2019年1月25日に期間限定上映が行われ、4月24日にBlu-ray&DVDが発売される東映Vシネクスト『ビルドNEW WORLD 仮面ライダークローズ』の完成披露上映会が15日、東京・新宿バルト9にて開催され、主役の赤楚衛二をはじめとするメインキャストと山口恭平監督が舞台挨拶に登壇した。

  • 左から滝裕可里、高田夏帆、赤楚衛二、永尾まりや、進藤学、山口恭平監督

『ビルドNEW WORLD 仮面ライダークローズ』とは、2017~2018年に放送された特撮テレビドラマ『仮面ライダービルド』の最終回の"その後"を描いた、正統な続編となるオリジナルVシネマである。仮面ライダービルド/桐生戦兎(演:犬飼貴丈)と共に人類を守るため戦った仮面ライダークローズ/万丈龍我(演:赤楚衛二)にスポットが当てられ、ふたたび訪れた地球滅亡の脅威に立ち向かうクローズの激闘が描かれている。

地球外生命体エボルトの猛威から人々の命を救うべく、桐生戦兎は苦難の末に「新世界」を作り出し、エボルトを葬ることにも成功した。忌まわしい記憶を失くした人々は新世界で平和に暮らしていたが、ある時エボルトの兄・キルバスが出現し、人類はふたたび滅亡の危機に。戦兎の相棒として幾多の苦難を共に乗り越えてきた万丈龍我は、今また仮面ライダークローズに変身し、圧倒的な力を備えるキルバスの攻撃に全力で立ち向かっていく……。

本作の主役・仮面ライダークローズ/万丈龍我を演じる赤楚衛二は、劇中でも印象的な使われ方をしているという名フレーズ「プロテインの貴公子、万丈龍我だ!!」で挨拶し、客席を盛り上げた。上映直後の舞台挨拶ということで、作品を観たばかりのファンに「映画、どうでした?」と赤楚が問いかけると、客席から割れんばかりの大拍手が返ってきた。

万丈が主役になった本作の台本を初めて読んだときの感想は?というMCの問いには「ページを一枚めくると、最初に"赤楚衛二"と"永徳"さんの名前が並んでいたのがうれしい」と、仮面ライダークローズのスーツアクションを務める永徳と2人でキャスト欄のトップに名前があることへの喜びをあらわにした。作品内容については「わりと重めのお話で、衝撃の事実がわかったり……。ですから、これは頑張っていかないといけないな!と思いました」と気合いを入れて撮影に臨んだことを明かした。

また、テレビシリーズの宿敵であるエボルトが復活した上に、今回はクローズの"相棒"になることについて赤楚は「衝撃ですよね。1年間ずっと戦ってきた相手と、今さら仲良くなれるかと思いきや……まあ、仲良くはなっていませんが、一緒に戦っています。化学反応って面白いんだなあと思いました」と、本作でのコンビがどのようにして成立したかの期待を煽るコメントを残した。

『ビルド』のヒロインで、ネットアイドル「みーたん」としても活躍した石動美空役・高田夏帆は「みーんなのアイドル~! みーたんだよっ!」と、今やおなじみとなったみーたんの挨拶を披露し、ファンとの再会を喜んだ。ひさびさに美空としてファンの前に姿を見せた高田は「仮面ライダーに関わらせていただくのがこの作品で最後になり、自分にとっても集大成で、気合いが入ると共に寂しい思いでいっぱい」と、テレビシリーズから本作まで1年以上にわたって美空を演じてきたこれまでを振り返って、感慨深げなコメントを残した。さらには「仮面ライダービルドのオーディションを受けているころ、大きなCMの仕事が入っていたのですが、事情でそれがなくなってしまったため、こちら(ビルド)に出演することができました。今にして思えば、ビルドに出演できたのは運命だったんだなと思います!」と、『ビルド』出演に至る秘話を打ち明けて、滝と共にあふれ出る感情を分かち合っていた。

