東京急行電鉄は11日、今年度の鉄軌道事業設備投資計画を発表した。この中で、田園都市線へ新型車両2020系を6編成導入するとともに、池上線・東急多摩川線へ7000系を6編成導入し、既存の7700系の全編成置換えを完了する予定であることも明らかにされた。

  • 田園都市線の新型車両2020系。2018年度は新たに6編成導入される

同社は2018年度、鉄軌道事業において総額597億円の設備投資を行う。とくに鉄道運転事故・輸送障害の未然防止などの安全対策に重点を置き、昨年度より大幅に増額した310億円を投資する。都心方面の輸送力増強や付加価値向上・サービス拡充・バリアフリー強化などには287億円を投資する。

安全・安定輸送を実現するための諸施策として、新型車両の導入も進める。田園都市線では2022年までに予定される旧型車両の置換えに向け、新型車両2020系を新たに6編成導入。今年3月にデビューした田園都市線2020系・大井町線6020系はともに高機能の車両情報管理装置を搭載しており、車両と地上でデータを送受信できるネットワークの整備を進めることで、今後、車両の状態監視や故障の予兆検知などへの活用をめざすという。

池上線・東急多摩川線でも車両更新が進められ、今年度は新たに7000系6編成を導入する予定。これにともない、旧型車両7700系は全編成置換えとなる。その他にも、安全・安定輸送の実現のため、田園都市線の緊急安全総点検の結果を踏まえた輸送障害の未然防止に取り組むとともに、地下区間を中心とする大規模な設備更新、用賀~二子玉川間の折返し運転設備の増設工事(2020年度竣工予定)などを進める。

  • 池上線・東急多摩川線で活躍する7000系(写真左)は今年度、新たに6編成導入。これにともない、7700系(同右)は全編成置換えとなる

2019年度中の整備完了をめざす東横線・田園都市線・大井町線(全64駅)へのホームドア整備に関して、今年度は田園都市線8駅を含む計12駅で運用開始する予定。ハード・ソフト両面による遅延・混雑の解消に向けた取組みも進め、東横線でのデジタルATCの整備(2022年供用開始予定)を推進するほか、東急線アプリなどのツールを活用した分散乗車やオフピーク通勤などの各種施策を通じ、引き続き朝ラッシュ時の混雑緩和に取り組む。

駅・鉄道の快適性向上にも努め、渋谷駅では6番出入口において地下2階から地上(スクランブル交差点付近)につながるエレベーターの運用を開始する予定。池上線では池上駅の駅舎改良・駅ビル開発と旗の台駅改良工事「木になるリニューアル」を実施する。大井町線では帰宅時の着席ニーズに応える施策として、今年度冬から平日夜の有料座席指定サービス(19時30分以降に5本程度、大井町発長津田行の急行として運行)を開始する。