ここのところ、関西では「○○カードの利用終了」、関東では「パスネット払い戻し終了」というお知らせが、私鉄・公営交通の各駅で目立つ。

以前、鉄道を利用する際にはお馴染みだった、磁気式プリペイドカードを直接、自動改札機に投入して乗車できるシステムが、いよいよ終わりを迎える告知である。

関西の「スルッとKANSAI」のルーツは、阪急電鉄の「ラガールスルー」サービス。自社のプリペイドカード「ラガールカード」を、きっぷに引き換えることなく、自動改札機で直接使えるサービスが1992年4月1日に導入された時に始まる。同種のサービスはすぐに私鉄、公営交通、バス各社へと広まり、カードの共通使用も可能となった。「スルッとKANSAI」という共通名称による運用は、1996年3月20日からである。

スルッとKANSAI対応カードの利用終了と払い戻しのお知らせ

すでにスルッとKANSAI対応カードの発売は2017年3月31日限りで終了。そして、自動改札機やバスの運賃箱への直接投入による利用も、2018年1月31日限りで終了する。使用されなかった残額については、今後、カードの発売会社にて、期間を区切って無手数料での払い戻しが行われる。

一方、関東では1991年にJR東日本が「イオカード」を導入した。これは日本で初めて、磁気式プリペイドカードを直接、自動改札機へ投入し、乗車できるサービスであった。パスネットのシステムは、このイオカードを基本に開発されている。

寿命が短かったパスネット

パスネットは、2000年10月14日に加盟各社で一斉に導入された。ただしJR東日本は加盟しなかった。 そして、その寿命は短く、2008年3月14日には、ほとんどすべての会社で自動改札機への直接投入による使用を終了。その後、自動券売機での利用やICカード「PASMO」への残額引き継ぎはできたが、これも2015年3月31日まで。そして、2018年1月31日限りで発行会社での無手数料払い戻しも終了し、完全に使命を終える。

  • 左:磁気式プリペイドカードを使う「パスネット」は、2018年1月末限りで、完全にその歴史を閉じる。右:パスネット加盟各社で発売された、共通デザインのカード