銀行やコンビニでの現金の引き出し、新札や小銭への両替、住宅ローンの繰上返済……。銀行のサービスを利用すると、それぞれ所定の手数料がかかります。これが無料から有料になったり、手数料が上がったり、有料の基準が厳しくなるなど、利用者にとっては改悪の方向に変化し始めています。自分が利用している銀行はどうなのか、チェックしておく必要がありそうです。

新生銀行、ゆうちょ銀行が大きな変更を発表

今年5月と7月、利用者にとっては大きな変更が発表になりました。まずは5月、新生銀行が365日24時間いつでも無料だった提携ATMの出金手数料を、10月7日から一部の利用者は1回108円にすると発表しました。

新生銀行では毎月の取引・残高に応じて利用者を3つのステージに分けているのですが、この中で「新生スタンダード」ステージの人は有料になるのです。新生銀行は店舗が少ないため、多くの人は提携ATMを利用しているはず。該当する人は分散している資産をまとめるなどして、10月までに対応しておく必要があります。

ゆうちょ銀行は、10月1日からATMの電信振替料金の無料回数を月1回まで、月2回目以降は123円に改定すると発表しました。そもそも、ゆうちょ銀行スタート時は何回でも無料だったのが2016年10月に無料回数を月3回に改定、そして今回は1回に変更するというのです。

手数料の有料化はすでに地方から始まっていた

どうして、このような大きな変更が相次いで行われるのでしょう。それは長く続く低金利の影響に加え、貸出先の減少、キャッシュレス決済の広がりなど、銀行の収益が悪化してきているから。都市部に住んでいる人は気がつかなかったかもしれませんが、下図を見ると分かるように収益力が低い地方の金融機関では、すでにその動きが進んできているのです。

実はメガバンクでも、その動きは始まっています。一般の人が頻繁に使うサービスではないので知らない人も多いかもしれませんが、三井住友銀行は2017年5月、みずほ銀行は2018年1月、三菱UFJ銀行は4月から両替手数料を変更しました。無料枚数や手数料などの内容は銀行によって違いますが、以前より使いにくくなったことは事実。冠婚葬祭などで利用する機会がありそうな人は、一度調べておくといいでしょう。

銀行の手数料は、これからどうなる?

普段、あまり意識しないようなことですが、銀行のサービスにももちろんコストがかかっています。コンピューターシステムの費用、通帳を印刷する費用、何より預金通帳は1冊あたり毎年200円の印紙税を払う必要があるのです。

欧米では口座管理料を徴収する銀行は珍しくありません。日本でも、りそな銀行は2年以上預け入れや払い戻しがなく残高が1万円未満の口座保有者には、案内を送付したうえで年1296円の未利用口座管理手数料を徴収しています。

あまり意識することがなかった銀行の手数料ですが、これからは自分が利用している銀行の内容を定期的にチェックしておかないと、知らないうちに手数料を取られていた! なんていうことになるかもしれません。

  • 鈴木弥生

鈴木弥生

編集プロダクションを経て、フリーランスの編集&ライターとして独立。女性誌の情報ページや百貨店情報誌の企画・構成・取材を中心に活動。マネー誌の編集に関わったことをきっかけに、現在はお金に関する雑誌、書籍、MOOKの編集・ライター業務に携わる。ファイナンシャルプランナー(AFP)。