――脊柱管狭窄症の原因として多いものには何があるのでしょうか。

脊柱管を狭める原因には「脊椎骨の変形」「脊椎骨と脊椎骨をつなぐ靭帯(黄色靭帯、後縦靭帯)の肥厚」「脊柱管内への椎間板の突出」などがあります。脊柱管を構成する要素の形状の変化が直接の原因で、単独で症状を起こすこともあれば、これらの要素が混在して起きるケースもあります。それぞれの構成要素は、長年生活しているうちに経年的に変性したり、変形したりするため、年齢を重ねると脊柱管狭窄症のリスクが高まると考えられます。

――中高年に発症が増えてくるのは、経年変性・変形が関与しているのですね……。こればかりは毎日の生活をしているうえで不可避かもしれませんが、そのほかに特段、脊柱管狭窄症を招きやすいことはあるのでしょうか。

腰部脊柱管狭窄症は、腰に負担のかかることが影響すると考えられます。腰に負担がかかるとはすなわち、「重いものを持つ機会が多い」「前傾姿勢」「前後左右、もしくは回旋など腰の動きが多い」です。

これらの要因が複数重なる、例えば「前傾で重い荷重がかかるようなことを繰り返し、もしくは長年続ける職業の人」「衝撃が大きい接触性スポーツをする人」は長期的に考えると影響があるかもしれません。

そのほかでは先天的な要因も関連してきます。例えば、体格や身長に関係なく、もともとの脊椎骨の形で脊柱管が多少広い方もいます。また、腰椎椎体すべり症といって、椎体のずれを生じている人や、脊椎骨の脊柱管の狭い方は余裕が少ないので、どちらかというとなりやすいと言えるかと思います。