2018年11月25日、新宿ミライナタワーで、ハウスコム株式会社が主催する「2018年 学生ビジネスコンテスト」の決勝大会が行われました。


キックオフイベント:「2018年 学生ビジネスコンテスト」キックオフ! 今年のテーマは「人が介在する意味のあるコミュニケーションを考える」

予選会:大学生ビジネスコンテスト、予選を開催!AIによる合理化が進む中、人が担う役割とは?


予選を突破したのは、コミュニティ形成のためのシェアリングサービスを提案した「チームマテ工」、アニメに登場する部屋を再現し、住まいやイベントスペースとしても活用するアイディアをプレゼンした「Cチーム」、寺院を宿泊施設として活用し、消費者とマッチングするビジネスを提案した「Queen」の3チーム。

優勝したチームには、提案したビジネスプランをもとに、ハウスコム社と共同で事業開発を行う権利が贈られます。

ちなみに、昨年優勝した「スターフィールド」、準優勝の「ウルトラソウル」のビジネスアイデアもリリースに向け、準備が進められています。

「スターフィールド」は、顧客を分析し、似た属性の人が好む部屋の傾向からおすすめの部屋を紹介するビジネスプランを提案。顧客属性の可視化を実現し、2019年3月にプロトタイプ版がリリース予定です。一方、「ウルトラソウル」は、子育て環境に特化した不動産サイト「愛育」を提案。こちらも2019年3月にサービスのリリースが決まっています。

会場には審査員として、キックオフイベント・予選会に引き続き、コンテスト主催者でハウスコム株式会社・代表取締役社長執行役員の田村穂(たむらけい)氏、大東建託株式会社 賃貸未来研究所・所長の宗健(そうたけし) 氏、日本大学スポーツ科学部・教授の清水千弘(しみずちひろ)氏、中央大学戦略経営研究科・教授の榊原清則(さかきばらきよのり)氏の4名が担当。



そして、基調講演登壇者として、慶應義塾大学の特別招聘教授であり、数々の企業で取締役を兼任する夏野剛(なつのたけし)氏が登壇。「IT・AIで激変する社会と日本企業の未来~求められる働き方とは~」と題した基調講演からスタートしました。


夏野剛氏による基調講演。日本の名目GDPが20年間で0.8%しか上がっていない理由は?



夏野氏:「今から20年前、パソコンも携帯電話も1人1台という時代ではありませんでした。当時は、物件探しも不動産会社の店頭で貼り紙を見て探すものでしたが、今ではインターネットで検索するのが当たり前の時代。これがテクノロジーの進化です。手動で行っていたことのほとんどをコンピューターで作業できるようになり、生産性が飛躍的に向上しました。

しかし、日本の名目GDPはこの20年間で0.8%しか上がっていません。アメリカは139%、お隣の韓国も157.1%というデータを見れば、日本の遅れは一目瞭然。原因は、人口が増えず生産性が上がらないこと、規制がイノベーションを抑制していることなどが挙げられます。



これから高齢化にともなう人口減が加速し、国内市場が縮小すれば、生産性の向上はますます困難になります。幸いなことに日本は潤沢な個人金融資産や労働意欲の高い国民性、世界に影響を与える技術と「三種の神器」が揃っています。そこに、創造(Creation)と想像(Imagination)、ふたつの「そうぞう」があれば状況は変わります。今は何でも仕事になる時代。自分に適した分野を見つけて突き詰めることが成功と幸せへの一番の近道ではないでしょうか」


「チームマテ工」:「コミュニティ形成のためのAIマッチングサービス」

ここからいよいよ、学生によるプレゼン発表がスタートです。



「チームマテ工」は、日本が他国と比べ、近所づきあいで遅れを取っていることを指摘。予選会の際と同様、現状を分析し、近所づきあいの問題点を洗い出しました。そのうえで、AIが窓口となり、「家族構成は?」「趣味は?」など、間取りや立地だけでなく、多岐にわたる質問をすることで、共通点のある人を隣人に選定できるシステムを提案。

出会いの場としてイベントの開催も計画し、そこにハウスコムが仲介することで、長期的なお客様とのかかわりが生まれるのではないかと問いかけました。また、それぞれの家庭環境や潜在ニーズに適した広告を選定しやすい強みを活かす、収益化の提案もありました。



質疑応答では、田村氏から「予選会のときと収益化計画を変えたのはなぜ?」という疑問が。それに対しマテ工は、「ディスカッションを重ねる中で、同じ属性の人たちを集め、仕分けすることが入居者の満足度を高めるだけでなく、ビジネスをする上で利益になるのではないかと気づいた」ことからプランを練り直した、と回答。



清水氏からは「今のプレゼンを実現するにあたり、どのようなテクノロジーがあったらいいと思う?」と問われ、「点数化による評価を考えていました。入居者の属性をAIに覚えこませることで、コミュニティ形成のためのマッチングだけでなく、コミュニティ内で起きるトラブルも同様の方法で解決できるのではないかと考えています」と回答しました。



