千代田線直通列車は、複線のまま残っていた下北沢駅付近の「ボトルネック」が解消されることによって、今改正で大幅に増発される。ただし、運転区間が変わる。

従来の多摩線唐木田発着の列車は、種別は急行、運転本数は毎時3本のまま新宿へ振り向けられ、新宿~唐木田間の運転となる。これによって、新宿発着の優等列車が増強される。京王への対抗という面もあろうが、やはり、日中も変わらない新宿への大きな需要に応じたと見られる。

それに対し、向ヶ丘遊園発着の「準急」も毎時3本新設され、こちらが千代田線へ直通するようになる。さらに土休日に限り、成城学園前発着の準急が毎時3本加わり、成城学園前〜代々木上原間における千代田線直通準急は毎時6本となる。つまり、基本的に複々線区間内にのみ、千代田線直通が走ることになるのだ。

  • 左:ダイヤ改正後、多くの千代田線直通列車の始発駅となる向ヶ丘遊園駅。右:完成した複々線(祖師ヶ谷大蔵~成城学園前間。提供:小田急電鉄)

各停用の線路を走る準急

準急の停車駅は、向ヶ丘遊園、登戸、狛江、成城学園前、祖師ヶ谷大蔵、千歳船橋、経堂、下北沢、代々木上原と千代田線内の各駅だ。注目されるのは、現在は各停しか停車しない狛江、祖師ヶ谷大蔵、千歳船橋にも停まること。これらの駅は複々線のうち、外側の各停用の線路にしかホームがない。

つまり準急は、特急、急行などが走る内側の線路ではなく、各停と同じ線路を走るということだ。各停用と急行などの優等列車用の線路を分離し、お互いが干渉することなくスムーズに走れるようにすることが、複々線化の主な狙いである。内側の線路には、快速急行などが日中も多数運転されるため、これ以上、列車を入れづらいという側面もあるが、敢えて各停用の線路に準急を走らせてまで、千代田線直通列車の停車駅を増やすという点に、小田急の狙いが透けて見える。