女優の永野芽郁がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説『半分、青い。』(毎週月~土曜8:00~)が、ついに本日29日に最終回を迎えた。このたび、全156回を書き終えた脚本家の北川悦吏子氏にインタビュー。全6回の短期連載として掲載する。

最終回は、執筆中の心境やドラマの裏話などを発信し、注目を集めている自身のツイッターとの向き合い方について質問。すると、ツイッターを通して作る楽しさを共有し、クリエイターに興味を持ってもらいたいという北川氏の思いが明らかに。『半分、青い。』でも大きなテーマとして描かれている創作の楽しさを、ツイッターでも言い続けているのだという。

  • 『半分、青い。』北川悦吏子氏

    北川悦吏子氏

――「神回」予告が大きな話題になるなど、北川先生のツイッターはとても注目されていますが、ご自身で設けているツイッターのルールはありますか?

ツイッターは自分の表現の場だと思っているので、局に怒られるまでは自由に書く! 怒られたらやめる! 『半分、青い。』でも解禁前の情報にふれそうな時は怒られています。毎回そうなんですけど、「ちょっと北川さん・・・」って言われて、「あ、消します消します」って(笑)。私としては備忘録として書いているんです。それがやがて次のドラマの種になっていくので、思ったことは書くようにしていかないと。そのままセリフになってるツイートもたくさんあります。その思った瞬間を過ぎると言葉のキレがなくなってしまいます。なぜ人に見せる必要があるのかということについては、ギャラリーがいると頑張るので(笑)。以前は日記を書いていたんですが、ツイッターだと反応があって楽しいんです。

――デメリットは感じますか?

この朝ドラで荒れてしまって、策を練らなければとは思っています。朝ドラでフォロワーが増えた分、わけのわからないリプライが混じるようになりました。でも、フォロワーが倍になったわけではありません。13万人が15万人に。これも発見でした。朝ドラという国民的番組をやって倍か三倍くらいになるのか、と思うとそうではない。ツイッターってそういうツールなんですよね。やはり、ある種、閉ざされた世界のこと、だと思います。まるでやってない人の方が断然多い。

だから無駄なことで落ち込んでいるのは、もの作りにとっては何にも得にならないから、読むべきものを読む、見なくていいものは見ない、これを徹底させようと思っています。その徹底させ方が難しいのだけれど。取捨選択が、難しい。いきなり目に飛び込んで来るものだから。

  • 『半分、青い。』北川悦吏子氏

――ファンの人の意見をストーリーに反映させたことはありますか?

ありますあります! 律が飼っていた亀のフランソワの名前をもらったり。私は、作るということをみんなで楽しめたらいいなと思っていて、みんな見る側と作る側と分けて考えていますが、誰でも作る側になれるんだよっていうことをわかってもらいたいというか、分かち合いたいなと漠然と考えているんです。「あのセリフ、こっちのほうがよかったな。今、思いついた、間に合わない」ってつぶやくのも、人が書いてるんだって思ってほしいから。

いきなり完成品がガンとあるものではないんです。私、というただのひとりの人間が、書いてるだけなんです。書く苦悩も楽しみも、ツイートしました。自由であろうとしました。そこで、創る、ということを身近に感じて、創る過程を面白がってくれて、「自分も何か作ってみようかな」「将来NHKに入って朝ドラを作りたい」とか思ってくれたらすごい楽しいなと。

そういう風にクリエイターになるきっかけになるかもしれない。すごく厳しい世界ではあるけど、もともとはその「創るって楽しい」の延長戦上で私は今も仕事をしているので、その楽しさをわかってほしいという気持ちがあってツイートしていました。『半分、青い。』のテーマとしても、「作るって楽しい」ということをずっと言い続けている。五平餅もそうだし、鈴愛が漫画を描くにしても、楽しくてやる。それと自分がやっていることはリンクしていると思っていて、「作ることは楽しいよ」ってことを、ツイッターでドラマと並走するように言い続けました。そして、苦しい部分も。

だから、私のツイートを読んで、ドラマを見ると、2倍楽しい! 面白い! と喜んでくださる方が、少なからずいて、それはうれしかったです。「作品」だけ見たくて創ってる裏側を知りたくない人は、私のツイートを見なければいいわけだし。それがツイッターのいいところでもある、と思います。

  • 『半分、青い。』北川悦吏子氏
■プロフィール
北川悦吏子
1961年12月24日生まれ、岐阜県出身。脚本家・映画監督。1992年に『素顔のままで』で連続ドラマデビュー。主な作品に、社会現象となった『愛していると言ってくれ』『ロングバケーション』、そして、『ビューティフルライフ』、『オレンジデイズ』など。2009年には、映画の世界にも進出し、脚本監督作品に『ハルフウェイ』『新しい靴を買わなくちゃ』。また、エッセイや作詞などでも人気を集める。NHKでの執筆は、2016年ドラマ10『運命に、似た恋』が初。NHK連続テレビ小説『半分、青い。』が2作目となる。

撮影:萩庭桂太