特撮テレビドラマ『仮面ライダーエグゼイド』のスピンオフVシネマ『仮面ライダー エグゼイド トリロジー アナザー・エンディング』の第1弾『仮面ライダーブレイブ&仮面ライダースナイプ』(2018年2月3日公開)が、ぴあ映画初日満足度ランキング(2月3日ぴあ調べ)で1位になるなど、好調な滑り出しを見せている。

  • 左から松本享恭、瀬戸利樹、鈴村展弘監督

本作は、『劇場版 仮面ライダーエグゼイド トゥルー・エンディング』(2017年8月5日公開)から2年後の世界を舞台にした3つの物語(トリロジー)の第1作目にあたり、仮面ライダーブレイブに変身する天才外科医・鏡飛彩と、仮面ライダースナイプに変身する元無免許医・花家大我という2人の仮面ライダーを中心にした物語が繰り広げられる。

公開初日の舞台あいさつには、ダブル主演を果たした鏡飛彩役の瀬戸利樹、花家大我役の松本享恭、そして3部作すべての演出を手がけた鈴村展弘監督が登壇した。

鏡飛彩役・瀬戸利樹は、「今回も大我とのバチバチ(争い)がありましたけれど、昔のバチバチとは違う形でした。争っていても、どこか"愛"を感じるという部分を出したいと思って演じました」と、今回の大我との関係性の変化を説明。撮影時、印象に残った出来事は?という質問に対しては、「階段をおりているとき、背後から襲われるというシーンがすごく怖かった。いつ後ろから押されるか、タイミングがわからないので……」と撮影初日で体験した苦労話を語った。 

今回の作品では、飛彩が小姫と楽しい時間を過ごしていた学生時代を回想するシーンがあるのだが、これについて瀬戸は「学食でのシーンは恥ずかしかったですね。学生の格好をしているので、スタッフさんから冷やかされたりして……。でも小姫との楽しい過去をうまく掘り下げることができたかな。飛彩の笑顔は難しいんです。普段あまり笑わないキャラですから、どこまでの笑顔を見せたらいいのか」と、演技面での秘話を語ったのち「サバをナイフで切るのが大変だったんですよ。実は、あのサバの味噌煮はシメサバの上に味噌を乗せたものだったんです。でも、あれはなかなかの味で、悪くない組み合わせ。新しかったです(笑)」と、学食で飛彩が食べていた「サバ味噌」の意外な秘密を明かしていた。

花家大我役・松本は、「始まる前から、今度のVシネマは鈴村監督が撮ると聞いて、2人で『よっしゃ!』と気合いが入りました」と、かつてBlu-rayBOXの特典映像として作られた『仮面ライダースナイプ エピソードZERO』で組んだ鈴村監督の演出に絶大な信頼を置く。今回の作品で大我は、ある目的のために自らの肉体を酷使し、大きなダメージを受けている状態であるという。それについて松本は、「常に呼吸を荒く、ゼイゼイと言っていたら過呼吸気味になり、一度気を失って照明にぶつかり、倒れたことがありました」と、気持ちを込めた演技によって意識を失ったことを明かした。また「苦悶する芝居が今回は本当に多かった。大我が苦しんで暴れる、という芝居をテストでは控えめにやったのですが、監督から『もっと暴れてくれよ。周りのものを倒してもいから、苦しさをとにかく出して』と言われ、思いっきり暴れたら背中が傷だらけになりました」と、撮影時に大変だったエピソードを明かした。

松本とは『エピソードZERO』で、そして瀬戸とは東映特撮ファンクラブ限定の配信ドラマ『仮面ライダーブレイブ ~Surviveせよ! 復活のビーストライダー・スクワッド!~』で組んでいる鈴村監督は、「作品のテーマは"愛"。飛彩と小姫の愛、大我とニコとの愛。そしてこの2人(飛彩と大我)にも友情という名の愛があります」とテーマを挙げた。さらには「男同士のドラマでもあるので、2人としてはいろいろ相談しながら演技をしていたみたいですね。以前やったスピンオフと同じく、主役はエグゼイドではなくブレイブとスナイプなので、2人には座長として頑張ってもらいました」と、撮影時における2人のコンビネーションについて語った。それぞれのスピンオフ作品からおよそ半年もの時間が経った上でのVシネマということで、「2人のお芝居にすごく成長を感じて、やりやすかった。ツーといえばカーというか、細かいことを説明しなくても、自分たちの中で考えてやってくれるところが特に」と、瀬戸、松本の俳優としての成長ぶりに触れた。