謎めいたジャーナリストであり、一時は難波重工のスパイとして戦兎たちに接近していたが、後に改心して本当の仲間になった滝川紗羽役の滝裕可里は「すべては難波重工のために!」という難波チルドレンのセリフをもじって「すべては仮面ライダークローズのために!」と決めて会場を沸かせた。今回の作品では、紗羽をはじめとする数人が「新世界で失ったはずの過去の記憶を取り戻す」という展開になっているが、これについて滝は「最終回の"その後"は私たちも気になっていました。台本を読んだとき、新世界でまた記憶が戻って……、まあ、1人戻らなかった人もいますけれど(笑)」と、"難波チルドレン"的なコメントを交えつつ「みんなとの"ファミリー感"をひさしぶりに味わえてすごく嬉しかった」と感想を述べた。しかし、ただひとつだけ苦労したことがあったと言い、「幻徳さんのスーツ姿を見ていると、笑いがこみあげてきて(笑)」と、仮面ライダーローグ/氷室幻徳を演じた水上剣星の強烈な存在感を噛みしめつつ、仲間とのひさびさの共演が果たせたことに思いを馳せた。

本作のゲストで、仮面ライダーに"憎しみ"を抱く小学校教師・馬渕由衣を演じる永尾まりやは、「1年間一緒にやっていらっしゃったレギュラーの方たちに加わるので、最初は心配していましたが、みなさんがとても優しく話しかけてくださって"私も仲間に入れてくれるんだ"と驚くと共に、うれしかったです」とまぶしい笑顔で仮面ライダーシリーズ初出演についての感想を述べた。由衣という役については「仮面ライダーにいいイメージを抱いていない女性なので、冒頭で赤楚くんと一緒に演技をするシーンでは、あえて距離を縮めずにいようと思っていました。でもそれ以前に、私が人見知りだから全然しゃべれなかったんです」と、由衣と万丈との距離感(の変化)を意識したことを打ち明けた。

最初に撮ったシーンが、なんと由衣が万丈をビンタするシーンだったそうで、「本気でビンタしました」と笑う永尾を横で見ながら「ショックだった! 痛かった」と赤楚が嘆く場面も見られた。また、エボルトに憑依された万丈が由衣を弾き飛ばすシーンでは、赤楚が「僕なら考えられませんね。女性を弾き飛ばすなんて!」と自分の本意ではないことを強調しつつ「ごめんね」と永尾に謝る優しい一面をのぞかせた。

劇中では、仮面ライダーを信じてほしいと願う美空に心を動かされる由衣、という印象的なシーンがあり、共演した永尾と高田はたちまち仲良しになったという。これについて永尾は「初めて一緒に演技をしたとき、夏帆ちゃんが"さっき(セリフ)甘噛みしたよね?"って言ってきて、それがきっかけになって仲良くなりました」と、演技への指摘を機に打ち解けていったことを明かし、高田と顔を見合わせて微笑んだ。

同じく本作のゲスト、地球外生命体エボルトの兄キルバスの人間形態で、仮面ライダーキルバスにも変身する柿崎悟志を演じる進藤学は「みなさまご来場ありがとうございます。今日はちゃんとジャケットの下に服を着ております!」と、数年前にマスコミから注目された「オチョダイエット」のコスチュームを意識したトークと、テンション高めの低音美声で挨拶した。

これまでに特撮ヒーロー作品の出演経験が何度かある進藤だが、仮面ライダーシリーズへの出演は初となる。しかも悪の仮面ライダーに変身するとあって「もう変身せずに人生が終わると思っていたので、僕も変身できるんだ!という感動はひとしおでした」と、仮面ライダーのネームバリューの高さと「変身」できることへの喜びを痛感した。変身ポーズについての感想を求められると「僕が思っていた変身とは違って、いろんな"作業"が多くてビックリしました。ボトルを振って、それをノールックでベルトに挿すとか、レバーでグルグル回すとか」と、最近の仮面ライダーの変身にはベルトのギミックを見せる演出が施されていることに、改めて感心していた。

柿崎のキャラクター作りについては「まず真っ赤な衣装が用意されたのに驚きましたが、僕はいつも黒しか着ないので、今日はそれの赤バージョンにすればいいんだなと思って演じました。役作りに関しては山口監督から"進藤さん(のまま)で"とか"オチョで"とか言われまして(笑)。よくわからないまま、撮影初日はノープランで臨んでいました」と、"オチョ"で披露した濃厚なキャラクターを期待されていたことを打ち明けた。

