――さて、ここからはお三方の役者としての魅力にも迫っていけたらと考えています。上川さんと内田さんは今回が初共演とのことですが、共演される前はお互いにどのような印象を持たれていたのでしょうか?
上川:僕は昔から内田さんをよく拝見していましたので、これまで内田さんが出演された作品の一部分に、どことなく「今回の尾畑理恵の辿る物語とシンクロするかも」という雑念は持っていましたけれど(笑)。まぁ、それはそれとして、いろいろな役柄を演じるにあたって、内田さんがその場その場でお見せになる表情や演じ方と、そこから離れたときに垣間見えるお人柄の「差」が、やっぱり僕は一番印象的なんです。
今回内田さんが演じた尾畑理恵という役柄は、決して軽くはない、というよりむしろ演じるにあたって「沈痛さ」や「自省」などみたいなものを持ち合わせていなければいけないキャラクターなんですが、たとえば、撮影中に現場で雪がちらつき始めて「わぁ~綺麗だねぇ」ってみんなと一緒に騒いでいながら、いざ「はい、スタート!」ってカチンコが鳴った瞬間、内田さんは尾畑理恵のキャラクターになってしまわれる。そんな役者としての瞬発力であったり、インナーマッスルとでも言うのか、表には見えない力を秘められていらっしゃる方なんだと思いました。
内田:私の上川さんの第一印象としては、「うわぁ、スゴい!」の一言につきます。まだ直接お会いする前、上川さんが出演されている舞台を観に行ったことがあるのですが、舞台上にいる上川さんの全身から、エネルギーが360°ほとばしっていて、キラキラ輝いていたんですよ。上川さんは、頭の回転が早く、会話のジャンルの幅がものすごく広くて、上川さんと話していると「そうなんですか!」とずっと言いっぱなしです。上川さんの知識を分けていいただきたいです!
ドラマの撮影中も、尾畑理恵を一旦こっちにちょっと置いておいて(笑)、舞台や映像といった様々なフィールドで活躍されていらっしゃる先輩の上川さんに、お聞きしてみたいことが山ほどありました。上川さんは、とにかく「ひきだし」が多い方なんです。会話が尽きないのでまだまだ聞きたいことがたくさんあります。
――一方、小泉さんは上川さんとは今回が2度目の共演だそうですが、先輩から学ばれたことなどありますか?
小泉:今回僕は、『連続ドラマW 沈まぬ太陽』のとき以上に上川さんの近くで濃い時間を過ごさせていただいたのですが、改めて上川さんは、人として、役者として、そして大先輩として「日の丸を背負っている方である」と実感しました。例えば、相撲の世界なら横綱級だし、サッカーの世界なら日本代表として闘っているわけです。「俺はただ好きで芝居をやってるわけじゃない。ここに、日の丸を背負っていま芝居をしているんだ!」という男くささみたいなものを、上川さんの佇まいからは感じます。だからきっといつお会いしても神々しいんだと思います。
――わかります! 上川さんは日本を代表する俳優さんだと思います。
小泉:ですよね? まさに日本代表!
上川:いったい何回言えば気が済むの(笑)?
小泉:先輩に向かって生意気なことを言ってしまって、すみません!
――上川さんからご覧になった小泉さんはいかがですか?
上川:もう、いまのやり取りをご覧になっていればお分かりだと思うのですが、小泉さんって、例えばいまみたいなお話をされていても、嫌味がひとつも言葉の中に混ざってこないんです。いわゆる、人間なら誰しもが持っている闇や澱のようなものが、一切感じられない方なんです。まるで「清流で洗った麻で編んだTシャツ」みたいな感じの方で。肌ざわりがよくて、汗をかいても決して不快にさせない、とでもいうような。そんなお人柄をお持ちでいらっしゃる。
小泉:はははは(笑)。上川さんが、僕のことをそんな風に思って下さっているなんて!
上川:共演するのはまだ2回目ですけれど、とても肌馴染みが良いというか、僕自身も構えずに相対することができますし。おそらく小泉さんのことを嫌いになる人はいらっしゃらないんじゃないでしょうか。
小泉:いやいや、そんなことはないです(笑)!
上川:小泉さんは、そんな誰もが魅了されるような「地力」をお持ちの方です。
小泉:ありがとうございます! 今日は気持ちよくお酒が飲めます(笑)。ちなみに、有紀さんは最高級のダイヤモンドです!
上川:まさに「フローレス」です。
内田:そんなありがたいお言葉をいただいてしまっていいんですか!?
小泉:有紀さんのような輝きのある方が、あえてダイヤモンドの輝きを……。
上川:今回は封印されてね。
小泉:そうです! 有紀さんはとんでもないカラット数をお持ちですよ。今日は上川さんと有紀さんに対して、普段なかなか言えないことを話せて本当に気持ちよかったです。
上川:まさか自分が「日本を背負っている」なんて小泉さんから言われるとは思いませんでした(笑)。