どんな組織にも役職というものが存在し、仕事の成果を「出世」という形で評価されたりします。そこで今回は、出世に関するビジネス用語「昇任」「昇進」「昇格」の正しい使い方と違いについて紹介したいと思います。
■「昇任」とは
「昇任」とは、今よりも上の官位に就くことです。「官位」という言葉が含まれているとおり、主に官人・役人といった公的な仕事(公務員)に使われる言葉であって、基本的に一般企業で使うことはありません。
昇任の例
- 自衛隊「士長 → 曹長 → 准尉 → 佐官 → 将官」
- 地方公務員「主事 → 係長 → 主幹 → 課長 → 次長 → 部長 → 局長」
- 警察官「巡査 → 巡査部長 → 警部補 → 警部 → 警視 → 警視正 → 警視総監」
■「昇進」とは
「昇進」とは、地位や職位が上がることです。公務員に用いられる「昇任」が、一般企業では「昇進」となります。
昇進の例
- 主任 → 係長 → 課長 → 次長 → 部長 → 本部長
- 事業部長 → 常務 → 専務 → 社長 → 会長
- サブリーダー → リーダー → マネージャー
■「昇格」とは
「昇格」とは、格式や階級などが上がることです。企業や組織内で使われる評価方法のひとつに「職務資格制度」というものがありますが、同制度によって、個々の能力を示す「等級」というものが設定されています。「昇格」で上がるのは、主にこの「等級」です。
昇格の例
- 役職は変わらずそのままだが、社内での格付け・評価が上がった。
- 等級がひとつ上がり、給与額がアップした。
■「昇任」「昇進」「昇格」の違い
「昇任」と「昇進」は地位が上がるため、当然のことながら「肩書き」が変わります。肩書きは、名刺や書類に記載されるものなので、対外的にも出世したことは明らかです。
一方、「昇格」しても肩書きは変わりません。昇進できるかどうかの判断基準のひとつではあるものの、昇格してひとつ上の等級になったからといって昇進するとは限りません。基本的には別物です。
一昔前は、年功序列によって昇進が決まる企業も多く見られましたが、現代では、一定の成果を上げたり、新たな資格を取得するなど、組織から認められるだけの努力と実力が伴わなければなりません。出世に興味がない人も多いようですが、自身のキャリアアップのためにも、ひとつ上の階級を目指してみてはいかがでしょうか。