忘年会や新年会、この時期は会社での「飲み会」が多くなります。楽しく飲むのはよいですが、注意したいのは「お酒が苦手な人」もいること。

特定非営利活動法人ASKは、以下の5項目をアルハラ(アルコール・ハラスメント)と定めています。※出典: 特定非営利活動法人アスク(ASK)アルコール薬物問題全国市民協会

飲酒の強要 上下関係・部の伝統・集団によるはやしたて・罰ゲームなどといった形で心理的な圧力をかけ、飲まざるをえない状況に追い込むこと。
イッキ飲ませ 場を盛り上げるために、イッキ飲みや早飲み競争などをさせること。「イッキ飲み」とは一息で飲み干すこと、早飲みも「イッキ」と同じ。
意図的な酔いつぶし 酔いつぶすことを意図して、飲み会を行なうことで、傷害行為にもあたる。ひどいケースでは吐くための袋やバケツ、「つぶれ部屋」を用意していることもある。
飲めない人への配慮を欠くこと 本人の体質や意向を無視して飲酒をすすめる、宴会に酒類以外の飲み物を用意しない、飲めないことをからかったり侮辱する、など。
酔ったうえでの迷惑行為 酔ってからむこと、悪ふざけ、暴言・暴力、セクハラ、その他のひんしゅく行為。

今回は、マイナビニュース読者にアルハラの実態と、会社がどのような対策を行っているかを聞いてみました。※調査期間:12月13日~15日、マイナビニュース会員の男女2,108人対象

およそ半数でアルハラあり

まずは職場でアルハラに該当する行為を受けたり、感じたりしたかを聞きました。

およそ半数の方(47.2%)が、自身でアルハラを受けた、もしくは感じたと回答しています。コンプライアンス(法令遵守)が社会に問われ、内部統制を強化する企業が増えるなか、この数はまだ多いのかもしれません。続いてどのようなアルハラなのか、先ほどの5項目で聞いてみました。

一番多いのは「飲酒の強要」(30.4%)です。続いて「飲めない人への配慮を欠くこと」(24.6%)、「酔ったうえでの迷惑行為」(23.9%)が続きます。

無礼講ではすまない

具体的なアルハラ行為の内容もコメントで紹介しましょう。

「イッキ飲みコールがきつかった」(新潟/30代男性)、「飲めない種類のお酒を、『飲まないとクビだ』と無理やり飲まされた」(沖縄/30代女性)、「上司と飲み比べさせられ、日本酒を三升飲まされた」(大阪/40代男性)など、上司からの強要、イッキ飲みへの参加などが目立ちました。

また、「酔って何をしゃべっているのかわからないので、相手にしなかったら怒り出した」(東京/男性/50代/設備関連)、「後輩が裸踊りを強要された」(群馬/40代男性/事務職)、「『酒も飲めないのか』と上司に馬鹿にされた」(群馬/40代女性/公務員)、「若手は飲まないといけないという会社の雰囲気」(埼玉/40代男性/IT関連)など、理不尽な発言をされたり、行為を強要されたりするケースもありました。

セクハラや暴力も横行

さらにアルハラだけでなく、セクハラ行為も横行しているようです。

「イッキ飲みを強要され、酔い潰れそうな時に胸を触られた」(愛媛/30代女性/公務員)「男性の同僚が女性へボディタッチ」(神奈川/40代男性/事務職)、「セクハラ発言が増える」(愛知/40代女性/マーケティング関連)と、酔ったからという理由では許されないことばかりです。

また暴力を振るうケースや、他のお客さんとトラブルになるケースもあるようです。

「頭をはたかれた」(大阪/30代男性/技術職)、「酔って他の客ともめる」(千葉/30代女性/サービス業)など、社会人として常識に欠ける行為もありました。

あげく、社内の人間だけでなく、お店や交通機関への迷惑行為も。

「酔って店の壁をたたいて穴をあけた」(愛知/50代男性/建築・土木技術)、「同僚が酔って電車を止めた」(兵庫/50代男性/公務員)など、もはや迷惑行為ではすまされない内容です。

対策方法は?

それでは、企業はどう対処しているのでしょう。まずは対処の有無について聞いてみました。

全体の約3割(30.7%)がアルハラ防止の取り組みを行っているようです。あわせて具体的な内容も紹介したいと思います。

「イッキ飲み禁止」(宮城/40代男性/IT関連)、「社長が指示をして、節度あるアルコールとのかかわり方を常にチェックしている」(東京/50代男性/営業関連)、「社内研修でハラスメントに関する資料が配られた」(長野/40代男性/技能工)、「職場内での飲み会が禁じられている。歓迎会や送迎会はランチで実施」(東京/30代男性/事務職)。

やはり会社のトップが指示したり、規則や研修で禁止事項を周知・理解させたりすることが一番確実な方法なようです。


「飲みニケーション」が有効なときもあるのでしょうが、本人が嫌がる状況では意味がありません。

参加者全員が楽しめるよう、適量と節度あるマナーを守りたいですね。