「Cチーム」:「アニメ部屋」



続いて「Cチーム」が発表したのは、アニメ部屋。いわゆるオタクと言われる人をターゲットにし、アニメに登場する部屋を再現したり、コンセプトルーム化したりして、住んでもらったり、イベント会場として使用する提案です。

予選会で審査員から受けた質問や指摘に対する返答もあり、例えば、「アニメ以外に拡張できる領域は?」という疑問には、若者特有のコミュニティとして、eスポーツをはじめとするゲームやVRに着目。個人では高価で手が出ないゲーム機材やパソコンを集めた部屋や、VRに集中できる空間を設ける提案が。

「従来のアニメイベントとの差別化」に関しては、「深夜アニメをリアルタイムに見る」「夜通しゲームやアニメ鑑賞をする」といった、深夜にしかできないイベントを提案。

「アニメの権利関係の処理やお金の流れ」に関しては、知り合いのタレント事務所関係者にヒアリングを行い、版権料に相場はないという回答を得たそう。この事業にしかない強みを権利者に提案し、一緒に巻き込んでいきたいと語りました。



宗氏からは「知り合いのタレント事務所にヒアリングを行った行動力はさすが」とお褒めの言葉が。



榊原氏も「この発表を高く評価している。基本的なメッセージがいい」と高評価。「アニメという切り口にとどまらず、部屋に付加価値をつけて資産価値を高め、ポジティブな転換ができるアイディアを含んでいたと思う」と語りました。



「Queen」:「寺院宿泊施設と消費者のマッチング」



2020年の東京オリンピック開催を控え、外国人観光客が右肩上がりに増えている中、寺院宿泊施設と消費者をマッチングさせるプラットフォームをつくり、寺院を宿泊先として提供するビジネスプランを提案したのは「Queen」。予選会からプレゼン資料をほぼ一新し、審査員のアドバイスをもとにブラッシュアップした内容で臨みました。

参入障壁についてなど、予選会で指摘された点にも言及があり、保健所や消防署からの開業・営業許可をとる難しさやそれにともなう設備導入費用・初期費用といった金銭的コストが最大の障壁となるのではと予測。ハウスコムが負担を肩代わりするシステムが必要と訴えました。



清水氏は「需要があると思う。体系的にマッチングできれば面白いのでは」と好感触。一方で「お寺の所有権の問題で、住職さんの意思決定では合意形成が難しいかもしれない」といった指摘もありました。



田村社長からは、「ハウスコムがお寺と外国人をマッチングするサイトだけを作るという議論はなかったのか?」という質問が。寺院が参入するビジネスモデルを考えたとき「手間がかかる」「人員の獲得が難しい」といった問題があるため、敢えて事業としてプラットフォームをつくり、ハウスコムが関わる必要があると考えたというお話でした。



いよいよ結果発表。優勝はまさかの…!?

休憩をはさみ、第2回学生ビジネスコンテストの結果が発表されました。優勝は「Cチーム」「Queen」の皆さんに決定! 両チームにトロフィーが授与されました。




昨年に続き、2チームの優勝となったことについて、田村社長から冒頭に説明がありました。順位をつけるのであれば、1位は「Cチーム」、2位が「Queen」とのこと。しかし、両社とも事業としてチャレンジしたいプランだったため、2チームの選出となったとのこと。



清水氏からも「頭の固い学者では出てこないアイディアという意味で、Cチームのプランはとても魅力的! Queenのアイディアは出てくるかもしれないと感じ、チームマテ工のプランは既に出てきているためこの順位になった。それぞれに面白いテーマだったので、いろいろとトライして欲しい」とエールが送られました。



榊原氏からは、「アニメには詳しくありませんが、Cチームの提案は非常にアピーリング。是非ハウスコムさんに取り組んでいただき、前に進んでいただきたい。Queenの提案は、社会貢献に繋がる内容。実現化には難しい問題があり、大変な仕事になるかもしれないが、ハウスコムの力を借りて取り組んで欲しい。チームマテ工の提案は、残念ながらオーガニゼーショナルケミストリーが起きなかったのではないか」と総評。



宗氏からは「(Facebookを立ち上げた)ザッカーバーグの後ろには、ザッカーバーグになれなかった人がたくさんいます。自分は前者なのか後者なのか、簡単に見分ける方法が就活です。次々と内定が取れる人は後者なので、ザッカーバーグではなくエリートを目指してください。内定が取れない人は、組織では生きていけないエッジがある人です。みなさんがどちらにいくかは分からないと思いますが、今回の経験を通じて、ザッカーバーグを目指してもいいと思います」と、学生全体に向けたアドバイスをいただきました。



「人が介在する意味のあるコミュニケーションを考える」をテーマとして行われた、学生ビジネスコンテストが終了。2回目となる今回も、学生たちのオリジナリティ溢れる提案がいくつも飛び出しました。「Cチーム」と「Queen」のアイディアが今後、どのように事業化されるのか、今後も目が離せそうにありません。


(マイナビ賃貸広告企画:提供【ハウスコム株式会社】)