京都アニメーション制作の最新作として2018年4月21日より全国公開となる『リズと青い鳥』。その完成を記念して、4月4日(水)に舞台挨拶付き完成披露上映会が開催された。

舞台挨拶には本作で儚く美しい青春の一瞬を生きる少女・鎧塚みぞれ役の種﨑敦美と傘木希美役の東山奈央、本作に登場する童話の中の登場人物のリズと青い少女を一人二役で演じる、自身も女優とフィギュアスケート選手として活躍する本田望結、TVアニメ「響け!ユーフォニアム」シリーズからシリーズ演出として参加してきた山田尚子監督が登壇。青春の儚い思い出や、TVシリーズ版との違いなど、本作ならではの見所などが語られた。

舞台挨拶が開始するとともに、大歓声と大きな拍手で迎えられた、種﨑、東山、本田、山田監督。完成した本作を観た感想を聞かれた種﨑は「アニメーションだけど実写と錯覚してしまうような、映画を観ていたはずがいつの間にか、ふたりの女の子を見ているような錯覚を覚える作品」と本作を言い表し、東山は「静かな中に充実したものが詰まっていて、いつまでもこの空気に浸っていたいと思えるような作品です」と完成した本作について、非常に繊細かつ充実感溢れた作品であることを語った。

また、本作で一人二役に挑戦した本田望結はアニメ声優初挑戦ということで、その思いを「今回、一人二役の役を演じさせて頂くということが嬉しさと不安でいっぱいでした」と、中学生とは思えない落ち着いた雰囲気で語ると、山田監督からは「本当に素晴らしい演技で、アフレコ現場では『良かったです!』としか言えず監督としての威厳が示せず、帰りの電車で反省しました(笑)。リズの最後の最後のセリフが一番良かったです」と言われ、それを受けて種﨑と東山も「ふたりで観ていて、あの最後のセリフには本当にウルウルしました」と本田を大絶賛した。

そして、本作が青春時代の儚くも美しい一瞬を生きる少女たちを描いた作品ということから、自身の青春時代についてのトークテーマになると、東山は「この映画でも、何でもないことが面白くて、何でもないことに傷ついてと、感情が揺り動かされるのは同じだなと思いました」と高校時代の思い出話を語り、一方これから青春時代に突入する本田が「青春というのはどういう感じのものなんでしょう?」と発言すると、種﨑が「もう戻れない瞬間とか、キラキラしていたり、もしくはキラキラしていなくても、一生忘れられないすべてが青春です」と語り、会場中の共感する人々から大きな拍手が送られた。

最後に種﨑が、これから映画を観る人に向けて「この映画を観て下さる全ての方々の視線や気持ちがこの作品の一部になります。今日観て頂けるのが嬉しいのと、たくさんの人に早く観て頂きたいです。ふたりのことを観てください」と語り、舞台挨拶を締めくくった。

●『リズと青い鳥』、キャスト&スタッフコメント

――完成した本作を観た感想

種﨑敦美 この作品は言葉で伝えるのがとても難しくて、是非とも実際に観て頂きたいのですが、キャラクターのつま先から頭のてっぺん、髪の毛一本まで全てが繊細に描かれていて、私たちのお芝居の前に絵が既にお芝居をしているような作品です。アニメーションだけど実写と錯覚してしまうような、映画を観ていたはずがいつの間にか、ふたりの女の子を見ているような錯覚を覚える作品です。

東山奈央 イラストのキャラクターデザインからも伝わると思いますが、静かな儚げな映画です。『響け!ユーフォニアム』のように熱く想いをぶつけあう作品ではなく、静かな中に充実したものが詰まっていて、いつまでもこの空気に浸っていたいと思えるような作品です。

――本作で一人二役を演じ、劇場アニメ声優に初挑戦しましたが、演じる上で意識したことは?

本田望結 今回、一人二役の役を演じさせて頂くということが嬉しさと不安でいっぱいでした。実際にアフレコに参加するまでにたくさん勉強をして、どのように声を変えるかなどを考えたのですが、アフレコ現場で監督からは「自然な感じで、そのままの本田望結さんの感じでお願いします」と仰って頂きました。アフレコが終わってからも不安な気持ちは拭えなかったのですが、完成した作品を拝見して、監督の仰っていたことは間違いではなかったことに気付かされました。

――青春時代で思い出深いエピソードは?

種﨑敦美 私は青春を語りだすと止まらないくらい青春への思い入れがすごいのですが、この映画を観た後だと、みぞれと同じような経験をしたことがあって、とても仲の良い友達がいてその子と一緒にいたいがために高校も同じ高校を選んだくらいで、ものすごく共感できました!

東山奈央 私の青春時代は女子校で合唱部に所属していて、部員の人数が少なかったので大会に出たり練習を頑張るわけではなかったのですが、女の子同士のやりとりがすごく思い出されました。この映画でも、何でもないことが面白くて、何でもないことに傷ついてと、感情が揺り動かされるのは同じだなと思いました。

本田望結 青春というのはどういう感じのものなのかな?と思うのですが、私はフィギュアスケートをしていて、それと一緒に生きている感じがします。スケートが上手くいかないと私も悲しいしスケート靴も悲しんでいる感じがして。全ての思い出が残るように練習も試合も頑張りたいです。

山田尚子監督 青春を追いかけている作品ばかりを作っているのですが、青春って何だかわからないものなんだと思います。青春を過ごしている当の本人には気付けないのですが、大人になって後から振り返っているとわかるものなんですね。この作品作りはそれこそ青春を感じていて、主題歌を歌ってくださったHomecomingsの方々も青春くさい人たちで、友達の家みたいに小さいスタジオで、録りたてホヤホヤのデモテープを聞かせて頂いたりと、とても青春を思い出される作品作りでした。

――締めの一言挨拶

種﨑敦美 本日は本当にありがとうございました。アフレコ前に監督が本作について説明して下さった時のお言葉に「全てのものが傍観者。壁も、木も、空も、ふたりを見守っている。そんな作品です」と仰っていて、実際に本作を観ると、本当にそんな作品だと感じました。この映画を観終わると、ただただふたりの少女を見つめていたことに気付かされました。この映画を観て下さる全ての方々の視線や気持ちがこの作品の一部になります。今日観て頂けるのが嬉しいのと、たくさんの人に早く観て頂きたいです。ふたりのことを観てください。

東山奈央 本日は足を運んでくださり、本当にありがとうございます。今日、我々が熱を持って語ったことも、まだこの映画をご覧になられる人々には若干もどかしく感じるかもしれないですが、一言ではこの映画を言い表せない気持ちは観て頂けるとわかって頂けると思います。TVシリーズでもすれ違い続けていた2人ですが映画で互いへの微妙に違う「好き」の気持ちが美しく描かれています。ぜひ楽しんでください。

本田望結 本当に素敵な作品です。観た後に「明日から頑張ろう」と思えて、大好きな友達と一緒にいることの大切さ、音楽の素晴らしさに気が付きました。どうぞ楽しんで観てください。本日はありがとうございました。

山田尚子監督 まずは完成した本作を一番に皆様にお届け出来て安心しました。この映画で描かれていることは、女の子だけではなく、いろんな方々の心の経験としてあると思います。音楽や音を大切にしている作品で、映画館で最大のパフォーマンスを発揮する作品です。劇場でぜひ観て頂きたいです。本日はありがとうございました。

『リズと青い鳥』は、2018年4月21日より全国公開予定(配給:松竹)。各詳細は公式サイトにて。

(C)武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会