▼演技の勉強をしたくてウズウズしていた中3のころ

――趣味にカラオケとありますけど、もともと歌をうたうのは好きなんですよね。

はい! 趣味なんですけど、上手に歌うことは重視していなくて、カラオケで歌うときは、どれだけうまくモノマネをできるかを考えています。

――普段はどういった楽曲を聴かれるんですか?

男性ボーカルだとAcid Black Cherryさんが好きでライブにも行っています。女性ボーカルだとDREAMS COME TRUEさん。特に「何度でも」が大好きで、小さいころから聴いていて、元気をもらっています。歌い上げる系だとMISIAさんも好きです。あとは、観た映画のサントラを流すこともありますし、ジャンプ作品が好きなので、その主題歌とか。あと、ディズニーソングですね!

――ディズニーだとどういった楽曲でしょう。

『美女と野獣』の「朝の風景」は全員分歌い分けができます。『リトル・マーメイド』の「パート・オブ・ユア・ワールド」は日本語版も英語版も歌詞を見ずに歌えますね。基本的にオープニングとかエンディングではなく、ストーリーの途中で挟まれる、演じつつ情景が浮かんでくるような歌ですね。ミュージカルが好きなのかも。『アナと雪の女王』でも「レット・イット・ゴー」よりも「生まれてはじめて」のように踊りだしそうな楽曲が多いです。

――ありがとうございます。ここからは山崎さんのこれまでいついて、少し振り返っていきたいと思っています。山崎さんがもともと声優になろうと思ったきっかけは?

声優という職業をはじめて知ったのは中学生のときに観た『ハガレン(鋼の錬金術師)』ですね。友だちから、「『ハガレン』のエドワード・エルリックは女性が演じているんだよ」ということを聞いたんです。そのころは声優さんってすごいなくらいの気持ちだったんですけど、中学2年生のころに『だぁ!だぁ!だぁ!』というアニメについて調べていたら、主人公を中学生が演じているということを知ったんです。それが名塚佳織さんと三瓶由布子さんなんですけど。声優ってこんなに若い役者さんも活躍してるんだって思ったら「やりたいかも」って。

――そこで日本ナレーション演技研究所に。

はい。専門学校に行くことも考えたんですけど、高校を卒業してから行くのは遅いかなって。当時好きだったアニメの声優さんを調べていたら、アーツビジョンやアイムエンタープライズに所属している方が多くて、そこは養成所もやっているし、小学生から受け付けている。これは入るしかないと。それが中学3年生くらいです。

――思い立ってから行動するまではやいですね。

思い立ったが吉日精神なんです。親も中3の子どもが「声優になりたい」と言って、よくいいよと言ってくれたなと思います。「大学に行かずに声優の勉強をするから、高校入学と同時に養成所に通いたい」と言ったんですよ。

▼高校からオタク活動が盛んに

――高校と同時というのは。

中学生だとジュニアクラスで、基礎科には高校生から入れるんです。ジュニアクラスの学習内容は「人前に出ることに慣れよう」という感じだったので、「私は生徒会をやっていたので人前で話すのも平気ー」ってそれはいらないかなって(笑)。もう演技の勉強をしたくて、中3のときはウズウズしていました。そこから高校の受験と養成所の面接ですね。

――大変だ。

壮絶でした。母が入院していて、妹も小さかったので、私が夕飯を作らないといけなかったんです。養成所にも行って、バイトもして、部活もやっていたので、日々がバタバタしていましたね。でも、遊びまくってもいたんですよ。

――相当なバイタリティですね。そんな山崎さんを支えていたものは?

疲れなかったのはアニメで潤っていたからですね(笑)。中学生のときもアニメが好きだったんですけど、高校生になってバイトをするようになってから、使えるお金が増えたので、オタク活動が盛んになったんです。

――当時はどんな作品にハマッていたんですか?

『ハガレン』や『名探偵コナン』とかが好きでしたけど、やっぱりジャンプ作品ですね。特に『銀魂』と『テニプリ(テニスの王子様)』、あとは『BLEACH』です。あ、いまめちゃくちゃ思い出してきました! 私の時代はルーズソックスを穿いて、スクールバッグをポスカでデコるのが流行っていたんですよ。スクールバッグだけじゃなく、ジャージ、上履きもデコッていましたね。

――ルーズソックス! 僕の世代だと女子は紺ソをソックタッチで固定していましたね。たとえばデコるってのはなにをどうするんですか?

好きなキャラの名前をジャージとかに書いて体育に参加するんです。

――なるほど……。どんなキャラ名を書いていたんですか?

