フジテレビ系の人気長寿アニメ『サザエさん』(毎週日曜18:30~)。放送開始当初からの筆頭スポンサーである東芝が3月で降板することが決まり、視聴者から内容変更などに不安の声が上がったが、同局の渡辺恒也プロデューサーは「どちらの社がスポンサーさんになっても、それによって作る内容が変わることはありません!」と断言する。

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    1月7日放送のお正月スペシャル「戌年物語」より

「もう終了すべき」の声に対して…

1969年10月に放送をスタートし、来年にはアニメ50周年を迎える『サザエさん』。放送開始当初から時代は変わり、3世代がちゃぶ台を囲むという光景はほとんど見られなくなってきた。そんな折に東芝降板の報を受け、一部から「もう時代に合わない『サザエさん』は終了すべき」といった声まであがった。

これに対し、渡辺氏は「家族のあり方が今の時代と100%リンクしていないのは当然ですが、『サザエさん』の一番面白いところは、ずるい部分やかっこ悪い部分を含めて、"人間って面白い"という目線で描いていることだと思うんです。長谷川町子先生の原作は風刺漫画ですから、その部分の面白さというのは、50年たっても基本的には変わっていないと考えて作っています」と強調。

その上で、「『自分が子供の時はああいう家族の形もあったな』とか『昔の時代だけどああいう兄弟の会話は今でもあるな』とか思っていただいて、あくまでテレビ番組の作品なので、視聴者の方が、それぞれの受け取り方をしてくれればいいんじゃないかと思っています」と力説する。

"これだけは登場させない"もの

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渡辺恒也
1982年生まれ、熊本県出身。東京大学卒業後、05年にフジテレビジョン入社。以来ドラマ制作セクションで『HERO』(第2シリーズ)、『救命病棟24時』(第5シリーズ)、『医龍 Team Medical Dragon3』などを担当。16年に編成部に異動し、『サザエさん』のほか、『警視庁いきもの係』、1月15日スタートの月9ドラマ『海月姫』を担当。

テレビ番組には「時代劇」というジャンルも存在するが、『サザエさん』でこのような論争が起こるのは「アニメがスタートして50年近く続いている作品が、他にはない特殊な例だからだと思います」という渡辺氏。もともと、世相を映す新聞の4コマ漫画からスタートした作品であり、時代とのギャップにツッコミが入ることに理解を示しつつ、「現代劇は現代劇なんですけど、それは"『サザエさん』という時代"を描いていくという括り方なのかなと思ってるんです」と語った。

直前に放送されている『ちびまる子ちゃん』(毎週日曜18:00~)は、1970年代の静岡県清水市(当時)という設定が決まっている一方、『サザエさん』は、時代とともに変わっても良いものと認識。実は東芝1社提供時代(~98年)には、新しい家電が出ると劇中で更新されることもあり、磯野家以外ではエアコンが導入されるなど"進化"を遂げているのだが、渡辺氏の考えの中に、これだけは作品に登場させないというものが存在する。

それは、「人と人とのコミュニケーションの距離を変えてしまうアイテム」(渡辺氏)。「例えば、電車が遅れて駅に波平さんやマスオさんを迎えに行くのに、携帯電話で連絡を取れば済んでしまいますよね。でも、そうなっていくと、あの家族の間の会話ができなくなってしまう場面がどんどん出てくると思うんですよ。だから、他にもパソコンなど、コミュニケーションの距離を縮めるものに関しては、基本的に取り入れないでおこうと思っています」という。

そのため、「東芝さんの降板に関係なく、テレビが液晶になる必要が出てくる話があれば、もしかしたらどこかのタイミングで新しいテレビになることがあるかもしれないです」というスタンスだ。