どこから見てもスーツなのに、実は作業着というユニークな商品コンセプトで売り出している「ワークウェアスーツ」をご存知だろうか? 国内では個人向けに毎月500着が販売され、法人からの注文は3か月待ちという状況だという。そんな中、ワークウェアスーツの夏コレクションが発表されたので、チェックしてきた。

  • スーツに見える作業着「ワークウェアスーツ」に夏モデル登場

    オアシススタイルウェアが手がける作業着、ワークウェアスーツ。夏コレクションとして軽量化されたジャケット、パンツ、ビズポロを7月より発売する

ワークウェアスーツってどんなスーツ?

ワークウェアスーツは、オアシススタイルウェアが手がける作業着。機能性とフォーマル感の両立を目指した。具体的には、撥水性、ストレッチ性に優れており、丸洗いできるうえに、部屋干しで3時間で乾く。また形状記憶のポリエステル素材を使用しているのでシワにならず、アイロンをかける手間もいらないという。

  • こちらは既発売のワークウェアスーツ

同社では夏コレクションとして、軽量化され通気性も向上したジャケット、パンツ、ビズポロを7月より発売する。販売価格は「テーラードサマージャケット」が16,000円(税抜き、以下同)、「サマーパンツ」が12,000円。色はネイビーとブラックを、サイズはS~3Lを用意している。また「半袖ビズポロシャツ」は6,500円、「長袖ビズポロシャツ」は7,500円で、こちらはホワイトとネイビーで展開、サイズはS~LLを用意した。

  • テーラードサマージャケット、サマーパンツ、半袖/長袖ビズポロシャツを新発売する

開発のきっかけは?

発表会には、オアシスライフスタイルグループ代表取締役の関谷有三氏と、オアシススタイルウェア代表取締役の中村有沙氏が登壇して詳細を説明した。自転車通勤や営業周りをしているビジネスマンに好評で、マンション管理人やゴミ回収業者、最近では農家や漁師からも引き合いがあるというワークウェアスーツ。実家の水道業を継いだ関谷氏が10周年を機に考案した、作業服のリニューアル事業が開発のきっかけになったという。

  • オアシスライフスタイルグループ代表取締役の関谷有三氏(左)と、オアシススタイルウェア代表取締役の中村有沙氏(右)

関谷氏からのデザインの依頼に、スーツ風の作業着を提案したのが(当時)採用部門にいた中村氏だった。「作業着は、女性目線からすると無骨で、ときに怖いイメージがある。そこでフォーマルなジャケットスタイルでつくったらどうか、と提案しました」と中村氏。とは言え、作業着とスーツは、機能面でほぼ対極にある存在だ。その開発は難航を極めた。「開発前には大手スーツメーカーが販売している既存のストレッチスーツを買ってみました。けれど、とても水道工事ができる代物ではなかった。洗えるとは言え、毎日の洗濯は想定していない。しわくちゃになり、アイロンをかける手間もある。汚れは洗っても落ちない。そこで生地選びからスタートしました。結果、完成まで1年半くらいかかりました」と関谷氏。

意外な効果が判明、炎上騒ぎも

ワークウェアスーツを導入したすべての企業から高い評価を得ている。また最近では、意外な効果も明らかになったという。「マンションの住人から、管理人の雰囲気が変わった、身だしなみが良くなったという声が寄せられたそうです。作業着を使用していたときは髪がボサボサだった人も、スーツスタイルになると髪をセットするようになる。スーツ型は汚れると気になるため、毎日洗濯する習慣もつきます」と笑顔の関谷氏。同製品は人の雰囲気まで変えてしまうようだ。

  • サマーパンツは涼しい印象を与える9分丈。6つのポケットを用意しており、ジッパー付きのビッグポケットは折りたたみ傘が入るほど大きい

ただ、発売当初は賛否両論があった。批判する人は、親子代々水道業を営んできた企業が開発した、過酷な現場に耐えられる作業着だということを知らなかった。「YouTubeとホームページには、炎上するくらいのコメントが寄せられました。作業服をなめるな、冒涜している、実際の現場を知らないアパレルメーカーがつくったおもちゃだろう、そうした内容でした」と関谷氏。しかし炎上すればするほど注目度も上がり、やがて画期的だ、良いアイデアだ、こんな商品を待っていたという肯定的な声も増えたとのこと。

  • ブルゾンタイプなども用意している

「靴とファッションの通販サイト ロコンド」で4月から販売をスタート。中村氏は「作業員だけでなく、普段からスーツを着こなしている方も買われています。市場ではこんなに求められていたのかと、改めてニーズの大きさに驚きました。女性用も作ってほしい、別の色もほしいという声も頂いています」と話す。初年度の売り上げ目標は1億円に定めた。すでに台湾や中国本土での展開も視野に入っているという。