ボルダリングの日本ナンバーワンプレイヤーを決める「第14回ボルダリングジャパンカップ」がこのほど、都内で開催された。2日にわたる競技の末、男子は石松大晟(たいせい)選手が、女子は野中生萌(みほう)選手が優勝を果たした。

  • 「第14回ボルダリングジャパンカップ」で優勝を飾った石松大晟選手(左)と野中生萌選手

    「第14回ボルダリングジャパンカップ」で優勝を飾った石松大晟選手(左)と野中生萌選手

「ボルダリング」とは、東京2020オリンピック・パラリンピックの競技種目「スポーツクライミング」の一種。東京五輪ではボルダリングのほかに「スピード」「リード」と呼ばれる種目も行い、3種目の総合ポイントでメダルを争う。

この3種目の中で、ボルダリングは高さ4メートル程度の壁に設定されたコースを4分の制限時間内にいくつ登れるかを競う。壁には「ホールド」と呼ばれる突起物が設けられており、選手はこのホールドをつかんだり足を乗せたりしてゴールであるトップ(最上部)を目指す。トップのホールドを両手で保持すると、そのコース(課題)をクリア(完登)したとみなされる。

  • ボルダリングには体力と知力が求められる

    ボルダリングには体力と知力が求められる

ホールドは指先しか置けない程度の小さなものから、両手でも抱えきれないものなど、大小はさまざま。登るために次にどこのホールドをつかむべきか、そのとき足はどこの位置にもっていくべきなのかを考えながら、選手たちは競技をしなければならない。体力はもちろん、トップまでのルートを正確に見極めるための頭脳も求められるスポーツだ。

  • 選手は競技中にどのルートを行くのがベストなのかを見極める必要がある

    選手は競技中にどのルートを行くのがベストなのかを見極める必要がある

ジャパンカップの期間中はスポンサーである久光製薬や日本航空、住友商事なども会場にブースを出展。トッププレイヤーたちの競技を一目見ようと会場に駆け付けた来場者も多く、東京五輪に向けてスポーツクライミングへの熱量が高まっていることがうかがえた。

日本人選手は、このボルダリングを得意としている。例えば、2018年にオーストリアで開催されたスポーツクライミング世界選手権では、男子ボルダリングにおいて大学生の原田海選手が初出場初優勝という快挙を成し遂げてみせた。前年大会は楢崎智亜選手が優勝しており、2年連続で日本人選手が「世界一」の称号を手にしている。女子の部では野口啓代選手が2位、野中選手が5位に入る奮闘を見せた。

ただ元来、スピード、ボルダリング、リードはそれぞれの競技特性が全く異なる。それだけに、選手によって得意な種目とそうでない種目がある。スポーツクライミングは2020年の東京五輪より新たな種目として採用されたわけだが、この3種目のトータルで競う経験をしている選手は少ない。

スポーツクライミングの日本代表はまだ決まっていないが、選手の悲願である「地元五輪でのメダル獲得」という名誉のためには、クライミングの総合力を高めることが必要なりそうだ。

  • 東京五輪では多くの日本人メダリストを期待しよう

    東京五輪では多くの日本人メダリストを期待しよう

なお、近年は各地にボルダリングを楽しめる施設も増えてきている。これらの施設は難易度の高いものから低いものまで複数のコースが用意されているため、初心者や上級者に関係なく競技を楽しめるのがボルダリングの魅力の一つと言えよう。日頃から運動不足に悩んでおり、「何かスポーツを始めたい」と考えている人は、手軽にできるこの五輪競技を試してみるのもありかも!?

(撮影:石津祐介)