鈴村監督の印象を問われた瀬戸が、「監督はみなさんご覧のとおりとても優しく、フレンドリー」だと話すと、すかさず監督から「そりゃあ、一緒に飲みに行ったりするからね!」と、まさにフレンドリーそのものの合いの手が入った。また松本は鈴村演出について「自分で一度決めた演技に合わせてアングルを決めてくれたりして、わりと自由なスタイルでやらせてくれる」と撮影スタイルに言及した。

鈴村監督としては、大我について「人知れず苦しむ、自己犠牲の精神に満ちた男。しかも最初に仮面ライダーになった人物でもあります。ライダーになるのはいかに大変か、を表現するべく"苦しむキャラ"という部分を見せようと努めました」と演出意図を明かした。

今回は映画『トゥルー・エンディング』から2年後という世界だが、もしもこれから「10年後」を描く作品があったら?という質問に、瀬戸は首をひねりながらも「飛彩は30代後半と若いでしょうけれど、そのときにはもう院長になっていますね!」と、さすが天才外科医らしい自信にあふれたコメントを残した。一方、松本は「大我は10年後になっても独身でいるんじゃないかと思います。独りですけれど充実している。ペットとか飼ってたらいいかな、みたいな(笑)」と、女性ファンに夢を与えるかのようなニクイひと言を投げかけた。

フォトセッションでは、公開日が節分(2月3日)ということもあって、登壇者の3人がそれぞれ裃を身に着けて升を持ち、客席に向かって豆まきをする画作りが行なわれた。鬼を追い払い、無病息災を祈るかけ声については、本作における"ラスボス"である仮面ライダーゲンム/檀黎斗の通称「檀黎斗神」にちなんで「神は外、福は内」とアレンジされ、3人の投げた豆をゲットできたファンたちから大きな歓声がわきあがった。

最後にマイクを握った瀬戸は「小さいころから観ていた、そして憧れていた仮面ライダーに出演できたことを、本当にうれしく思います。1年間かけがえのない時間を過ごさせていただきました。『エグゼイド』としてはこの作品で最後になりますが、今後また飛彩として、大我として戻ってくることができたらな、と思っています。1年半もの間、たくさんの応援ありがとうございました。ぜひ、みなさんにこの作品を広めてください。お願いします。今日はありがとうございました!」とあらためてあいさつ。約1年半にわたって鏡飛彩という人物を演じきった達成感と、これで終わりだという寂しさが重なってか、ときおり言葉を詰まらせつつ、それでも堂々と大勢のファンに感謝の気持ちを述べた瀬戸に、会場に詰めかけた満場のファンたちは惜しみない拍手を送り続けた。

Vシネマ『仮面ライダーブレイブ&スナイプ』は現在新宿バルト9ほか全国22館で劇場公開中。Blu-rayおよびDVDは3月28日に発売。次回作『仮面ライダーパラドクスwithポッピー』は2月17日より劇場公開、Blu-ray&DVDは4月11日発売。3部作の最後を飾る『仮面ライダーゲンムVSレーザー』は3月3日より劇場公開、Blu-ray&DVDは4月25日の発売となる。

Vシネマ『仮面ライダーブレイブ&スナイプ』あらすじ

聖都大学付属病院に勤務する若き天才外科医・飛彩は、かつて消滅したはずの恋人・百瀬小姫と再会する。しかし彼女は、復活したラヴリカバグスター/天ヶ崎恋によって心を操られていた。一方、バグスターによる「ゲーム病」を治療する医院を経営する花家大我の助手を務める西馬ニコを慕って来たアメリカ人青年のゲーマー、ルーク・キッドマンが、ラヴリカのゲーム病を発症。"最悪の恋愛ゲーム"の前に、飛彩と大我の運命が翻弄される。そこに暗躍する、檀黎斗の目的とは? 確執を経て、深い絆で結ばれたふたりの天才医師が、ふたたび仮面ライダーへと変身する時がやってきた……。

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