5月22日、東京タワーのほど近くに位置する増上寺にて、「マクラーレン・セナ」のジャパンプレミアが行われた。

  • 増上寺・特設会場にてお披露目となった「マクラーレン・セナ」

受け継いだのは、セナの“チャレンジし続けるDNA”

マクラーレンの市販モデルには、「Sport」「Super」「Ultimate」という3つのカテゴライズが設けられており、同車両は「Ultimate」カテゴリーのニューモデルとなる。伝説のF1ドライバー、アイルトン・セナの名を冠した究極のサーキット仕様モデルでありながら、公道での走行も可能とのことで、まさに“究極のサーキット指向型ロードカー”であると言える。

  • 車体寸法は、全長4,744×全幅2,153×全高1,229mm(全幅はミラー展開時)。ホイールベースは2,670mm。車両重量は1,198kg

同社にとってアイルトン・セナは、モータースポーツの栄光の歴史をともに築いてきたパートナーであり、いつまでもチャレンジし続ける同氏のDNAがこの1台には受け継がれている。マシンは1台ごとにスペシャリストたちの手作業により生産され、製造には約300時間を要するという。

  • フロントスプリッターが「マクラーレン P1」に比べて150mm、「マクラーレン P1 GTR」に比べて75mm長くなっていることで、直線だけでなくカーブにおいてもダウンフォースを最適化するなど、随所に最高のパフォーマンスを実現するためのこだわりが

ドライバーとマシンとの間に純粋な絆を生み出すことを目指したという同車両は、“フォルムは機能に従う(Form follows function)”というマクラーレンのデザイン哲学を如実に表現するアピアランスを持っている。また、重量削減に関しての徹底ぶりも並ではなく、「マクラーレン F1」以降では最軽量となる1,198kgの乾燥重量をマークした。

  • ヘッドライトの重量は33%削減されており、「マクラーレン P1」に比べ1kg以上も軽くなっているという

同車両の心臓部、4.0リッターV8ツインターボエンジンは、最高出力800PS、最大トルク800Nmを誇る。0-100km/h加速に要する時間はわずか2.8秒で、最高速度は340km/hと公表している。

  • キャビン後方に縦置きされるエンジンは、独特の形状を持つ“シュノーケル型”エアインテークを通じて呼吸する

無駄を排した機能的なコックピットには、超軽量のカーボンファイバー製レーシングシートを採用。カーボンファイバーがむき出しになっている箇所もあり、インテリアにもこのマシンの開発意図がしっかりと感じられる仕上がりになっている。

  • 中央のインフォテインメイント・スクリーンは、車内のスペースを増やすため横向きに。ヘルメット着用時にもドライバーの視野に収まるよう向きを変えたり、ドライバーに近付けたりすることも可能

22日に行われたジャパンプレミアには、過去に「720S」や「P1」など歴代モデルの開発にも携わってきたマクラーレン・オートモーティブ・チーフエンジニアのダン・パリー・ウィリアムズ氏らが登壇し、車両に関するプレゼンテーションを行った。

  • 同氏は「最高速は重要ではない。重要なのはラップタイムであり、そのためには加速力や高いコーナリングスピードを実現することが大切だ」と語り、あくまでも同車両がサーキット仕様であることをアピールした

同車両は500台の限定生産となり、日本向けの税込価格は67万5,000ポンド。日本円に換算すると約1億円という金額ながら、2018年3月のスイス・ジュネーブにおける世界初公開の時点で、すでに完売が公表されている。オーナーにはなれないまでも、一度でいいから走っている場面に遭遇したいと感じさせる、まさに究極と呼ぶにふさわしい1台である。

  • 会場外にはマクラーレンのラインナップがズラリ。アンベールの前には、日本を代表する能楽大鼓奏者の大倉正之助氏が演奏を披露する場面も