JR東日本秋田支社は18日、秋田港クルーズ列車の出発式を開催した。専用車両「あきたクルーズ号」(キハ48形4両編成、定員約140名)を使用し、4月18日は秋田~秋田港間で上下各3本、18時台まで運行を予定している。

  • 秋田港クルーズ列車の専用車両「あきたクルーズ号」が秋田港駅へ

秋田~秋田港間では昨年8月の秋田竿燈まつり期間中、秋田港へ寄港するクルーズ船の利用者に対する2次交通対策ならびに新たな観光流動と地域活性化を目的に、クルーズ列車のトライアル運行を実施。その後、2018年の運行が計画され、運行に必要な第二種鉄道事業(他者が所有する線路を使用し、旅客輸送等を行う事業)の許可書が今年1月に交付された。秋田県、秋田市、JR東日本秋田支社が連携を図り、JR貨物、秋田臨海鉄道の協力も得ながら、4月以降の運行に向けた具体的な実施内容が計画されたという。

運行初日となった4月18日は、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」が秋田港へ寄港。秋田港クルーズ列車の運行開始に先立ち、秋田港駅で車両公開と出発式が行われた。

  • 「ダイヤモンド・プリンセス」が秋田港に寄港。これに合わせて秋田港クルーズ列車が運行された。出発式の前に車内も公開された

専用車両「あきたクルーズ号」は1号車から「キハ48 701」「キハ48 1701」「キハ48 1543」「キハ48 702」。かつての「リゾートしらかみ」ブナ編成をリニューアルし、「海」「港」「クルーズ船」をイメージしたデザインの車両となった。車体下部の青色は「海」「港」、先頭車の車体側面に施した曲線は海に浮かぶ「クルーズ船」の船体を表現したという。連結部付近に「Akita Cruise Train」のロゴやイカリ型のロゴマークも配した。1・4号車の車内はリクライニングシート、2・3号車の車内はボックス席(セミコンパートメント)だが、座席指定などは行わないとのことだった。

出発式にはJR東日本秋田支社長の菊地正氏、秋田県知事の佐竹敬久氏、秋田市長の穂積志氏らが出席。菊地氏は「昨年8月のトライアル運行が非常に好評で、今年から本格運行となりました。秋田県は観光資源をたくさん持っています。その足としてクルーズ列車を使用し、県内各地を巡っていただければ。今後も鉄道事業者として、クルーズ船を利用されるお客様がもっと楽しめるような しかけ作りをしていきたい」と挨拶した。

  • 秋田港クルーズ列車の運行開始にともなう出発式では、出席者によるテープカットやくす玉開披も

  • 出発式の会場で竿燈の実演などが行われる中、クルーズ船の乗客が「あきたクルーズ号」の車内へ

  • 12時頃に秋田港駅を発車。土崎駅まで貨物線を走行し、秋田駅へ向かった

佐竹知事は秋田港クルーズ列車の導入に関して「全国的にクルーズ需要が増加する中、秋田港もクルーズ船の寄港回数が増え、今年は過去最高の21回を予定しています。ただ、今回の『ダイヤモンド・プリンセス』のように、一度に数千人規模のお客様が訪れることも多くなり、秋田港を起点に県内各地を周遊する移動手段の確保が課題となっていました」と説明。秋田港クルーズ列車の運行開始と同じ4月18日に秋田港クルーズターミナルもオープンしており、「クルーズターミナルとクルーズ列車の相乗効果により、クルーズ振興の大きな弾みとなり、地域活性化に貢献することを期待しています」と述べた。

その後は出席者によるテープカットとくす玉開披が行われ、発車時刻まで竿燈の実演や秋田民謡の演奏なども実施された。クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客を乗せた秋田港クルーズ列車は12時頃に秋田港駅を発車。土崎駅までの貨物線区間では徐行もしつつ、秋田港駅から秋田駅まで直通し、所要時間17分程度で結ぶという。なお、土崎~秋田港間における第二種鉄道事業の許可期間は2018年4月18日から2018年11月3日まで、秋田港クルーズ列車の運転日数はのべ14日とされている。

  • 「あきたクルーズ号」の外観・車内と秋田港駅の様子