つるりとした先進的な外観と、ディーゼルエンジンによる新鮮な走りが味わえるヴェラール。その上で、イギリスの高級車である「ジャガー」などからも感じられる、英国風の派手過ぎず目に心地よい色使いのインテリアは、気持ちを豊かにしてくれた。改めて室内を見回せば、簡素でありながら上質な作り込みや造形によって、心が癒されるのであった。

  • レンジローバー「ヴェラール」のインパネ
  • レンジローバー「ヴェラール」のシート
  • ブリティッシュなスタイルのインテリアから上質さを感じた

直列4気筒エンジンを得て本来の味を発揮

そもそも、レンジローバーの成り立ちは、日常的に乗る「ロールスロイス」や「ジャガー」と同じように、英国の貴族たちが彼らの領地を見回るための頑丈な四輪駆動車として誕生したと伝えられる。米国の「ジープ」と同じように、悪路を走るために生まれた四輪駆動技術を、より一般の人でも扱いやすくし、車体はアルミニウムで作って軽く仕上げられた。これが、米国のビバリーヒルズに住む人たちにも、高級セダンとは違うお洒落なクルマとして受け入れられ、今日のSUVブームの発端となっている。

そうした流れを汲むレンジローバーに加わったヴェラールは、軽量な直列4気筒エンジンを得て、目指した本来の味を発揮できるようになったのではないかと思う。2018年2月には、同じ直列4気筒のガソリンエンジン車も日本に届けられるようになる。

  • レンジローバー「ヴェラール」の画像2

    2018年2月には直列4気筒のガソリンエンジン車も日本に導入となる「ヴェラール」

ヴェラールは2017年9月の発売から約400台の受注を得ている。その多くは「50歳代以上のお客様」であると、ジャガー・ランドローバー・ジャパンのマーケティング・広報部、佐藤健プロダクトマネージャーは解説した。一方、当初の狙いとして想定した、イヴォークからの乗り換えは意外に少なかったともいう。

かつて、「いつかはクラウン」という言葉があったように、人生と共にクルマも出世して、大きな車種を選ぶといった買い方は、影を潜めはじめているのかもしれない。