電池を巡る各社の動きは
トヨタとパナソニックの車載用電池の関係は、1996年12月にトヨタ60%、パナソニックグループ40%の出資で「パナソニックEVエナジー」(当時の社名)を設立したことを契機に深まった。これは翌1997年12月に登場するトヨタ初のHV「プリウス」に載せるニッケル水素電池を作るための協業だった。
その後、2010年には第三者割当増資を実施し、トヨタ80.5%、パナソニックグループ19.5%と出資比率が変化した。トヨタによる子会社化で、社名も「プライムアースEVエナジー」に変更となった経緯がある。
日本の車載電池関連では、この他に三菱自動車とGSユアサの合弁「リチウムエナジージャパン」、ホンダとGSユアサの合弁「ブルーエナジー」がある。日産はNECおよびNECエナジーデバイスとの合弁「オートモーティブエナジーサプライ」を持っていたが、中国ファンドに売却した。
一方、海外では韓国のLG化学やサムスンSDIが電池工場で増設・増産の動きを示している。また、中国政府は2019年から、自動車メーカーに対し、販売台数の一定比率をEVなど電動車とするよう求める規制(新エネルギー政策:NEV規制)を導入し、EV領域における地場メーカーの競争力向上を狙う方針を示す。完成車と電池を手掛けるBYDなど、すでにEVで先行している中国企業もある。
仕組みづくりで日本は先行できるか
トヨタとパナソニックによる協業検討は、単なるEV化に向けた取り組みということではなく、「電動車」のウェイトが高くなるトレンドを受けて、世界的な競争力の強化に向けたカギを握る動きとなりそうだ。次世代電池を共同開発するほか、電池の規格づくりやリユース・リサイクルの仕組みづくりなどでもリードしていくことが求められる。
また、パナソニックとの協業検討合意を受けてトヨタは、12月18日に寺師茂樹副社長による「トヨタの電動車普及に向けたチャレンジ」に関する説明会を開催するが、その内容も注目されよう。