外為どっとコム総合研究所の神田卓也氏が2018年9月の為替相場レビューと、今後注目の経済指標やイベントをもとにした今後の相場展望をお届けする。

【ユーロ/円 9月の推移】

9月のユーロ/円相場は127.861~133.130円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約2.3%の上昇(ユーロ高・円安)となった。イタリア・ポピュリズム政権の拡張財政策が欧州連合(EU)との対立に繋がるとの不安や、英国のEU離脱=Brexitに対する不透明感はくすぶり続けたものの、21日には約5カ月ぶりに133円台を回復するなどユーロ/円は堅調に推移した。もっとも、ユーロは対ドルでは上値が重く、9月のユーロ/ドル相場はほぼ横ばいで取引を終えている。ユーロ/円の上昇はドル/円の上昇によるところが大きかったと考えられる。

【ユーロ/円10月の見通し】

イタリアの財政・債務不安が高まりつつある。年金支給開始年齢の引き下げなどを公約に政権の座に就いたポピュリズム政党の「五つ星運動」と「同盟」は、財政赤字を国内総生産(GDP)比2.4%とする2019年経済財政計画を発表した。これを予算案としてまとめた上で10月15日までに欧州委員会に提出され審議に付されるが、協議は難航しそうだ。イタリア予算案は、財政赤字のGDP比を3%以内とするEUの規律にこそ抵触してないが、欧州連合(EU)内で債務残高が突出して大きいイタリアの財政拡張には批判が集まる公算が大きい。また、財政赤字のGDP比を2.0%以下にとどめるよう主張していたイタリアのトリア財務相には辞任観測も浮上しており、政局動向にも注意が必要だろう。

欧州中銀(ECB)が、年内に量的緩和(QE)を終了し、来年夏まで低金利を維持する方針を示した事で、金融政策は「自動操縦モード」となり、ユーロ相場のテーマになりにくくなった。その分、政治ネタがテーマになりやすくなっており、イタリアの債務問題や英国の欧州連合(EU)離脱=Brexitを巡る交渉への不透明感によって、ユーロ相場が不安定化する場面が増えそうだ。

【9月のユーロ圏注目イベント】

執筆者プロフィール : 神田 卓也(かんだ たくや)

株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長。1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信(デイリーレポート『外為トゥデイ』など)を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。Twitterアカウント:@kandaTakuya