「CASE」で激変の自動車業界、ボルボの考えは

電動化や自動運転の導入、あるいはカーシェアリングの普及で、ディーラー経営が危うくなるのではないかとの懸念も世の中でささやかれはじめている。Connected(つながるクルマ)、Autonomous(自動運転)、Shared & Service(カーシェアリングなど)、Electric Drive(クルマの電動化)という4つの言葉の頭文字をとってダイムラーが「CASE」と呼び始めた技術革新は、ディーラー経営にどんな影響を与えるのか。

「CASEについては、つい最近、ディーラーの方々へプレゼンテーションしたところです。プレミアムブランドになりますと、共有(カーシェア)とは距離があり、自分のクルマだという喜びが大切になってきます。今後は二極分化していくだろうと思っていて、もう一方は軽自動車です。こちらは、日常の利便性のためカーシェアリングやライドシェアリングに関わってくるでしょう」

「電動化については、電気自動車(EV)となればサービス項目が減るかもしれませんが、プラグインハイブリッド車(PHV)では逆に、エンジンとモーターというように部品点数が増えるので、オーナーとのつながりを強化すれば、サービスでも売り上げを伸ばすことができます」

  • ポールスターのファーストモデル「Polestar 1」

    スウェーデンのボルボ・カーズは、2019年から全モデルを電動化すると発表済み。グループのパフォーマンス・カー部門である「ポールスター」については、独立したブランドとしてグローバルな高性能エレクトリック・カー専業とする方針を示している(画像は2019年半ばの発売を予定するポールスターのファーストモデル「Polestar 1」、提供:ボルボ・カー・ジャパン)

増え続ける輸入車販売、「所有したいクルマ」は生き残る

「国内における2017年の輸入車販売は久しぶりに30万台を突破し、このうち66%の20万台がプレミアムブランドです。世界的な潮流として、プレミアムブランド比率は上がっており、国内でも5年後に輸入車販売が40万台に達し、このうちプレミアムブランドが70%まで高まると予測すると、28万台という数字になります」

「この試算からすれば、現在のプレミアムブランド20万台の40%増へと市場が拡大するのですから、プレミアムブランドのクルマを扱うディーラーにとっては、幸せな時代を迎えるといいました」

  • ボルボ「XC90」

    プレミアムブランドにとっては、顧客が「自分のものにしたい」と強く思うようなクルマを用意し続けられるかがますます重要となってくる(画像は「XC90」、提供:ボルボ・カー・ジャパン)

「次に、国内のボルボの保有台数を見ると18万5,000台で、このうちボルボディーラーに帰ってくるのが約11万5,000台です。ということは、正規ディーラーにいらしていないお客様がまだある、取りこぼしがあることになります。そこに成長の余地が残っています」

「新規のお客様の来店回数が減っているとはいえ、一度ボルボとつながりを持っていただいたお客様は、整備などを含め再度来店していただけるようになるので、CSナンバーワンをしっかりやっていけば、まだまだディーラービジネスはやっていけます。前向き、上向きに、(ディーラーの方々には)積極的にビジネスをやっていきましょうと話しました」

一連の話は、データを見極めながら想像力をつないでいくことで見えてくる戦略と展望である。最後に、「自動車会社の経営は楽しい」と木村社長は笑顔を見せた。その活力が、国内でのボルボ販売や存在感、将来への見通しに現れている。