ステータスの高いクレジットカードといえば、一般的には「ゴールドカード」をイメージする人が多いかもしれません。しかし世の中には、よりレベルの高い「ブラックカード」や「プラチナカード」を持っている人もいます。
日頃あまり目にすることのないこれらのカードは、一体何が違い、どうすれば持てるのでしょうか? 今回は、ブラックカードやプラチナカードについてお話します。
ブラックカード、プラチナカード、ゴールドカードの違いは?
ブラックカード・プラチナカードは、ゴールドカードのさらに上位に位置するカードです。カード会社によって少々呼び名が異なることもありますが、基本的には以下の順でランクが上がります。
レベル1.一般カード(シルバーカード、クラシックカードとも呼ばれる)
レベル2.ゴールドカード
レベル3.プラチナカード
レベル4.ブラックカード
同じカード会社内では、原則として上記の順に年会費、審査基準が高くなり、そのぶん利用限度額が高く、会員向けのサービスが充実しています。
ただし、全てのカード会社がプラチナカード、ブラックカードを発行しているわけではなく、発行していても必ず「ブラック」「プラチナ」という名前を付けているわけでもありません。
特にプラチナカードは券面がプラチナ(白金)色ではなく、金色や黒色のものも多く、カード会社によって位置付けが異なります。年会費・審査水準や会員特典の充実度からして最上級で、実質的にブラックカードであることも少なくありません。
あるカード会社のブラックカードと、別のカード会社のプラチナカードではほぼ同水準のステータスに相当することもあります。したがって、プラチナカードとブラックカードの境界はあまり明確ではありません。
ブラックカード・プラチナカードの年会費やサービス
ブラックカード・プラチナカードの年会費は、いずれもゴールドカードより高めです。ただしカード会社によって大きな幅があり、低めのものは1万円程度、高めのものは10万円以上のものもあります。
会員向けのサービスも、ゴールドカードより手厚いのが特徴。カード会社によって異なりますが、主に次のような特典をそろえているところが多いです。
<1>コンシェルジュサービス
航空券、ホテル、レストラン、ゴルフ場などの情報提供や予約の手配を、電話でしてくれるサービスです。自分の好みや希望に合った旅行やお食事をアレンジしてもらえます。
<2>空港のVIPラウンジサービス
国内外の空港のVIPラウンジの会員になれるサービスです。会員になるための年会費や利用料が無料になることが多いです。空港によっては、ゴールドカードの保有者を対象としたラウンジよりも、さらにラグジュアリーな空間を利用できます。
<3>グルメサービス
提携のレストランで割引を受けられたり、有名レストランのコース料理を2名以上で利用すると1名分が無料になったりするサービスです。
<4>会員限定イベント等への招待・優待
プラチナ・ブラック会員のみを対象にしたイベントへの招待や、演劇・レジャー施設・ゴルフなどのチケットを優待価格で利用できるサービスです。ゴールド会員よりも対象のイベント・チケットが多く、優待率が高い傾向にあります。
ブラックカード・プラチナカードはどうすれば持てるの?
一般カードやゴールドカードのほとんどは、希望者が申し込みをして、審査に通れば持てるのに対して、ブラックカード・プラチナカードの多くは「招待制」です。自分で申し込み手続きをするのではなく、カード会社から「インビテーション」という招待状・入会案内が届きます。
インビテーションは、カード会社が、一般カードやゴールドカードを利用している人の支払履歴を見て、返済能力が高い優良顧客だと判断すると、発送します。ですから、これまで利用していたカード会社のブラックカードやプラチナカードに切り替えることになります。
一方で、自分で申し込む方法もあります。一部のカード会社ではプラチナカードの新規申し込みを受け付けています。
ブラックカードとプラチナカードの両方など、上位クラスのカードを複数種類提供しているカード会社では、上位2番目、3番目くらいのカードまでは新規受付をしているようです。ただ、最上位のカードはほとんどが招待制か、もしくは紹介制です。紹介制の場合は、すでにブラックカードなどを保有している人からカード会社に、入会希望の旨を伝えてもらいます。
そしていずれの方法でも、原則として審査があります。招待、紹介であっても、審査結果次第では希望通りのカードを持てないこともあります。
ブラックカード・プラチナカードを持つメリットと注意点
ブラックカードやプラチナカードは、ゴールドカードよりもさらに充実した会員特典が付いていることが魅力となっています。また、ゴールドカード以上に保有者が少ないこともあり、社会的なステータスは圧倒的に高いでしょう。これらの点にメリットを感じるなら、十分に活用できるはずです。
反面、年会費が高く相応のコストもかかります。またゴールドカードと比較して、ポイントの還元率が特段に高いことはあまりないため、年会費以上のポイント還元を得ようとすると、かなり高額な買い物が必要になります。ポイント狙いであれば、あえてプラチナカード・ブラックカードを持つ意味はそれほどないケースがほとんどでしょう。
したがって、高級レストラン・海外旅行・出張に頻繁に行くなど、ゴールドカードにはない会員特典を十分に使う可能性がある人や、ステータスのためにはコストを惜しまない考えの人に、ブラックカード・プラチナカードは向いているでしょう。
※写真と本文は関係ありません
加藤梨里
ファイナンシャルプランナー(CFP(R)認定者)、慶應義塾大学スポーツ医学研究センター研究員
保険会社、信託銀行を経て、ファイナンシャルプランナー会社にてマネーのご相談、セミナー講師などを経験。2014年に独立し「マネーステップオフィス」を設立。専門は保険、ライフプラン、節約、資産運用など。大学では健康増進について研究活動を行っており、認知症予防、介護予防の観点からのライフプランの考え方、健康管理を兼ねた家計管理、健康経営に関わるコンサルティングも行う。