米労働省が8月3日に発表した7月雇用統計の主な結果は、(1)非農業部門雇用者数15.7万人増、(2)失業率3.9%、(3)平均時給27.05ドル(前月比0.3%増、前年比2.7%増)という内容であった。

  • 米7月雇用統計レビュー - 雇用情勢は堅調、賃金の伸びは緩やか

(1) 7月の米非農業部門雇用者数は前月比15.7万人増と、市場予想の19.3万人増に届かず、3カ月ぶりに増加幅が20万人台を下回った。ただ、前月分が3.5万人、前々月分が2.4万人と、合計で5.9万人の上方改定が行われた結果、3カ月平均(4-6月)の増加幅は22.4万人と高水準を維持した。

(2) 7月の米失業率は3.9%と、市場予想どおりの結果であった。5月に2000年4月以来の低水準となる3.8%を記録した後、6月には4.0%に上昇していたが、今回は再び低下に転じた。なお、労働参加率は6月から横ばいの62.9%であった。そのほか、フルタイム職を望みながらもパート職で勤務する人なども含めた広義の失業率(不完全雇用率)は約17年ぶり低水準の7.5%に改善した。

(3) 7月の米平均時給は27.05ドルとなり、前月から0.07ドル増加。伸び率は前月比+0.3%、前年比+2.7%で、いずれも市場予想どおりだった。前年比の伸び率は5月から3カ月連続で横ばいとなった。賃金は底堅い伸びが続いているものの、今回も上昇が加速する兆候は見られなかった。

7月の米雇用統計は、引き続き米国の雇用情勢が堅調である事を示し、貿易摩擦の影響が雇用市場に及んでいない事を示した。一方で、相変わらず賃金の伸びは緩やかで、インフレ圧力に繋がる様子がない事も示された。

今回の雇用統計は、米連邦準備制度理事会(FRB)が緩やかなペースでの利上げを当面継続するという大方の見方に沿った内容であった。雇用統計発表後にドル/円相場が下落したのは、中国が600億ドル相当の米国製品に対し、追加の輸入関税を計画していると報じられた影響が大きかったようだ。一方、米国株が上昇したのは好調な企業決算によるものだったと見られる。米7月雇用統計は、総じて市場への影響が小さかったと言えるだろう。

執筆者プロフィール : 神田 卓也(かんだ たくや)

株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長。1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信(デイリーレポート『外為トゥデイ』など)を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。Twitterアカウント:@kandaTakuya