ネットには「若干依存している方なのかな」
――この作品はネットでの人間関係やネット社会が1つのテーマとなっています。南沢さんのネットとの向き合い方についてもお教えください。
本読むのも好きなんですが、調べ物はかなりネットになりましたね。今回のテーマにもなってますが、若干依存している方なのかなと。やっぱり電車に乗っていても、今までは本を読んでいたのが、ついネットニュース見たりとか。スマホなしで生活するのが考えられないくらいに、いつの間にかなっていました。怖いですけど便利ですからね(笑)。ただ、その情報の中でも正しい、正しくないはあるので、ちゃんと見極めることが必要だと思います。
――インスタグラムもやられてますが、ネット上で発信するうえで意識してることはありますか?
ネットは一回発信してしまうと、すごいスピードで広がっていくので、言葉はちゃんと選ぶように、あまりササっとは載せないように意識してます。すごい考えて考えて、インスタにアップするのに1日かかったりとかもありますね(笑)。
――本の情報サイトで『南沢奈央の読書日記』も連載されてますよね。
そうですね。『読書日記』もネットがなければできなかったお仕事です。今まで私に興味のなかった方にふと見ていただいて、ファンになってくださったりもあるので、世界が広がったなと思います。テレビでは出せてない部分を発信して知ってもらえたらなと。『読書日記』はネットが進む一方で、活字離れも進むのは寂しいなという思いがあるので、今後も伝えていきたいです。
――最近読まれた中で、おすすめの作品はありますか?
西加奈子さんの『おまじない』という短編集がめちゃくちゃ良かったですね。西さんはもともと好きなんですけど、長編を多く書かれていて、久しぶりの短編集なんです。西さんは短編が苦手らしいのですが、あえて短編に挑戦したとおっしゃっていて、その心意気もすごく良いなと。内容も短編なんですが、テーマも統一されていて、主人公の女性におじさんが魔法の言葉をあげるというストーリーなんです。本当に西さんが書かれる言葉が素敵で、私もおじさんの言葉に励まされました(笑)。
プロレスとお芝居の共演点
――「西さんの心意気も良いな」と感じたとのことですが、そういった作品だけではない、裏のストーリーも楽しむというのは、南沢さんがプロレス好きであることと関係してるんですかね。
確かにプロレスなんて特にそうですよね。目の前で見れるのは戦いのみだけど、その裏にはドラマがあって、それを知るとより面白くなるという。お芝居を作っていく中でも、台本に書かれていない裏の部分をどれだけ作り手がしっかり考えて決めていけるかが重要だと思っています。そういった意味では、小説やプロレスは自分の仕事とリンクする点が多いと思いますね。
――最後に出演される舞台『ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル』を通じて、どういったことを伝えたいかお聞かせください。
設定的には理解しにくい部分もありますが、人生でなにかに悩むとか、依存してしまうことは誰しもあると思います。なので、共感してもらえるところはあると思うし、人は人生に何を求めていくのか、私は人間同士の絆が一番大事かなと思うので、そのあたりの人間ドラマが伝わればいいなと思っています。