シリアスにも描かれている映画版

――映画の『ママレード・ボーイ』はかなりシリアスに描かれてもいて、こういう描き方もあるのかと面白く拝見しました。

原作だと8巻あったので、コミカルな楽しいシーンもいっぱいあったけど、映画はすごく真面目なラブストーリーになっていましたね。あの設定を抽出してやるとそうなるよね、と思いましたし、監督の世界として素敵でした。

――逆に、こんなシリアスになり得る世界が漫画ではポップに描かれてたなとも驚かされました。

私は割といつもそうなのかもしれません。家族でごちゃごちゃしたお話を、軽く描くのが好きなんです。自分は普通の家庭で育ったのですが、漫画なので楽しく、とは意識しています。

――このシーンが良かった、印象的だったというところを教えてください。

2人が幸せそうにしているところが、楽しかったです。落ち葉ぶつけ合ってるシーンとか、旅行で楽しそうにしているシーンがかわいかったです。

――それは先生としては、「光希と遊が現実に」というような感覚なんですか?

映画版の光希、遊は映画の中の人なので、原作の人とはまた違うというか……廣木監督の『ママレード・ボーイ』の中で、映画版の光希と映画版の遊が生きている、という感覚ですね。

長く漫画家を続ける秘訣は

――ちなみにお友達の松本美香さんも観られたんでしょうか?

試写を観てくれて、やっぱり2人が仲良くしてるシーンがすごくよかったし、「桜井日奈子ちゃんはさすが岡山の奇跡」と言ってました。何人かで観て、帰りに「ママレ論」を戦わせたらしいです(笑)。若い人は泣いていたし「吉沢くんが超かっこいい」と言っていて、でも『ママレード・ボーイ』世代としては実写化に思うところもあったみたいで。原作者としては、原作ファンの方が思い入れてくださるのは嬉しいんですけど、映画は別物だし、ぜひ楽しく観て欲しいなと思っています。

――逆に原作を知らない新しい世代の方が、漫画を読んでみようと思われるかもしれないですよね。

文庫は今だけ限定で桜井さんと吉沢くんの大きな帯も付いていて、すごいかわいいんですよ。カバーに見えるけど、帯なんです。超かわいいので! 原作に時代を感じるところもあると思うけど、90年代の人たちの青春のお話として楽しんでもらえたらなと思います。

――それだけ時代を超えて愛されている作品ということだと思いますし、吉住先生は今も現役でバリバリ漫画を連載されていますが、長く続ける秘訣はありますか?

今までの担当さんがみんな優しい方ばかりでした。私はすごく原稿が遅いのに、みんな全然怒らないで優しくしてくれたので、それで続けられたのかな。怒られていたら辞めていたと思うので、担当さんたちのおかげです。あとは、働いて納税をしなければという義務感(笑)。今更他の仕事にもつけないからやらなきゃ、という気持ちで頑張っています(笑)。

■吉住渉

1963年6月18日生まれ、東京都出身。一橋大学在学中の84年に漫画家デビュー。少女漫画雑誌『りぼん』で長期連載された人気作品『ハンサムな彼女』に続き、92年同誌で『ママレード・ボーイ』を発表。同作は累計発行部数1000万部を突破する大ヒット作品となり、94年3月から95年9月にはテレビアニメ化もされ人気を博した。ほか代表作に『ミントな僕ら』『ランダム・ウォーク』『ウルトラマニアック』など。現在、『ママレード・ボーイ』の十数年後を描いた続編『ママレード・ボーイlittle』を月刊誌『ココハナ』(集英社)で連載中。 映画『ママレード・ボーイ』の特集は[こちら!](https://news.mynavi.jp/feature/marmaladeboy) (C)吉住渉/集英社 (C)2018 映画「ママレード・ボーイ」製作委員会