ロッテはこのほど、早稲田大学スポーツ科学学術院・宮下政司准教授と共同で行った研究結果について明らかにした。歩行時に咀しゃくを行うとウォーキングの効果が高まり、カロリー消費も高める可能性があることが確認できたという。

  • ガム咀しゃくによる心拍数の変化

    ガム咀しゃくによる心拍数の変化

同研究は2017年5月14日~6月3日、21歳~69歳までの健常な男女46名を対象に実施した。対象者に「ガム咀しゃく」と「無咀しゃく(ガムと同成分の粉末を歩行前に摂取)」の条件で自己のペースで15分間歩行してもらい、その際の心拍数や歩行距離、歩行速度、歩幅、カロリー消費量を計測・算出した。

その結果、ガム咀しゃく条件において、対象者全体・男女別でも歩行中の心拍数が無咀しゃく条件より健全な範囲で増加した。男性、特に中高年者においては、無咀しゃく条件と比較した結果、ガム咀しゃく条件で歩行距離および歩行速度が増加し、それに伴い歩行中のカロリー消費量(※)が高まることが示唆された。

  • 中高年男性の歩行距離、歩行速度、カロリー消費量の変化

    中高年男性の歩行距離、歩行速度、カロリー消費量の変化

ウォーキング中に咀しゃくを行うことでウォーキングの効果が高まり、カロリー消費が増える可能性が確認できたが、この結果について宮下准教授は「心拍リズムと運動リズムは同期する『Cardiac-locomotor synchronization(CLS)』という現象が影響しているのでは」とコメントした。

宮下准教授によると、CLSは身体に対し、活動筋への最大血流量の増加、心臓後負荷の軽減、静脈還流の増加に伴う1回拍出量の増加が考えられるという。「ガム咀しゃくによって心拍数が増え、CLSが生じたことによって、歩行距離、歩行速度、歩数の身体機能が増大した可能性が考えられます」(宮下准教授)

  • 実験の様子

    実験の様子

研究では、ガム咀しゃく条件で、中高年男性の歩行距離や歩行速度が増加したという結果が出たが、宮下准教授によるとCLSは若年者よりも高齢者で起こりやすいことが明らかになっているという。「今後、ますます高齢者の健康への自助努力が必要とされる中、手軽にできるウォーキング中の咀しゃく運動が注目されるのでは」と期待を寄せた。

  • 実験の説明風景

    実験の説明風景

※歩行速度と被験者の体重から、エネルギー消費量を算出する方法により算出(American College of Sports Medicine,2011)