1人の“チャレンジャー”が自分の得意ジャンルで、99人を相手にクイズで対決するフジテレビ系クイズバラエティ特番『超逆境クイズバトル!!99人の壁 夏の大花火』が、きょう15日(19:00~21:00)に放送される。当時入社2年目の社員が企画した同番組は、昨年大みそかの午前帯に第1弾が放送されると大きな話題を集め、今年4月の第2弾はプライム帯、そして今回の第3弾でついにゴールデン進出だ。
MCは今回ももちろん、第1弾から担当する俳優の佐藤二朗。毎回、冒頭で「フジテレビばかやろー!!」と叫び、出場者を盛り上げるのがお約束になっているが、その裏にある思いとは? 収録を終えた直後に直撃した――。
若輩者同士が作る番組
――第3弾となりましたが、今回の収録の感想はいかがでしょうか?
疲れました疲れました。過去2回も今回も、まだまだ不慣れなんで「大丈夫なんだろうか」とか「俺ちゃんとできてるんだろうか」とか思っちゃって、全然楽しむ余裕はないんです。最初の放送は、去年の大みそかだったんですけど、あくまで役者が本業なので、1回くらいならお祭り気分でやればいいかと思ってお受けしたんですけど、2回目を春にやり、今回夏やり、そして今日知ったんですけど秋にもやるという…。もうフジテレビがヤケになってどうかしてしまったんじゃないかと思ってるんですけど(笑)。
でも、一緒に作品を作るという意味では、ドラマも映画もバラエティもクイズ番組も全部一緒ですからね。そして、この番組は、千葉悠矢というもうすぐ25歳の若いやつが企画コンペで優勝してできたものなので、僕もMCなんて全然経験ないですから、若輩者同士が作る番組が1つくらいあってもいいんじゃないかと思って、今後どうなるかわかりませんけど、「もうやめようか」と言われるまでは、頑張っていこうかなという感じです。
――収録をモニターで拝見していましたら、冒頭からかなり汗をかかれていたのが分かったのですが、それは緊張からですか?
第1回の収録の朝に風呂に入ってたら、セットが闘技場みたいだというから、「お前ら○○だー!!」って言うと、周囲が「おー!!」って返してくれるのをやったらどうだろうって、急に思いついたんです。それを千葉に提案したら「コール・アンド・レスポンスですね。やりましょう」って採用されてたんですけど、僕、「コール・アンド・レスポンス」って言葉も知らなくて。それで、「フジテレビばかやろー!!」というコールすることになったんですが、自分から言っておきながら、僕にとってそこが一番緊張するんです(笑)。だからそれが終わると、逆にリラックスするんですけどね。
前代未聞! 解答者が異議申し立て
――前回までの黒を基調としたセットからガラッと変わり、今回は明るくなりましたが、印象はいかがでしょうか?
前の地下闘技場みたいなシックなセットも好きだったんですけど、今回はお祭り気分ですよね。自分がバラエティにゲストで出たとき、赤とか黄色とか青とかのすごいきらびやかな原色がたくさんあるセットだと、結構緊張したんですけど、今日のセットは明るいながらも色はそんなに使ってなくてシンプルで、お祭りみたいな感じですごく好きですね。
――回を重ねて緊張しなくなってきたというところもあるんでしょうか?
それはあるかもしれないですね。最初はどうなるか本当に分かんなくて。でも、千葉が「進行はどんどん滞っていいです」って言ってくれるので、そういう意味では気楽ですよね。
――でも、今回は解答者が不正解の判断に対して異議を申し立てて、結果、正解にひっくり返るなんて初めての事態があったじゃないですか。あのときは焦りませんでしたか?
それも含めてこの番組らしい面白さだと思うんです。普通のクイズ番組で、解答者だけが本当の正解を知ってて、スタッフが審議に入って収録が止まるなんてことないじゃないですか(笑)。100人分のコアな問題を作らなきゃいけないんで、クイズを作る達人でもやっぱりカバーできないですよ。だから、あの場面も「面白いなぁ」と思ってました。野球で言えばチャレンジ、サッカーで言えばVAR(Video Assistant Referee)だなと思って。
――今回は、チャレンジャーとブロッカーが交互に穴を埋めていく「サドンデス」など新クイズもあって、段取りが多くて大変でしたか?
