「IQ」は聞いたことがあるかもしれませんが、「EQ」「AQ」など人の能力を測る指標にはいろんな種類があります。

  • IQ、EQ、AQの違いを理解していますか?

今回は、それぞれの意味を紹介しましょう。

IQの本当の役割は?

IQとは【Intelligence Quotient】の略で、日本語では「知能指数」と訳されます。

一般に知られているIQは、テストの結果をもとに推定された「精神年齢」が「実年齢」とどう違うのか? という観点で計算されています。

精神年齢が13歳で実年齢が10歳なら(13÷10)×100という計算式になり、IQは130になります。

IQを測るテストの原型は、1905年にフランスの心理学者であるビネーとシモンによってつくられました。子どもの精神的な発達の遅れを調べ、それぞれに応じた教育を提供するために、2人は知能検査を生み出したのです。

このときの問題には「燃えたマッチを見つめることができるか」「尊敬と友情の違いを答えよ」などがありました。

その後、IQは大人の知能も測れるように改良が重ねられました。現在は、「実年齢」ではなく、「ある集団での標準値」を使って計算される偏差IQが一般的です。

かつてはIQさえ高ければ「頭がいい」と判断されてきましたが、人間のすべての知能を測れるほど万能なテストではありませんので、注意が必要です。日本では、就学時の健康診断や障害者認定などにIQが用いられています。

【例文】
「レオナルド・ダ・ヴィンチのIQは180らしい」
「今度IQテストを受けるのですが、どうすれば高い点数が取れますか?」

EQって何?

EQは【Emotional intelligence Quotient】の略で、「心の知能指数」などと呼ばれます。

1989年のアメリカでEQの概念は誕生しました。「IQがもてはやされているが、IQがいくら高くてもビジネスで成功しないではないか」という、IQへの批判がその背景にはあります。

EQが重視するのは対人関係能力です。ビジネスで交渉を有利に進め、協力者を得るためには、当然、発言や行動をしなければなりませんが、人間のふるまいはその時の感情に大きく左右されます。

もし、「自分や他人の感情に気づき」「自分の感情をコントロールする」ことができれば、よいコミュニケーションができて成功者になれる。これがEQの考え方です。

EQを測る検査はさまざまな種類があります。たとえば、写真を見て「この人は怒っているのか、それとも悲しんでいるのか」を探る、「人の目に映る自分の姿を気にするか?」「表情は豊かなほうか?」といった質問に答える方法などがあります。

EQを伸ばしていけば、自分の感情と上手く付き合うことで前向きな行動が起こせたり、相手の状況をくみ取って配慮することができたりするとされています。

モチベーションマインドの構築や顧客との関係づくりなど、主にビジネス分野のトレーニングに用いられる指標です。

【例文】
「EQのスコアを上げるために、つい自分を良く見せようとしてしまう」
「恋愛偏差値が高いとEQも高そう」

2つのAQ

AQは【Achievement Quotient】の略で、「達成指数」や「成就指数」と訳されています。

AQはIQの研究過程で生まれました。従来、IQは生来的なものであり、歳をとっても数値は変わらないと考えられていましたが、研究が進むにつれ、学習状況や住まいの環境によって変動する事が分かってきました。そのため、IQは学校教育と密接な関係があると考えられたのです。

「その子の現段階の知能に対して、学校教育はどれくらいの到達度にあるのか?」を測るのがAQです。「IQが高ければ学力も高い」という発想に基づいています。

まぎらわしいことに、人の能力を測るための指標にはもう一つAQがあります。こちらは【Adversity Quotient】の略で、「逆境指数」と訳されます。

きつい仕事やストレス、人間関係の悩みなど、暮らしの中には、大なり小なり「逆境」が存在しています。これらに対する反応を表すのが逆境指数です。

低ければ逃避し、高ければ解決したり、成長の糧にしたりします。IQやEQに次ぐ新たなビジネス成功のための指標として、今、注目を集めています。

話の流れに応じて、どちらのAQが使われているのか、間違えないようにしましょう。

【例文】
「学校現場でAQを使うのは、もう古いんじゃないか」
「今度うちの人事部が社員のAQテストをするらしい」