イトーキはこのほど、「働き方の自己裁量がワーカーの生産性とワークエンゲージメントに及ぼす影響」についての調査結果を明らかにした。同調査は8月10日~14日、20代~60代のホワイトカラーワーカー3,102人を対象にインターネットで実施したもの。
同調査では、対象者を「自己裁量大ワーカー」「自己裁量中ワーカー」「自己裁量小ワーカー」に分けた。「自己裁量大ワーカー」は、多様な活動に合わせた空間の機能性、制度導入や社内ルール確立による柔軟性、ITツールの充実による移動性、心身の健康を保つ為の空間品質性の4因子すべてが満たされているワーカーを指している。
一方で、4つの因子全てが満たされていない、もしくは他のワーカーと比べて低い水準にあるワーカー群を「自己裁量小ワーカー」とした。いずれでもない中間に位置するワーカー群は「自己裁量中ワーカー」としている。
分類した結果、最も多いのは「自己裁量中ワーカー」(70.1%)、次いで多いのが「自己裁量小ワーカー」(23.7%)で、最も少ないのが「自己裁量大ワーカー」(6.2%)だった。働き方における自由度の高い環境を与えられているワーカーが少ないという現状が明らかとなった。
働き方の自己裁量がワーカーのパフォーマンスに与える影響について検証するため、「生産性」と「ワークエンゲージメント」の指標をワーカーの自己裁量度(大・中・小)別に比較した。
「自己裁量大ワーカー」と「自己裁量小ワーカー」を比べると、生産性が高いと回答した人の割合が倍以上の差があることがわかった。ワークエンゲージメントについては、0pt~6ptでスコアを算出したところ、「自己裁量大ワーカー」は平均3.60pt、「自己裁量小ワーカー」は平均2.27ptと、約1.33ptの差が出た。
この結果から、働き方の自己裁量が大きいワーカーは、他のワーカーと比べて生産性/ワークエンゲージメントともに高く、自己裁量が大きくなるにつれてワーカーのパフォーマンスも高くなる傾向にあることがわかった。
次に、仕事の種類と自己裁量度によって生産性やワークエンゲージメントがどのような相関を示すのかを実証するために、定型業務の割合が0~30%を「非定型ワーカー」、31~63%(平均以下)を「ほぼ非定型ワーカー」、64~80%(平均以上)を「ほぼ定型ワーカー」、81~100%を「定型ワーカー」として4グループに分類した。
その後、各分類のワーカーの生産性と、ワークエンゲージメントの高さを働き方の自己裁量度別に比べたところ、自己裁量度が高まると、業務内容(定型/ 非定型)に関わらず、生産性とワークエンゲージメントが高まることがわかった。
生産性と自己裁量因子の関係について分析したところ、「空間機能性」「柔軟性」「移動性」「空間品質性」のうち、最も生産性に影響を与えるのは空間機能性であることがわかった。活動に合わせた空間を多く与えられているワーカーは、そうでないワーカーと比べ、生産性に25.5%の差があった。
ワークエンゲージメントと自己裁量因子について分析すると、最も影響を与えるのは「空間品質性」で、空間品質性が高いワーカーは、低いワーカーと比べて、ワークエンゲージメントが1.01pt高いことがわかった。これにより、生産性とワークエンゲージメントともに、最も影響を与えている因子は空間であることが確認できたという。
自社の働き方改革に対する好感度について聞くと、自己裁量大ワーカーが72.4%が好感を持っていると回答したのに対し、自己裁量中ワーカーは38.0%、自己裁量小ワーカーは17.1%だった。オフィス環境に対する満足度でも、最も高いのは自己裁量大ワーカー(73.6%)で、次いで「自己裁量中ワーカー」「自己裁量小ワーカー」と続いている。