社内での昇進や自身のスキル向上、さらには転職などのためにビジネス書や専門書を購入する会社員は多い。ただ、いざ購入して中身を読んでみると、内容の難しさから完読できず、途中であきらめてしまった経験を持つ人もいるはずだ。

そんなときは、漫画の力を借りてみるのも選択肢の一つ。イラストを交え、難しい言葉や事象がかみ砕いて説明された書物の方が、小難しい文言やひたすら文字が並ぶ書籍よりも、物事を理解するのに有用なときがある。

そこで本稿では、著者が気になったビジネスコミックをテーマごとにピックアップ。書籍の内容や見どころ、読んだ所感などを紹介しよう。

テーマ1: 集中力

  • 「マンガでよくわかる 自分を操る超集中力」(税込1,404円: メンタリストDaigo=著 / 新津タカヒト=作画)

    「マンガでよくわかる 自分を操る超集中力」(税込1,404円: Daigo=著 / 新津タカヒト=作画)

本書は、メンタリスト・Daigo氏のベストセラー「自分を操る超集中力」のビジネスコミック版で、マンガ家デビューを目指す主人公が、会社勤めをしながら夢を追い求めていくストーリーとなっている。

なかなか思ったように集中できず、ついダラダラと仕事をしてしまい、結果行き詰まったり煮詰まったりしてしまう。仕事はたまる一方なのに、どう処理していいかがわからず、がむしゃらに長時間働くという悪循環に陥り、身も心もボロボロになってはいないだろうか。そういう負のスパイラルに落ち込まないよう、より集中力を高めて成果を出す方法を本書ではわかりやすく解説している。

集中力を操るための正しいルールを知り、トレーニングを積み重ねて的を絞って集中する力を身につけコントロールしていく方法や、高い集中力を生み出すための環境作り(自身の生活空間や姿勢、食事など)に至るまでのメソッドが紹介されている。本書で仕事に集中する力を身につけ、「正しい時間の使い方」について学べば、仕事の生産性も上がるかもしれない。

テーマ2: FX

  • 「リスクオンまりおくん」(税込1,008円: 河上まりお=著)

    「リスクオンまりおくん」(税込1,008円: 河上まりお=著)

ザイ・オンラインで200万PVを超える人気となった連載マンガ「リスクonまりおくん」が単行本化。主人公がFXを通じて出会う人々との交流を描き、複雑な人間模様を交えながらFXの魅力や、それに伴うリスクを説いてくれる。

本書は、よくあるFXの入門マンガとは一線を画す、ストーリーのある内容となっている。「FXが唯一の楽しみ」という長野県に住む主人公が、東京で行われたFXのオフ会の席で3きょうだいと出会うことで話は展開していくのだが、ストーリーを踏まえつつ所々でFXのポイントアドバイスをわかりやすく解説している。

「FXで人生が浮き沈む人たち」を反面教師とするか、自身となぞらえるか、色々な意味で考えさせられる。シンプルだがインパクトのある画風と、登場人物の意外性あるストーリーに引き込まれていく。また、作中に描かれた長野県の観光名所のコラムも面白い。FXの入門書として初心者はもちろん、ベテラン勢にも楽しめる内容となっている。

テーマ3: 組織での処世術

  • 「まんがで身につく 孫氏の兵法」(税込1,296円: 長尾一洋=著  / 久米礼華=作画)

    「まんがで身につく 孫氏の兵法」(税込1,296円: 長尾一洋=著 / 久米礼華=作画)

「孫子」は、約2,500年前に春秋戦国時代に書かれた兵法書で、ビル・ゲイツや松下幸之助など世の成功者たちも愛読したという中国の古典だ。戦のための兵法書ではあるが、見方を変えれば現代社会でのビジネスや組織の中で生き抜くための金言となる。

本書では、都会のブラック企業で疲弊した主人公が実家に帰り、再就職先で「孫氏の兵法」に助けらながら次々に起こる問題に立ち向かっていく姿を描いている。取引先とのトラブルや新商品の企画、ライバル企業の出現など、実際のビジネスシーンで起こりうるケースで、「孫子」の言葉は現代でも十分に通用することを示してくれる。

「孫子」は全13編、約6,000文字という比較的短い古典だが、その中に記されたノウハウは計り知れない。現在のビジネスという戦場で勝つために、いにしえの兵法をマンガでわかりやすく学び、実践するにはお勧めの1冊だ。この本をきっかけに、より詳しい「孫子」の解説書に挑むのもいいだろう。