たとえば『テニプリ』だと鳳長太郎と宍戸亮がすっごく好きだったんです。

――氷帝の。

そうです! それでジャージに書いていました。あのジャージは今でも持っている気がする……。あと、『BLEACH』の日番谷(冬獅郎)くんのポスターをめちゃくちゃ買って、天井と壁に貼りまくって部屋中を日番谷くんにしたこともあります。『ハガレン』でエド役の朴璐美さんを好きになって、そのまま朴さんが演じている日番谷くんも好きになって、というパターンです。はじめて買ったグッズって『BLEACH』かも。

▼はじめてファンの前に

――そうやってアニメに支えられながら養成所に通って演技の勉強をしていったわけですね。初仕事はなんだったんですか?

はじめては2010年の『AG学園 あに☆ぶん』というアニメ系の情報番組ですね。キャラクターがナレーションをしていくという内容で、春乃ちな役で出演していました。まだアーツビジョンに所属する前で、日ナレ時代だったと思います。山崎はるかとして、世に声が出たのは『あに☆ぶん』が最初ですね。

――声というのは。

番組では名前がクレジットされていなかったんですよ。出たのは3年後の最終回後がはじめてなんです。でも、そのクレジットされる前からバレていましたね(笑)。事務所に所属して『ハヤテのごとく!』に出演したころから、私の声が認識してもらえるようになって、ちょうど『あに☆ぶん』を東山奈央ちゃんとやっていたので、「このキャラクターの声、東山奈央と山崎はるかじゃないか?」みたいに。はじめて名前が出たのは、デジタルコミックに声をあてた『キミのとなりで青春中。』ですね。

――そこからたくさんお仕事をされてきて、印象に残っているものは?

やっぱり『ハヤテのごとく!』と『アイドルマスター ミリオンライブ!』ですね。大きな会場でお客さんの前に立って、顔を見られて、歌をうたうというのは大きいですね。

――はじめてイベントに出て声援を受けて。

そうなんですよ。「お客さん来てくれるんだ」って。自分もオタクだったはずなのに、見に来てくれるんだって感動しました。

――直にファンからの応援を受けると、収録するときの意識も変わるものですか?

キャラソンのレコーディングは変わりましたね。「ここでお客さんの声が入るかもしれないから、煽るように歌ってみよう」とか、ライブありきの楽曲は「ここでコールが入るんじゃないかな」とか想像しやすくなりました。

▼歌でつなぐバトン

――今後、山崎さんは「声優」と「アーティスト」という二足のわらじになるかと思いますが、その上で意識されていることはありますか?

私は声優だけを目指してやってきたので、「声優」と「アーティスト」は別のものという認識なんですよ。あまりアーティストの方に声優の要素は出ないかもしれないです。たとえば「ゼンゼントモダチ」を聴きにライブに来てくれる方が山崎はるかが出演しているアニメをひとつも観てくれていなくてもいいと思います。逆に、山崎はるかは好きだけど、楽曲は知らないという方がいてもいいですよね。山崎はるかという名義は一緒だけど、声優もやっているし、アーティストもやっている。その中でそれぞれを応援してくれるファンの方がいる。それでいいと思っています。

――「こういうアーティストになりたい」というビジョンは?

それがまだ模索中で。「ゼンゼントモダチ」のレコーディングも、それで困ったんです。何が自分の歌なのかがわからない。キャラソンではキャラクターを演じればいいんですけど、「山崎はるかが自由に歌ってください」と言われたときが難しかった。なのでレコーディングのときに模索しながらつくっていったんですよ。

――いまだ探し中?

ですね。すでに「ゼンゼントモダチ」のなかにもいろいろな私がいるので、いまの段階では「山崎はるかはコレ」ってひとつに決めずにいたほうがいいんじゃないかと思っています。いろんな顔を見せられるアーティストの方がいいのかなって。髪色もカメレオンですし(笑)。いろいろな私があっていい。気にいる山崎はるかがいるときに、その楽曲を聴いてくれればうれしいです。

――キャラクターを表現するのと、自分自身を出すのは違いますもんね。

まったく違うんです。

――人によっては自分自身を演じるという方もいますね。

スタッフさんからも聴きました。「演じる方もいるんだよ」って。でも、その分大変なんですよね。これからライブをやるとしたら、そのときも崩さずに演じていけないといけない。それを私がやるのは難しいので、無理なくやれるほうがいいなって。アーティスト山崎はるかとしては、引っ張っていく側がいいなとは思っています。私は頼りたいよりは頼られたい、手を差し差し伸ばす方が好きなので、ファンのみなさんを引っ張っていきたいんです。私がみんなを守ります!

●山崎はるか1stシングル「ゼンゼントモダチ」


●初回限定盤 CD+DVD
価格:1,800円(税抜)
●通常盤 CD only
1,200円(税抜)
CD収録内容
01.ゼンゼントモダチ
02.金曜日のBambi
03.ゼンゼントモダチ(instrumental)
04.金曜日のBambi(instrumental)
初回限定盤特典DVD
・ゼンゼントモダチ MV
・ゼンゼントモダチ MV Dance Shot ver.
・ゼンゼントモダチ Behind the scene
・SPOT

初回限定盤

通常盤