地震や台風などの災害を想定して、室内の整理整頓と食品の備蓄が重要。そうと分かっていても、具体的な方法が分からないというのが実情です。でも特別な対策を練らなくてもOK。今すぐできる片づけ方をきちんと実践するだけで、安心安全な暮らしにつながります。
鉄則1:出しっぱなしをなくす
部屋から避難する時に通る廊下と玄関には、ふだんから床の上にモノを置いたままにしないことが肝心。靴、カバン、本、買い物袋、宅配便の荷物など、あとで片づけようと思っていても、災害のタイミングを予測することはできません。通路が狭くて通りにくくなっていたり、出しっぱなしのモノにつまずいたりすると、「いざ」という時に思わぬ事故の原因になります。
また、キッチンの調理台の上に包丁や重たい鍋などを出していると、地震の揺れで落ちたり飛んできたりするかもしれません。使い終わったらしまって安全を確保しましょう。さらに、本棚や食器棚にしまう時には重たくて硬いモノ、割れやすいモノは棚の下段に収納するようにします。しまいきれないモノが出しっぱなしにならないように注意しましょう。
鉄則2:期限切れをなくす
災害が起こると流通が滞るため、必要なモノが店頭で手に入らなくなります。また、災害時に限らず、感染症などの影響で、不要不急な外出を避ける自宅避難の暮らしを余儀なくなれることも。その場合には、買い物に出掛けなくても間に合うよう、食料の備蓄が欠かせません。またふだんから食べなれていて賞味期限の長い缶詰、レトルト食品、乾物、お菓子などを少し多めに買ってストック。とは言え「安いから」「日持ちするから」という理由で余分に買い置きをすると、管理に手間がかかる上に場所ふさぎになります。
そこで心がけておきたいのは、賞味期限の迫っているモノから消費して、減ったぶんを補充するといったサイクルを意識した買い方。手始めに3日分のストックで試したあとに、1週間分を計算して備えるようにしましょう。トイレットペーパーや生理用品などもストックしておくと安心です。
鉄則3:避難所で過ごす想定をする
被災の状況に応じて、避難所で過ごすことになるかもしれません。そのときには自分なりに数日間が過ごせるような、非常用持ち出しバッグを用意しておきます。バッグを選ぶならリュックタイプにすると、両手が自由になるのでおすすめ。中に入れるモノとしては旅行をイメージすると分かりやすいはず。スキンケア、着替え、ティッシュ、生理用品、ゴミ袋をはじめ、水や食料、ヘルメット、非常用ブランケット、携帯トイレ、ヘッドランプなどを加えます。
震災経験者によると、眠るときにも散歩できるくらいの寝間着を着用して、スニーカーを備えておくといいそうです。また、非常用持ち出しバッグは寝室か玄関に収納。下駄箱やクローゼットの中を整理して、バッグが置けるスペースを確保しましょう。
すはらひろこ
整理収納アドバイザー認定講師・一級建築士・インテリアコーディネーター。インテリアのプロならではの収納術が、オシャレでやる気がわくと好評。片付け講座を定期開催するほかテレビ・雑誌でも活躍。著書「シンプルに暮らす 無印良品で片づく部屋のつくり方」(エクスナレッジ)、「朝、着る服に迷わないハッピー収納術」(大和書房)、「1分からはじめるかたづけ術」(だいわ文庫)など著書・監修書多数。