働く世代の睡眠が足りていない。厚生労働省によれば、「1日の平均睡眠時間が6時間を下回る」と回答した20代、30代男性は36%前後にも達していた(平成29年国民健康・栄養調査による)。パラマウントベッドが主催したイベントで、快眠セラピストの三橋美穂さんは「良い睡眠がとれないと集中力と記憶力が落ち、仕事でもミスや事故を起こす。イライラとし、落ち込み、自己肯定感も下がります」と警鐘を鳴らした。では眠りの質を上げるには、どうしたら良いのだろうか。

  • 仕事がうまくいく睡眠のとり方とは? 「眠りの質」を考える

    眠りの質を上げるには、どうしたら良いのだろうか?パラマウントベッドの主催イベントで、快眠セラピストが解説した

8分以内で眠れる人は要注意!?

まずは眠りの仕組みについて説明があった。睡眠には、浅い「レム睡眠」と深い「ノンレム睡眠」があり、起床まで交互に繰り返す。このうちレム睡眠は明け方に近づくにつれ割合が増していき、人はこれにより記憶を整理するという。したがって睡眠時間が短いとレム睡眠が足りず、記憶を整理できないまま朝を迎えることになる。三橋さんは「睡眠は量より質だと言う人もいますが、やはり量も大事なんです」と解説する。目安として、布団に入ってから8分以内で眠れるようなら、それは慢性的な睡眠不足に陥っている可能性があるとのことだ。

  • 快眠セラピストの三橋美穂さん

そこで"量"の話になるが、米国国立睡眠財団がグローバルで行った調査結果によれば、18歳~64歳に推奨される睡眠時間は7~9時間で、6時間は許容範囲のレベルとなっている。「年齢、個人差もあるけれど、日本人の多くが許容範囲を下回る睡眠時間しかとれていないのは事実です」と三橋さん。「自分はショートスリーパーだから平日は5時間でも大丈夫、と思っている人がいるかも知れない。でも休日に8時間眠れているとしたら、その人はショートスリーパーではなく、単純に平日に必要な睡眠時間を削っているだけです」。

  • 推奨される睡眠時間は、18歳~64歳なら7~9時間

  • 日本人の多くが許容範囲を下回る睡眠時間しかとれていない

睡眠の質を上げるには?

では、睡眠の質を上げるには?そこには基本ルールが5つあるという。それは、「1. 体内時計を整えること」「2. 活動的に過ごして疲れをためること」「3. 体温のメリハリをつくること」「4. 就寝前はリラックスすること」「5. 寝室が快適であること」。コツとして、三橋さんは「平日と休日で睡眠時間が変わると、身体が時差ボケを起こして眠りが浅くなります。夕方や食後のうたた寝もダメ。就寝前にはお風呂で体温を上げると良いでしょう。寝ながらスマホをいじるのは厳禁です。夜のスマホは小さな太陽と言われるくらいで、身体が覚醒してしまいます」と解説する。

  • 睡眠の質を上げるための基本ルールは5つ

かくいう三橋さんも、50歳を境に途端に寝つきが悪くなってしまった。眠りにつくまでに30分~1時間が必要になったという。睡眠を妨げる原因は、加齢によるものだった。そこで、深い眠りにつける「リストラティブヨガ」の講習を受けると、すぐに寝つきが改善した。このヨガには、その名も”入眠の基本ポーズ”がある。軽く猫背になり足を上げるポーズで、筋肉や背骨の負荷が減るほか、血行も改善されるとされている。

  • リストラティブヨガの、入眠の基本ポーズ(リクライニングのポーズ)。筋肉や背骨の負荷が減り、血行も改善される

ちなみに、パラマウントベッドの電動リクライニングベッド「INTIME」シリーズなら、楽にこの姿勢がキープできると三橋さん。「背中を起こして、足もちょっと上げます。ちょうど宇宙飛行士が、無重力状態でとる”中立姿勢”に近いポーズです。腰も楽で、リラックスできるので寝つきが良くなります」。そこで同社の電動ベッドについて、関係者が解説した。

電動ベッド=介護ベッド?

一般的には、電動ベッド=介護ベッド=高齢者が購入する、というイメージがつきまとう。しかし、パラマウントベッドでは若い人にも電動ベッドの有用性をアピールしている。同社 INTIMEアンバサダーの小澤卓矢氏は「購入層はシニアが中心ですが、最近は50代か、それより若い購入者も増えている傾向があります」と話す。なぜだろうか。

  • パラマウントベッド INTIMEアンバサダーの小澤卓矢氏

  • この日の会場となった、眠りギャラリーTOKYO(中央区京橋1丁目)では電動ベッドの使い勝手をいつでも体験できる

まず、価格が比較的安価になった。いまCMを打っている主力商品は14万円~で、マットを合わせても20万円で購入できる。また少し先のことを考え、介護に不安がある層が早い段階から使い始めている。このほかユニークなところでは、最大75度までリクライニングを起こせる機能性に注目して、引っ越しの際にソファを置かずに電動ベッドで済ませる人がいるという。「INTIMEでは、部屋のインテリアにも合うおしゃれなデザインを採用しています。例えば、介護ベッドでは柵が立てられるようにフレームに穴が空いているものですが、INTIMEではその穴を隠せる仕様です」。

これまで電動ベッドは、介護が必要になってから使用を検討するものだった。しかし介護保険を利用してレンタルしようにも、介護度のランクが軽いと全額負担で借りることになる。月1万5千円~2万円かかれば、年間で20万円近くになる計算。「であれば、早い段階から使うことでコスト的にも助かる、と購入していただける方もいらっしゃいます」と小澤氏。同社のINTIMEシリーズは、家具店で販売しているような(電動ではない)普通のベッドと真正面から競合できる製品となっているようだ。

  • INTIMEの電動ベッドに横になり、三橋さんの指導による入眠のポーズを体験する筆者。上半身および脚部に角度がついており腰が非常に楽。すぐに寝入ってしまう心地良さだった