でも千葉がね、「あたふたしたら、そのままあたふたしてくれていいですから」って言ってくれるんで、「じゃあいいか」と思って。正直言うと、これまでの放送を見て、編集でうまくやるなと思ってたんで、進行で間が空いてもいいんだって安心したんです(笑)。俺、めっちゃ千葉を頼ってますからね(笑)。本当に半分くらいの歳ですけど、こんなに頼りになる24歳いないですよ。千葉、めっちゃ依存してるからな!
千葉D:ありがとうございます(笑)
――2回目の放送の直前に、ご自身のTwitterで「普段ADの若造が演出を務める。MCは俺。若造感満載。が、それゆえの尖った可能性を、託して支えてくれた熟練の先輩スタッフと共に信じようぜ千葉」と熱いエールを送っていましたよね。
新米同士ということもあるんですけど、先輩が千葉のことをすごく支えてくれてるんですよ。今日の収録でプロデューサー(木月洋介氏)がフロアにいたんですが、フジテレビの編成の偉い人がそれを見て「あいつがフロアに居るの久しぶりに見たな」って言ってたんです。そういう百戦錬磨の経験豊富な先輩が千葉を支えて、それに千葉も応えようと一生懸命頑張ってる姿を見ると、ちょっとグッとくるんですよね。
自然とわきあがる“二朗コール”
――この番組は、一般参加者の皆さんと二朗さんとの絡みも特色ですよね。
みんな、まるで自分の家のリビングにいるように話しかけてくるんですよ(笑)。僕、精神年齢が同じように感じられるのか、昔から動物・子供に好かれるんです。だから、本当に自由にしゃべってて、そういうスタジオの雰囲気も一体感があるので、楽しんでもらえればと思いますけどね。
――今回の収録でも、最後に参加者から「二朗!二朗!」というコールが自然発生したじゃないですか。あれはどうして起こるんだと思いますか?
僕が強要してるわけじゃないんですけど、なんでですかねぇ。僕自身が、人に劣等感を感じさせないというか、そんな感じで親しみやすいのかなぁ。でも、それはうれしいですよ。実は、松田優作さんのような影のある役もすごくやりたいんですけど、いくら背伸びしても、普通のおじさんなので、それが親しみやすくて「二朗コール」が起こるということなのかなと、良きように解釈しています(笑)
――そういう一般参加者との絡みの面で、参考にしている司会者などはいるんですか?
それはないですね。僕自身は“赤ちょうちん俳優”と言いますか、渡部篤郎さんから「お前と飲みに行くと~、サラリーマンと飲んでるみたいだよ~」(CV:ものまね)って言われるんです。芝居をやってなかったら、ホント普通のおじさんなので、進行を軽妙にやろうとか無理してもしょうがないんで、そのままのスタイルです。そうやってあまり肩肘張らずにやっても、みんながそれでも許してくれる雰囲気なので、ありがたいですよね。だから、さっき「楽しむ余裕はない」って言いましたけど、ちょっと取り消します。ずっと楽しみながらやってます。
――俳優の方がクイズの司会をやるというのは、古くは児玉清さんや関口宏さん、最近では谷原章介さんなど先駆者がいますが、二朗さんもその路線を広げていく野望はありますか?
千葉をはじめ『99人の壁』のスタッフにも口酸っぱく言ってますが、僕自身が今後、MC業に進出しようとかなんて気持ちは1ミリもないです。あくまで俳優ですから、とにかく、MCというより、“ゲームの主宰者”の“役”を演じるつもりで、今後もやっていこうということ以外は、あまり考えてないですね。
――そうすると、他からクイズ番組のオファーが来ても受けないですか?
本当に正直言うと、受けないと思います。