される新設ホーム

新設ホームでは、改札階との昇降設備としてエレベーター1カ所とエスカレーター(階段併設)3カ所、階段のみの箇所が1カ所設置される。既存ホームよりもエスカレーターが1カ所多く、上下の動線がより強化される。今後は既存ホームにもエスカレーターを1カ所増設し、両ホームの昇降設備を同数とする。

新設ホームの供用開始後、既存ホームのこれまで大門方面の列車が停車していた側は閉鎖される。当面は仮の柵が設けられ、最終的にはパネル状の仕切り(高さ約1.6m)が設置されるという。

  • 地下階の改札外コンコースの大門側・両国側の分断が解消され、拡幅も行われた

新たなホームの設置とともに、今回の工事の目玉となるのが、これまで晴海通りを挟んで大門側・両国側に分断されていた地下1階の改札外コンコースの一体化と拡幅だ。

「駅開業当時、真上を通る晴海通りの立体交差計画との兼ね合いで、コンコースをつなげることができませんでした。その後、道路事業との調整が行われ、道路・駅双方の工事が可能になりました」と東京都交通局。コンコースが一体になることで、ホーム上のどの階段・エスカレーターを上がっても、コンコース経由ですべての地上出入口を利用できるようになり、利便性が向上する。

  • これまでの両国側改札は手狭だったが、今後は新設の大きめな改札に切り替える

  • 新しくなった駅務室はすでに使用開始されている(2月8日撮影)

その他、これまでの両国側改札も手狭だったことから、2月11日以降は大きめの新改札に切り替えられる。同日から新たな地上出入口「A3a」も供用開始する。

■勝どき駅周辺は今後も人口増加が見込まれるが…

勝どき駅周辺では、現在も複数の市街地再開発事業が進行している。また、近隣の晴海5丁目では、2020年の東京五輪開催に向けた選手村の建設も進む。選手村は五輪後、住宅に転用される計画となっている。

  • 勝どき駅から地上に出ると、周囲には多くの高層マンションが建ち並んでいる

  • 勝どき駅周辺では、複数の市街地再開発案件が進んでいる。写真は勝どき東地区

東京都中央区のホームページによれば、勝どき駅のある中央区月島地域(佃、月島、勝どき、豊海町、晴海を合わせたエリア)の人口は現在、約7万4,000人とのこと。一方、中央区は「中央区人口ビジョン」の中で、2026年の月島地域の人口を約10万7,000人と試算しており、今後、人口増に拍車がかかる見通しとなっている。

勝どき駅における今回の駅改良工事は、こうした今後の人口増を見越したものになっているのだろうか。この疑問に対し、東京都交通局では「駅工事の計画時点では、五輪選手村の計画はまだありませんでしたが、今回の改良工事の結果、あと数万人お客様が増えても駅として耐えられる広さと構造を確保しています」と説明する。

  • 晴海の東京五輪選手村予定地。勝どき駅が最寄り駅となる

とはいえ、周辺で進んでいる再開発事業の規模の大きさを目の当たりにすると、数年後にはまた、これまでと同じような混雑状況が再び生じるのではないか。そんなことを考えずにはいられない。

なお、勝どき駅の改良工事はこれですべて完了したわけではない。2月11日からの新ホーム・コンコース供用開始後も既存ホームへのエスカレーター増設や工事用仮囲いの撤去などが進められる。完工は東京五輪開催前の2020年6月を予定しているという。