教育資金を貯める方法は4つ

さて、最低でも月3万円を12年間貯金できれば、私立大学の教育費を工面できることがわかりました。しかし貯金するだけだと、ほとんど利息が付かないので、効率よく工面できるとは言い難いです。より効率よく貯めるためにはどうしたらよいでしょうか。貯金を含めた4つの方法がありますので、メリット・デメリットを整理しておきましょう。

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    教育資金を貯める4つの方法と、それぞれのメリット&デメリット

上の表に、4つの方法を整理しました。貯金(銀行預金)、学資保険、投資(株や投資信託を購入)、親族からの援助です。このうち、親族からの援助は、「増やすこと」とは無関係ですが、費用を工面する方法としてまとめられるので、今回含めています。またそれぞれのメリット・デメリットによらず、考慮したいポイントを「考慮ポイント」の欄にまとめました。

親族から援助を受ける場合、祖父母から入学金や授業料の援助を受けると、贈与税が非課税になる税制度があります。自分が学校に入学するときのことをよくよく考えてみると、親などから払ってもらった入学金や授業料には贈与税が課税されていません。それと同じです。

一番人気は学資保険

この方法の中で一番人気なのは学資保険です。冒頭で紹介したアンケートの回答者のうち、教育費の工面を考えている人の半数が学資保険を契約していました。

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    教育資金の準備のために行っている方法は何ですか?

教育資金の準備には、学資保険を利用している人が一番多く、財形貯蓄や普通預金と組み合わせている人もいました。ちなみに財形貯蓄とは、所属する会社を通じて給与天引きで貯金ができる福利厚生制度です。

学資保険は、教育費を積み立てつつ、銀行預金よりも高い利回りが期待できて、さらに生命保険の機能がついている商品なので、教育費を工面するには万能商品に見えます。しかし途中解約すると元本割れしますし、解約時の返戻率が決まっているので、インフレが起きてお金そのものの価値が下がり、教育費が値上がりすると、工面しきれなくなるリスクがあります。

加えて、返戻率が決まっているものの、保険会社が破綻してしまうと保険金が受け取れなくなってしまうリスクもゼロとは言い切れません。したがって、貯金する金額すべてを学資保険でまかなうのは、やめたほうが無難です。

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    学資保険の支払い例(ソニー生命「学資金準備スクエア」より引用)

学資保険の具体例を見てみましょう。この例(ソニー生命)では、10年間毎月15,540円、計186万4,800円を支払うと、18歳から5年間毎年40万円ずつ、計200万円の保険金が受け取れます。返戻率が107.2%なので、銀行預金の利息よりは高い利回りが期待できます。

一方で、この例では必ず107.2%と決まっていますので、受取時点で物価が上昇して教育費が上がった場合には、賄いきれなくなるリスクもあります。途中で解約する場合は返戻率が100%未満になってしまいますから、途中解約はできないものと考えましょう。また、親に万が一のことがあった場合には、その後の支払いが免除されるので、生命保険の機能があります。生命保険控除の対象にもなりますので、所得税の節税も期待できます。

結局どれがいいの?

株や投資信託を毎月積み立てる方法は、銀行預金や学資保険よりも高いリターンが期待できますが、元本が一切保証されないので、投資した商品の価格が下がり続けると元本割れしてしまいます。そのリスクを分散するために、国内株式、海外債券などの商品に分散して投資する必要があります。

しかし、投資信託だけでも数千本の商品があり、初心者だとなかなかどれを選んだらよいか迷いますので、証券会社の店頭やウェブサイトで調べなければなりません。学資保険と同じように、すべてを投資でまかなうのもやめておきましょう。

あくまで筆者やその周辺の経験則でいえば、貯金・学資保険・投資を、貯金25%・学資保険25%・投資50%くらいの比率で組み合わせると、効率よく教育費の工面ができました。肝心なのはどれか一つにゆだねるのではなく、組み合わせなのです。