土砂災害と河川の洪水、高潮には要注意

台風による被害と言えば、その強風による家屋などの破壊を連想しがちだが、大雨や高潮、高波によるさまざまな災害にも気をつけねばならない。

坪井洪水情報係長は、「台風などに伴う大雨では土砂災害、河川の洪水、高潮によって命に危険が及ぶ可能性が出てきます。これらの現象に手遅れにならないように、気象庁は防災気象情報を前もって発信しております」と話す。

台風に限らず、気象庁は数日前の時点で「警報級の可能性」から「特別警報」までを段階的に知らせている。

「注意報や警報が出た時点で各市町村がとるべき対応や、それぞれの現象が激しくなるに従って住民の方に取っていただきたい行動もお伝えしています。また、各市町村の中でも、特にどの地域で危険度が高まっているかも『大雨・洪水警報の危険度分布』でお知らせしています」

  • 段階的に発表される防災気象情報

    段階的に発表される防災気象情報

例えば高潮の場合、暴風警報が発表された後に高潮警報が発表されるケースが一般的だ。ただ、高潮警報が出た時点で既に屋外への避難が難しくなっていることも起こりうる。そのため、高潮警報の前段階にあたる暴風警報が出た時点での避難が望ましい。

  • 高潮警報が出る前に避難をできるように行動したい

    高潮警報が出る前に避難をできるように行動したい

また、崖崩れや土石流といった土砂災害が起きやすい地形は都道府県によって「土砂災害警戒区域」に指定されている。「そういったエリアにお住いの方にこそ、防災気象情報をぜひともお使いいただきたいです」と坪井洪水情報係長は力を込める。刻一刻と変わる情報をリアルタイムで知ることが、台風における災害の減災につながることをきちんと知っておこう。

  • 大雨時は黄色いエリアで描かれている「土砂災害警戒区域」に居住している人は注意が必要だ

    大雨時は黄色いエリアで描かれている「土砂災害警戒区域」に居住している人は注意が必要だ

平時からしておくべき台風対策

それでは、実際に台風が来た場合はどのような対策を講じておく必要があるのだろうか。対策は大きく「(平時を含めた)台風が来る前」と「台風が接近してから」の2つに大別できるだろう。それぞれの対策を簡単にまとめた。

台風が来る前

・食料や水などの備蓄品を用意する
・懐中電灯や携帯用ラジオ、救急薬品などを用意する
・居住地区のハザードマップを入手する
・避難場所の確認をする
・窓ガラスへの飛散防止フィルムなどの貼付をする
・窓や雨戸の補強をする

台風が接近してから

・屋外での作業を控える
・無用な外出を控える
・用水路や河川へ近づかない

「台風情報は刻々と変わりますが、気象庁はすべての台風について情報を出しており、テレビやラジオ、インターネットなどで発信されています。もしも台風が接近するとなったら、こまめに台風情報をチェックしてほしいですね。また、場合によっては台風に伴う竜巻が発生することもあるので注意してください」(石原予報官)

外出時はどうすべきか

台風が接近している状況下では、不要不急な外出を避けるべきなのは誰もが知っているところだ。ただ、仕事の都合などでやむをえず外出をしないといけない状況も、どうしても発生しうる。そのような際にはどうすべきかを以下にまとめた。

危険なエリアから可及的速やかに避難する

崖の付近や沢沿い、河川沿い、海岸付近といった地域には土砂災害や洪水、高潮のリスクが付きまとう。崖や渓流付近では土砂災害によって、河川沿いでは大雨によって増水した河川の氾濫によって命を落としかねないため、周囲に最大限の注意を払いつつ、できるだけ早く今いる場所から避難するように。

状況に応じて近隣の頑丈な建物に避難する

比較的都心部で台風に遭遇した場合、遠方の避難場所よりも近くの頑強な建物(雨で浸水する可能性も鑑み、2階以上の建物が望ましい)に避難した方がよいケースもありうる。避難所へ行くべきなのか、近くのビルなどで難を逃れるようにするのか、その場の状況に応じて判断をするようにしよう。