第2部では、竹川氏の司会によるパネルディスカッション「あなたはどう使う? つみたてNISAとiDeCoのはじめ方」が行われた。登壇者は、ニッセイアセットマネジメントの上原秀信氏(以下、上原氏)と関はるみ氏(以下、関氏)、SBI証券の橋本氏の3名だ。
●何のために投資を行うのかを明確に
竹川氏が最初に投げかけた質問は、「つみたてNISAとiDeCoに関心を持っている人はどのように始めたら良いか?」というもの。この問いに対して、上原氏は「人はそれぞれ置かれている状況が違います。まず、自分が何を目指して投資を行うのか、老後なのか住宅なのか、教育なのか余裕を持ちたいのか。目的を明確にしましょう。それによって何にどれだけの期間投資すべきかが決まります」と述べ、そのうえで使える制度を利用していくべきと述べた。
関氏は竹川氏の答えを補足しつつ、ケース別に詳しく説明。「子供の教育資金として毎月3万円を50歳まで15年間運用したい、35歳の会社員」といった具体例を出し、年齢、職業、目的別の投資例と利用できる制度について解説した。
また橋本氏は、20~40代がつみたてNISA申込者の8割、iDeCoは7割であることを説明。さらにSBI証券の資料ではNISA口座の新規申込者の半数が若年層であり、またNISA口座数は20~40代で6割を占めることを紹介し、若年層ほどこれらの制度の活用に意欲的であることをデータで示す。
時間軸を味方につけてあきらめずに長期投資を
続いての質問は、「具体的にどういう風に投資を行ったら良いのか?」というもの。上原氏はこの問いに対して、世界経済の恩恵を受け高いリターンを得るために、株式をメインとすることを勧める。高いリターンが期待できるという事は当然リスクが大きい。ただしリスクとは危ないという意味ではないと上原氏は告げ、次のように説明する。
「リスクが大きいとは、値動きの上下が大きいということ。私はこれを分かりやすく置き換えて"心臓のバクバク度"と呼んでいます。心臓の鼓動に変動幅があるように、株式も大きく上下します。しかし20年、30年という長期間で見ると短期間の変動幅は慣らされます。下がったものが何十年も続けて下がり続けることはまずありません。時間を味方につけて長期の投資をしましょう」(上原氏)。
具体的な方針として特に推奨されたのは「インデックスファンドで、先進国株式に分散投資」すること。その商品としては、NISAの場合「ニッセイ外国株式インデックスファンド」、iDeCoの場合「DCニッセイ外国株式インデックス」が挙げられた。
投資の専門家がセミナー参加者に送るアドバイス
最後に坂本氏は、来場者に向けて「例えば1997年から月2万円を20年間、計480万円を投資した場合、タンス預金ならばそのまま480万円ですが、4資産分配投資なら873万円、外国株式であれば1,173万円という成果を得ることができます。小額からでも始めてみましょう」とメッセージを送り、同時に「マーケットから離れるな」という格言をもって長期投資を勧めた。
つみたてNISA・iDeCoは、初心者でも投資を始めやすいよう、国が整えた制度だ。1部で述べられた通りその税制上のメリットは非常に大きい。教育資金や老後資金の構築に向けた長期投資を検討している方は、ぜひ目を向けてほしい。なおSBI証券のセミナーでは、ここに抜粋した内容以外にさらに具体的なアドバイスも行われている。