やはり進藤といえば「オチョ」のイメージが強いようで、現場でもオチョダンスのレッスンを行っていたという証言が関係者から寄せられた。進藤は「オチョって話題に上ったのは5年くらい前ですよ。でも、そんなに掘り返してくれますかっていうくらい、スタッフさんから"オチョオチョ"言われて。僕はありがたいですけれど(笑)。こちらにいるお客さんたちは"オチョ"って何のことかわからない方もいると思いますので、一度"発声"をしてみましょう!」と、スペイン語で数字の「8」を示す「オチョ」を客席の全員と一緒に声に出して叫んでみるパフォーマンスを行った。

赤楚は「キャスト全員、オチョダンスを教わりました。これでチームが一丸となった感じがしました」と進藤のキャラクターによってキャストの絆が深まったことを明かし、高田も「剣星さんも『……楽しい』って静かな声で言っていましたよ」とオチョダンスを絶賛したが、進藤は「逆に離れていったんじゃないかな(笑)」と、自身の濃いキャラクターを十分自覚しながら、照れ隠しのようなコメントを残し、笑顔を見せた。このように楽しい「オチョダンスのレッスン風景」は、Blu-ray&DVDに「メイキング映像」として収録されることが決まったという。

『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』に続き、仮面ライダー映画のメガホンを取った山口恭平監督は、「テレビシリーズの後日談ということなので、新世界の中で唯一過去世界の記憶を持つ戦兎と万丈を描くため、小道具にも気を配りました。戦兎と同じ顔をした佐藤太郎(ツナ義ーズ)のポスターや、茶髪の万丈とは違う、新世界で格闘家をやっている(黒髪の)万丈のポスターを張ったり。それで、茶髪万丈は黒髪万丈のことが気に食わないはずだから、ポスターに落書きをしていたり(笑)。あの2人がどういう生活をしていたのか、という部分を小道具でも表現してみました」と、テレビシリーズを受け継ぐ続編ストーリーならではの「小道具へのこだわり」を語った。

山口監督の言葉を受けて、赤楚が「黒髪万丈のポスターについては、こちらのお2人から"無理なんだけど……"と言われたんですよ」と、高田、永尾の2人から拒絶反応を示されたことを明かすと、高田は「みなさん、詳しく観てください。ホント無理でしたから!」と、男性的魅力をアピールしている(らしい)赤楚のポスターが、ある意味必見であると声を強めていた。また、キルバス/柿崎を演じる進藤には「ちょっと危なっかしい人物を演じてくださいとお願いしたら、進藤さんが予想のナナメ上の芝居をしてきたので、申し訳ないけれどちょっと抑えてくださいと言ったことも」と、進藤の"濃い"芝居が期待以上の濃度だったことに満足げな様子を見せた。

  • フォトセッションにて、進藤学直伝「オチョ」のポーズを華麗に決める出演者一同

最後の挨拶では、赤楚が高田に向かって「僕はテレビシリーズの放送中、『ヒロインは万丈龍我』とネタで言っていましたが、夏帆ちゃんが『すごい落ち込んだ』と言っていたのを知りまして、この場で謝っておきたいと思います。すいませんでした!」と謝って見せた。すると高田が笑顔で「許す!」と言い、改めて『ビルド』チームの絆の深さが確認できる一場面となった。

続いて赤楚は「1年間、『ビルド』を応援してくださったファンのみなさんのおかげで、この場に立てたと思います。そして、今までの『ビルド』の世界観にお2人(進藤、永尾)が加わることにより、新しい化学反応が起こりました。ほんとうに凄い作品が山口監督のおかげで出来ました。撮影はとても暑い時期に行われていて大変でしたが、スタッフ、キャストのみんなが汗と涙でがんばって作りました。『仮面ライダークローズ』という作品を、劇場や映像ソフトでもう一度観ていただけたらなと思います!」と力強くコメントし、舞台挨拶をさわやかに締めくくった。

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